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第1 「就学指導」から「教育支援」へ

国においては、障がい者制度改革推進会議において、インクルーシブ教育の推進を基本的な 理念とした制度改革にかかわる検討が行われ、その結果を受け、文部科学省中央教育審議会初 等中等教育分科会「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」から、現在の就学指導の在り 方を改善する方向性を含んだ「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のた めの特別支援教育の推進(報告)」(平成 24 年7月)が公表された。また、平成 25 年9月には 学校教育法施行令の一部を改正する政令が公布され、障がいのある児童生徒等の就学先決定の 仕組みに関する改正が行われた。こうした動向に合わせ、現在の県就学指導委員会の在り方の 検討を進めた。

1 市町村教育委員会を対象とした就学指導にかかわる支援体制の整備

就学指導に関する各市町村就学指導委員会の抱える課題やニーズ、困難なケース等の相談、

支援への助言を行うために、特別支援教育エリアコーディネーターを県就学指導委員会調査 員(就学支援アドバイザー)に任命し、市町村における就学指導委員会を支援する体制を整 えた。

就学支援アドバイザーの活動状況(平成 28 年4月~平成29 年1月)は、計 129 回であった。

2 県就学指導委員会規則の一部改正

教育上特別な支援を必要とする児童生徒等の就学先決定時のみならず、就学先決定後の学 校生活における支援の内容等に係る調査審議、助言をさらに充実させるため、名称を「岩手 県教育支援委員会」と改めるなど、県就学指導委員会規則の一部改正を行った。

第2 幼、保、小、中、高等学校における特別支援教育の充実

1 特別支援教育エリアコーディネーターの指名及び配置

特別支援教育に関する研修や相談などの業務を効果的に推進するため、各教育事務所に特 別支援教育エリアコーディネーター(教諭兼指導主事)を1人配置した。特別支援教育エリ アコーディネーターは、学校教育課及び教育事務所と連携しながら管内の特別支援教育に関 する課題に対応するとともに、全県的な課題にも同一歩調で対応するなど効果的な業務の推 進を図った。

2 特別支援学校による相談、研修等の支援

各特別支援学校の特別支援教育センター的機能を活用し、地域の幼稚園、保育所、小・中 学校、高等学校等での相談や研修等への支援を行った。また、幼稚園、小・中学校等 80 校を 対象に、継続的に訪問し、当該校を支援する継続型訪問支援を実施した。

3 特別支援教育研修資料の活用

平成25年度に作成した『交流及び共同学習ガイドブック』を活用し、県内の公立小・中学校 と特別支援学校の交流及び共同学習の推進を図った。

4 いわて特別支援教育かがやきプラン推進事業の継続実施

平成 28 年5月1日現在、県単独事業により県立高等学校(県立中学校を含む)33 校へ特 別支援教育支援員34人を配置し、障がい等によって個別の指導及び支援が必要な生徒への支 援の充実を図った。

第3 特別支援教育の理解促進

1 いわて特別支援教育講演会の実施

インクルーシブ教育の理念と地域の中で障がいのある子どもを育むための環境について、

広く県民の皆様に対して情報提供するため、平成 28 年度に県民向け特別支援教育講演会を盛 岡市、北上市、宮古市の3箇所で開催した。盛岡会場では 87 人、北上会場では 83 人、宮古 会場では34人の参加を得た。

2 幼稚園及び保育所を対象とした研修会の実施

幼稚園、保育所、療育関係者等を対象に幼児期における障がいの基本的理解や対応と園内 での特別支援教育の推進を図るための研修会を久慈市と盛岡市の2箇所で実施した。久慈会 場では33人が参加し、盛岡会場では87人の参加を得た。

3 特別支援教育ボランティアの育成と活用

平成 28 年度は、盛岡となん支援学校、一関清明支援学校、久慈拓陽支援学校において、特 別支援教育ボランティア養成講座を開催した。さらに修了者が登録するボランティアバンク について周知と活用を図り、小・中学校等及び特別支援学校における活用を図った。

平成 28 年度のボランティア活動実績は、幼稚園・保育園、小学校、特別支援学校において 延べ114件、264人が活用された。

第4 特別支援学校生徒の就労支援の充実

1 県の機関における職場実習の受け入れ

教育委員会事務局、商工労働観光部、保健福祉部、盛岡広域振興局、労働委員会事務局等 が連携し、特別支援学校高等部生徒4人の現場実習を受け入れた。各機関において、2日か ら2週間にわたって実習を実施した。

(特別支援教育支援員配置校)

・杜陵高等学校定時制 ・盛岡農業高等学校 ・葛巻高等学校 ・平舘高等学校

・雫石高等学校 ・紫波総合高等学校 ・花巻北高等学校 ・花巻農業高等学校

・大迫高等学校 ・西和賀高等学校 ・水沢農業高等学校 ・前沢高等学校

・岩谷堂高等学校 ・一関第一高等学校 ・一関第一高等学校附属中学校

・一関第二高等学校 ・花泉高等学校 ・千厩高等学校 ・住田高等学校

・大船渡東高等学校 ・釜石高等学校定時制 ・釜石商工高等学校 ・遠野高等学校

・遠野緑峰高等学校 ・大槌高等学校 ・山田高等学校 ・宮古高等学校

・宮古北高等学校 ・宮古水産高等学校 ・岩泉高等学校 ・久慈高等学校長内校

・伊保内高等学校 ・福岡高等学校定時制

2 関係機関との連携

岩手労働局、岩手障害者職業センターと共催で「就労支援セミナー」を盛岡峰南高等支援 学校で開催するなど、関係機関との連携を図った。

3 啓発リーフレットの活用

平成25年度に作成した企業事業所向けの啓発リーフレットを活用し、特別支援学校卒業生の 雇用及び職場実習先の開拓や、学校の進路指導の充実を図った。

4 企業との連携協議会の開催

平成28年度は、盛岡地区、花巻地区、北上地区、胆江地区、一関地区、大船渡・陸前高田 地区、釜石地区、宮古地区、久慈地区において67企業・事業所の参加を得て企業との連携協 議会を各地区で1~3回開催し、特別支援学校の職業指導や高等部生徒の学習の様子につい て企業の理解を深め、また、参加企業から指導内容等についての助言を受けることができた。

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