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最後に、これまで取り組んできた国際化・国際連携の過程で、課題として認識しているこ とについて、 「5:とても大きな課題 - 4 - 3:大きな課題 - 2 - 1:あまり大 きな課題ではない」の 5 段階で回答いただいた。その結果を図 4-5 に示す。

全体的に、課題として認識している程度の平均値が 2 から 3 の間にある項目が多い。「国 際化に関する戦略・計画の不備[項目 3]」 、 「海外留学に対する日本人学生の意欲減退[項目 8]」 、 「国際的に通用するカリキュラム内容の設定の難しさ[項目 15]」 、 「不十分な財源[項目

12]」に関しては、課題認識程度の中間値である 3 に位置しており、比較的に大きな課題と

して認識されていることが分かる。中でも、 「不十分な財源」に関しては課題認識の程度が 3.15 で最も高い。

一方、国際化・国際連携における大学の「トップの理解と関与の不足[項目 2](1.99) 」 に関しては、課題認識の程度が最も低く、 「相手大学との文化的・言語的障壁[項目 17]

(2.12) 」 、 「相手大学における教育内容の情報入手の困難さ[項目 19] (2.14) 」に関しては、

他の課題に比べて、比較的に大きな課題としては認識していないようである。

設置者別にみると(図 4-6) 、全体的に国立大学の課題認識程度が公立・私立大学より高 い傾向がみられるものの、リーダーシップとトップの理解などを求める項目に関しては、

私立大学の方が他大学より大きな課題として認識している。また、公立大学の場合、戦略・

計画及び組織内の規定における国際化の不備などに関して、他大学より課題として認識し ている度合が高い。

5 段階中の“5:とても大きな課題”から“3:大きな課題”までの回答を合わせた割合が

50%を超えている項目は、国公私立大学ともに「国際化に関する戦略・計画の不備[項目 3]」 、

「海外から優秀な学生の勧誘の難しさ[項目 7]」 、 「海外留学に対する日本人学生の意欲減退

1 2 3 4 5

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

課 題 認 識 程 度

( 折 れ 線 グ ラ フ

) 課

題 と し て 認 識 し て い る 割 合

( 棒 グ ラ フ

図 4-5 国際化・国際連携における課題

5=とても大きな課題 4 3=大きな課題 2 1=あまり大きな課題ではない 課題認識程度

[項目 8]」 、 「教員の関心・関与の不足[項目 9]」 、 「不十分な財源[項目 12]」 、 「国際的に通用 するカリキュラム内容の設定の難しさ[項目 15]」 、 「高等教育の国際化に関する国家政策の 不十分さ[項目 21]」である。

国立大学の場合、課題認識程度の中間値である 3 を超えているのは[項目 8、 12、 15、 21]

であり、 「不十分な財源[項目 12]」が 3.94 であり、約 87%の大学が大きな課題であると認 識している。次いで「国際的に通用するカリキュラム内容の設定の難しさ[項目 15](3.33)

(約 82%) 」 、 「海外留学に対する日本人学生の意欲減退[項目 8] (3.27) (約 73%)」 、 「高等 教育の国際化に関する国家の政策の不十分さ[項目 21](3.16) (約 69%) 」が続く。

公立大学の場合は、中間値 3 を超えている項目は「不十分な財源[項目 12](3.54) 」 、 「国 際化に関する戦略・計画の不備[項目 3](3.03) 」 、 「国際的に通用するカリキュラム内容の 設定の難しさ[項目 15](3.00) 」であり、大きな課題として認識している大学の割合はそれ ぞれ、約 71%、約 66%、約 74%である。

私立大学の場合は、中間値 3 を超える項目はないなか、 「国際的に通用するカリキュラム 内容の設定の難しさ[項目 15]」が 2.99 で最も高く、割合は約 67%であった。次いで「国 際化に関する戦略・計画の不備[項目 3]」に関しての課題認識程度は 2.97 で、大きな課題 として認識している割合は約 69%であった。一方「不十分な財源[項目 12]」に関しては国 立大学(3.94) 、公立大学(3.54)に比べて私立大学(2.90)の課題認識の程度は比較的に 低かった。

規模別にみると(図 4-7) 、すべての項目において大中小規模の順に課題認識程度の点数 が高い。 “5:とても大きな”から“3:大きな”課題として認識している割合が 50%を超 えている項目は大中小規模の大学ともに、 「国際化に関する戦略・計画の不備[項目 3]」 、 「海 外から優秀な学生の勧誘の難しさ[項目 7]」 、 「海外留学に対する日本人学生の意欲減退[項 目 8]」 、 「教員の関心・関与の不足[項目 9]」 、 「不十分な財源[項目 12]」 、 「国際的に通用す るカリキュラム内容の設定の難しさ[項目 15]」である。また、ほぼすべての項目において 課題認識の程度は、大規模、中規模、小規模の順に高い。課題認識程度の中間値である 3 を超える項目については、大規模大学の場合は、[項目 3、5、7、8、9、10、12、15、21]

であり、そのうちトップは「国際的に通用するカリキュラム内容の設定の難しさ[項目 15]

(3.53) 」であり、次いで「不十分な財源[項目 12]」と「海外留学に対する日本人学生の意

欲減退[項目 8]」が 3.23 で続く。中規模大学の場合は、課題認識程度の中間値である 3 を

超える項目は、 [項目 3、8、12、15]の 4 つであり、うちトップは「国際的に通用するカリ

キュラム内容の設定の難しさ[項目 15]」と「不十分な財源[項目 12]」が 3.17 で並ぶ。ま

た、小規模大学の場合、中間値 3 を超える項目は「不十分な財源[項目 12](3.10) 」の一つ

であり、次いで「海外留学に対する日本人学生の意欲減退[項目 8](2.78) 」と「国際化に

関する戦略・計画の不備[項目 3](2.76) 」が続く。

図 4-6 国際化・国際連携における課題(設置者別)

課題として認識している割合(棒グラフ)

課題認識程度(折れ線グラフ)

1. 組織内のリーダーシップの欠如 2. トップの理解と関与の不足

3. 国際化に関する戦略・計画の不備 4. 組織内の規程が国際化を想定していない ことによる障害

5. 国際化に係わる複数の組織間の情報交換の不足 6. 組織における責任権限の不明確さ 7. 海外からの優秀な学生の勧誘の難しさ 8. 海外留学に対する日本人学生の意欲減退 9. 教員の関心・関与の不足 10. 職員の関心・関与の不足 11. 教職員の昇進や給与等の処遇への国際化に関する

業務の反映が不十分

12. 不十分な財源 13. 教員の教育研究面における海外経験の不足 14. 教員の外国語能力の不足 15. 国際的に通用するカリキュラム内容の 設定の難しさ 16. 海外の資格で要求される教育内容の、

日本の資格で要求される教育内容とのずれ

17. 相手大学との文化的・言語的障壁 18. 相手大学とのアカデミック・カレンダー

(学暦)の調整の難しさ

20. 相手大学における成績評価及び単位認定に 関する情報入手の困難さ 19. 相手大学における教育内容の情報入手の困難さ

21. 高等教育の国際化に関する国家の政策の不十分さ 22. 自大学の知名度・認知度の低さ

23. 日本の高等教育に対する認知度の低さ

図 4-7 国際化・国際連携における課題(規模別)

課題として認識している割合(棒グラフ)

課題認識程度(折れ線グラフ)

1. 組織内のリーダーシップの欠如 2. トップの理解と関与の不足

3. 国際化に関する戦略・計画の不備 4. 組織内の規程が国際化を想定していない ことによる障害 5. 国際化に係わる複数の組織間の情報交換の不足

6. 組織における責任権限の不明確さ 7. 海外からの優秀な学生の勧誘の難しさ 8. 海外留学に対する日本人学生の意欲減退 9. 教員の関心・関与の不足 10. 職員の関心・関与の不足 11. 教職員の昇進や給与等の処遇への国際化に関する

業務の反映が不十分

12. 不十分な財源 13. 教員の教育研究面における海外経験の不足 14. 教員の外国語能力の不足 15. 国際的に通用するカリキュラム内容の 設定の難しさ 16. 海外の資格で要求される教育内容の、

日本の資格で要求される教育内容とのずれ

17. 相手大学との文化的・言語的障壁 18. 相手大学とのアカデミック・カレンダー

(学暦)の調整の難しさ

20. 相手大学における成績評価及び単位認定に 関する情報入手の困難さ 19. 相手大学における教育内容の情報入手の困難さ

21. 高等教育の国際化に関する国家の政策の不十分さ 22. 自大学の知名度・認知度の低さ

23. 日本の高等教育に対する認知度の低さ

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質問紙の最後には、国際化の推進によって得られた成果を教育内容や学習成果面、大学 の運営・経営ならびに大学の評判、その他の 3 つに分けて、自由記述として回答していた だいた。以下では国公私立大学別に区分して、回答内容の一部を抜粋し、表 5-1 から表 5-3 までに示す(全体内容は添付資料 2 を参照)。なお、大学名を示すことに許諾をいただいた 大学の回答には、欄の最後に大学名を付して記載している。

教育内容や学生の学習成果面における成果に関しては(表 5-1) 、学習意欲、語学力、興 味・関心、国際的な意識、成績の向上といった成果があがっている。また、大学の運営・

経営ならびに大学の評判等における成果・効果に関しては(表 5-2) 、留学生、入学希望者、

交流等の増加、認知度・知名度、評判、地域・海外大学からの評価などの向上といった内 容が多かった。その他の成果に関しては(表 5-3) 、外国人学生の存在自体が良い刺激とな る、交流により豊かな人間性が育まれる、協定校が拡大しやすくなるなど、肯定的な成果 があがっている。

表 5-1 教育内容や学生の学習成果面における成果(一部抜粋)

�国立大学�

・外国語による授業の拡大。・日本人学生の海外派遣数及び受入留学生数の増加。・二重学位性の導入。

・優秀な留学生を受け入れるようになった結果,卒業後に本国で主要な地位で活躍する者が増加した。

日本人卒業生も,留学生の受け入れ増加にともなうコミュニケーション増加や語学力向上に継続的に取り組んだ結 果,海外で活躍する人を多数輩出できるようになった。(小樽商科大学)

・交換留学を経験した学生の成長が顕著であり、周囲の学生への良い刺激になっている。短期語学研修についても同 様の成果が上がっている。語学の授業の際に、留学という道のあることを学生に伝えることで、語学学習に厚みを もたせることができる。(福島大学)

・英語特別プログラムの実施により、一般コースの授業の英語化が推進された。

国内学生の海外留学が推進された。(平成21年度19名 → 平成23年度100名)(徳島大学)

・学部:臨床実習の交換留学を行っている。英語による実習となるため語学の力がつく。又、異文化の理解により視 野が広くなる。大学院:(受け入れ)日本の文化、日本人の思考方法を理解する。

・アジア人材資金構想「高度専門留学生育成事業」で得たノウハウを活用し、留学生の日本企業での就職を支援する 教育プログラムを確立し、またコンソーシアム企業とのネットワークを構築したことにより、留学生の就職支援の ための基盤が整備されたと考える。(群馬大学)

・留学の経験で国際的な感性が育ち、国際コンクールにおいて入賞するなど、成果が現れている。また、日本におい て目的意識の高い留学生と一緒に学ぶことで、日本人学生の学習意欲が高まっている。

・英語による学位コースの開設等により従来に増して多様な学生が入学することとなった。これに伴い教育内容や教 育方法等の改善が進み、学生の学習成果の向上が期待される。

・ダブルディグリーをひとつの手掛かりとして、ヨーロッパおよびアジアの諸大学との連携を深め、結果として多様 な学生の派遣・受入につながった。・夏季短期留学、語学研修、交換留学などの学生派遣や留学生との交流の推進 を通し、学生の国際化に対する意識が高まった。(静岡大学)

・国際的経験が、学生の多様な文化・価値観に対する理解や、 国際的に通用する高度専門職としての能力形成に貢 献している。この機会を以下により多くの学生に拡大していくかが課題。(滋賀大学)

�公立大学�

・小規模大学であることから、留学経験者の活躍が学内に広まりやすく、海外渡航に関心が高い学生が多くいる。

その結果、交換留学生選抜試験志願者数や短期プログラム参加者数は高い水準で安定しており、国際的な経験を望 む学生が多く育っているといえる。(宮崎公立大学)

・国際的な視野が広がった。留学するため選抜試験を優秀な成績でパスしなければならないため、語学及び各教科の 学習意欲が高進した。優秀な留学生により啓発されてきた。

・教育システムや指導教員の考え方の違い・価値観の違いを知ることで、学生達に多様な視点(物の見方)をもたら している。大変良い効果と考える。(金沢美術工芸大学)

�私立大学�

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