メタ認知的知識の次元性を明らかにするために因子分析を行った。因 子分析の手法は、N=71をサンプルとして40×40の相関行列を算出
し、共通性の初期値を1とする主成分分析を行い、varlmax回転を施す という方法をとった。図1は、第1回目の因子抽出における固有値の推 移を示したものである。
10
8
固6有値4 2 0
11 m IV V VI VII Vlll IX X
因子
図1 メタ認知的知識の因子抽出における固有値の推移
固有値の変動のみから判断すると3因子解が適切であるように考えら れたが、因子数を順次変化させながら因子解釈を行い、社会科の問題解 決次元として解釈が最も容易であった7因子解を採用した。因子分析の 結果は表12の通りである。
表12 メタ認知的知識の因子構造(varimax回転後の結果、 n=71)
項目 因 子
号 1 亘 皿
w
v 顎w
共通性30 0,760 一α023 σ,135 0039 Ojo1 QO58 0,064 0.6裕
8 0623 0283 一〇〇86 一〇Q94 OO96 一〇〇66 0192 0535
210 O,586 O,568
0、質5
│O,044
一〇司41
O268
一◎葉09
O299
o,035
O117
◎,177 O,065
一〇.047
O」27
043◎O520 22 0491 0,478 0280 0↑89 0216 QO12 OOO2 ◎631
7 0,483 Oj重8 OO18 0070 ◎」33 0317 OO92 0β79 37 O,480 α074 0046 0172 0402 OO22 α040 0431
638 0451
O451
0285 O162
α3乏3 O,078
一Q107
O299
Q410
O,141
一Q重Q9
O147
GO55 O036
0583 ソ368 29
35 16
睾2
25 4 40 36
21 27 5 13
9
重4
18 32 26 28 24 23 20 31 39 33 17 3 tg 15 34
11 1
0、4◎2 0259
一Q.097
0223
0.353 0.226
0244
0」38
0.4{4
Q339
0護)13 0,209
−Qつ73
0444
015津 OlO56 0{84
−oo1δ 一α03肇
0393 Q286
0.◎32
0」490243
0.1フ3
−Oζ018
0」ゆ Q.478
004◎
◎4130051 032フ
0.676 0,594
0544
0.543 0、511 0.50ア
α4340425
−0387
0164 0229 0081 0144 0047 0279
−Oj72
−oo55
−O.292
−0.267 O.146
QO92 0349
σ.129 0、193
0732
0.702 0.532
0518
−0583
◎294
◎1600t74 0062
−0297
−004Q
O226 0234
◎269
−Oρω
0266
0書540064
−0165 0061
0158
−0ρ12
◎264
−0323 0.230
◎290 0ρ96 002◎
O◎3a
−0204
−OO50 0ρ070161 0240 0377
−OOO8
一◎.016
0329 0127
0.140
0210
OQ34
◎027
0137
0,3◎1
一〇〇74
α379
α03菅
0120 0180
0、11β
◎1580094
0、OO4
0142
00フ2 0、162
−000τ
OO83 0172 0047
0236 0047 Q145
−0.242
−0.115
0146
0.斗48
−0,212
−OO30
0036
一◎,061
{}148
0372
0.016
−0.031
◎224
0705
0.675
0664
0.503 0、296
0243 G241
−0042
0280 00510m1
◎◎Q9
0009
◎,◎99
0ρ39
−00Q9
0109 0183 0」47 −o、07I O,188 0.209
Q185 0255 0140 −0」38 一〇126
Q113
−0325 00{30048 Q284
0,227
0269 Q侶20140
−0157
0227 00080009
O,614 O,598 O,594
◎148
│QO34
O,183 0β15
│OO6フ n,022
O079
α715
O,695 O,545
O511
一α044
0021 0384
0445
−OO16
0050
O.020 0.419
0345
−O.1◎6
−O.011
−OO38
0224
−O、で27
0253
一α036 一◎.072
−0179 0181
0.159 0.128
0081
−0、093
−O.170 00フ◎
0、122
0499
0.406 0.71Q
0523
説明分散
寄与率(%)
0386
0、636
0555 05η
0.568
◎583 0.405
0434 0642
0.488
0686
0.533
0714
◎.494
0615 0689
0.622
0601 0580
0.267 0.164 0、542
◎481 0,504 0.663
0524
◎.589
0658
0.552 0.540
◎5a3 4β81
117
3496 87
3062 77
(注)
2782 2.607 2583 2薯57 2駅366
70 65 65 54 534
太字の因子負荷量はp45】以上でマークしたもの
表12において因子負荷量の絶対値045以上を示した項目の内容を参 考に各因子を解釈した。
第1因子は、30「インタビューをする前に、相手が自分の質問に対し
てどんなことを話してくれるか予想する。」、8「調べることについて、
自分の知っていることと知らないヒとをはっきりさせる。」など9項目 からなり、「調べ学習」において自分に与えられたり、自分が収集した
りした自分に入ってくる情報を整理し、問題解決に役立つ情報にするよ うな思考活動を示すものとして解釈し、「情報把握」の因子とした。
第II因子は、35「自分が選んだ方法で調べても分からないときは、別 の方法で調べる。」、16「いろいろな方法の調べ方を考える。」など6項
目からなり、「調べ学習」を行う際の調べ方を決めたり、実行したりす るようなときの思考活動を示すと解釈し、「方略選択」の因子とした。
第III因子は、5「今から調べることが賛成か反対か自分の立場を決め るような問題のとき、知っていることをもとに立場を決めてから調べ始 める。」、13「できるだけ自分の身近なことについて調べる。」など5項 目からなり、「調べ学習」において実際に調べる活動を始めるに当たり 何を規準として調べることを決定するのかを示すものと解釈し、「活動 の方向性決定」の因子とした。
第IV因子は、32「説明を聞くときにはメモを取る。」、26「調べたこと はノート(メモ・カード)にまとめる。」など4項目からなり、「調べ 学習」における実際の調査活動の方法を示すものと解釈し、「調査活動」
の因子とした。
第V因子は、31「調べた中で出てきたなずかしい言葉は、友達にも分 かるような言葉になおす。」、39「他の人の発表で分からない言葉があ ると、それについて質問する。」など3項目からなり、「調べ学習」の 際に情報を理解しやすい形に変換しようとする活動を示すものと解釈
し、「情報の精緻化」の因子とした。
第VI因子は、17「どんな調べ方があるか教科書を見る。」、3「今ま
で勉強したことの中で調べることと関係するものがないか考える。」な ど4項目からなり、「調べ学習」を進める際に自分の経験や手元にある 資料(内容をある程度把握しているもの)などを解決のために生かそう
とする活動であると解釈し、「経験活用」の因子とした。
第町因子は、U「調べるときには、すでに知っていることでももう一 度確かめる。」、1「その調べることは算数のように答えが1っになる 問題なのか、そうでない問題なのか考える。」の2項目からなり、「調 べ学習」の解決のために自分のもっている情報や課題として与えられた 情報について確認をしようする思考活動を示すと解釈し、「情報確認」
の因子とした。
以上の因子名を表13に示す。
表137因子の因子名
因子1 因子II 因子III
因子w 因子V
因子VI 因子VH
情報把握 方略選択
活動の方向性決定 調査活動
情報の精緻化 経験活用 情報確認
(3)聞かれていることが分かりにくかった質問項目について
児童が聞かれていることが分かりにくかったとして挙げた質問項目の 中でその数が多かったものは、5「今から調べることが賛成か反対か自 分の立場を決めるような問題のとき、知っていることをもとに立場を決 めてから調べ始める。」で、71名中18名と全体の25%を占めた。
その次に多かったものは、4名から5名の児童(全体の6〜7%)が 挙げた以下の6項目であった。
<5名が挙げたもの>
2「調べることと自分の生活との関わりを考える。」
3「今まで勉強したことの中で調べることと関係するものが ないか考える。」
6「何を調べればよいのか自分の言葉で言い換える。」
14「答えの予想がたっているものを調べる。」
<4名が挙げたもの>
1「その調べることは算数のように答えが1つになる問題な のか、そうでない問題なのか考える。」
20「前にした調べ方で調べる。」
聞かれていることが分かりにくかったとして挙げられた質問項目の延 べ数は69で、これは全体2840(40項目×71名)の2.4%にあたる。1 人でも挙げた項目数は22項目(全体40項目の55%)となるが、上に 挙げた7つの項目で46(挙げられた項目数69の67%)を占めている ので、他の項目はほとんど1〜2人であった。また、これらの項目を挙 げた児童は29名で、これは全体の41%にあたる。1人で15項目を挙 げた児童もいるが、ほとんどの児童が1〜3項目であった。記入中の質 問も各学級で延べ10人程度で、限られた項目(5番)であった。
3.問題解決における計画立案時の思考についての調査結果
メタ認知的知識の測定質問紙による合計得点の度数分布を図2に示 す。得点範囲は、40点から160点である。最高は、126点。最低は53 点。平均と標準偏差は、それぞれ84.86点と15.41点であった。
20 15
人
10
数
5 0
40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160
メタ認知的知識質問紙合計得点
図2 メタ認知的知識測定質問紙の合計得点度数分布(n=71)
この結果をもとに得点の上位の児童から5名(男子3名、女子2名)
と得点の下位の児童から5名(男子3名、女子2名)を対象者にした。
インタビューの内容は、記録とビデオにより、児童の発言の記録を作成
した。
計画の作成にあたって、記入に要した時間は、群による特徴はなく個 々に異なった。しかし、上位群はすぐに計画書の記入に入れたが、下位 群は、考え込んでしまい記入作業が進まない児童が多かった。計画書に 記入した活動(調べ方やまとめ方といった具体的作業)の数も上位群の 平均が4.8(SDは1.64)に対し、下位群は2.8(SDは1.79)と低かっ
た。
インタビューの各項目について、上位者と下位者で違いがみられたも のを以下た挙げる。まず、計画書を書くときに考えたことについてまと めたものを表14に示す。
表14計画書を書くときについてのインタビュー結果 (メタ認知的知識得点上位者5名、下位者5名)
質 問 項 目 メ タ 認 知 的 知 門門 点
上 位 者 下 位 者
①一番最初に考えたことは何ですか。 調べる対象… 3名 答え・・・… 3名 調べ方・・… 2名 回答なし・… 2名 迷った・・… 全員 迷った・・… 4名
調べ方… 2名 理由はなし
② この問題について、どういうふうに 問題解釈・・2名
答えようか迷いましたか。 まとめ方、調べる場所 迷わなかった・・1名
原発について知らない 答えが決まっていた 計画を立てる(各1名) から (答えに意識)
見学一前にしたから 見学一理由なし 前に見学したから 本一詳しそうだから
実際に見た方がよ 図書館一分かりそう
③何をヒントに調べ方を決めましたか。 く分かる(経験) 家の人一教えてくれる 本一いつもしているから 回答なし・… 1名
聞く一二にもした 調べた経験について聞く
と3名がなしと答える 考えた・・… 3名 考えた・・… 1名
インタビュー(2名) インタビュー
④ いろいろな調べ方を考えてみました 本(1名)
か。 考えなかった・・2名 考えなかった・・4名
最初の方法が1番良い 特に思いつかなかった と思った(経験から)
考えあり・… 全員 考えあり・… 2名
⑤ 調べ方が思いつかないときにはどう 人に聞く(3名) 先生に聞く(2名)
しますか。 自分で考える 本を探しに行く
自分の方法を試して 例示すると回答・・3名
から、また考える 人に聞くを選ぶ
(注)質問項目の番号は通し番号で表10の番号とは一致しない。
次に、発表や調べ学習への意識についてまとめたものを表15に示す。
表15発表や調べ学習への意識についてのインタビュー結果 (メタ認知的知識得点上位者5名、下位者5名)
質 問 項 目 メ タ 認 知 的 知 識 得 点 上 位 者 下 位 者 分かってもらえる言葉に 声の大きさ(2名)
直す(2名) はっきり話す(2名)
⑥ 発表をするときに気をつけているこ 分からない言葉がないよ わかりやすく書く(1名)
とはありますか。 うにする(2名) 読む練習をする(1名)
相手に意味が伝わるよう
に工夫する(1名) 回答なし・… 1名 メモ・・・… 2名 静かに聞く… 3名
分からない言葉 自分と比べながら・1名 自分の考えと違うと 回答なし・… 1名
ころ
⑦ 発表を聞くときどんなふうに聞きま 要点・・・… 1名
すか。 メモをしながら質問
もする
自分の知らなかったこと を注意して聞く・・1名 静かに聞く… 1名
興味のあることを調べる みんなですることが楽し のが面白い(2名) い(2名)
友だちと調べていくのが 資料がたくさん集まると 楽しい(1名) 楽しい(1名)
⑧「調べ学習」は好きですか。 自分で調べて分かったと いろいろなことが調べら
(全員が肯定的な回答、その理由を聞く) き楽しい(1名) れて楽しい(1名)
本を探すのは面倒だが、 友だちの意見がたくさん まとめるのが好き(1名) 出るから楽しい(1名)
社会は好き、理科は嫌い
(1名)
好き・・・… 1名 好き・… 9・1名 自分と違う意見が聞け 自分と違う意見が聞け
るから るから
あまり好きではない2名 どちらでもない・・2名 立場を決められない、 理由なし
調べるほどいろいろと あまり好きではない2名
⑨ このような賛成か反対かの自分の立 分かるから(1名) 理由なし 場を決めるような問題は好きですか。 嫌いではないが、分か
(各4名が否定的な回答、理由を聞く) らないことを調べる方 がよい(1名)
苦手・嫌い・… 2名 どちらの立場もあって 迷うから(1名)
自分が真ん中だから迷 う(1名)
(注)質問項目の番号は、表14からの通し番号で表10の番号とは一致しない。