水田における生態系についての影響を把握するため、表 4.7-1 に項目に示す調査を実施し た。
表 4.7-1 調査項目
項目 対象種 調査時期
湛水期 両生類 ニホンアカガエル(典型性)
夏季・春季 鳥類 サギ類(上位性)
非湛水期 鳥類
ミヤマガラス(典型性)
秋季・冬季 チョウゲンボウ(上位性)
(2) 調査時期
調査は、表 4.7-2 に示すとおりに実施した。
表 4.7-2 調査時期
調査時期 調査時期
冬 季 平成 28 年 1 月 25 日 春 季 平成 28 年 5 月 12 日~13 日 夏 季 平成 28 年 8 月 8 日~9 日 秋 季 平成 28 年 10 月 4 日
(3) 調査地域及び調査地点
調査地域は、生態系に影響が想定される地域とし、図 4.5-1 に示すとおり、植物、動物の 調査地域に準じ、事業実施区域境界より 200mの範囲とした。
(4) 調査方法
①両生類
調査範囲内を踏査し、幼体や成体、鳴き声のほか卵嚢や幼生の確認や繁殖状況にも留意し、
調査を実施した。
②鳥類
ラインセンサス調査、定点調査、任意調査により、確認位置、個体数、確認状況を記録し た。
162 (5) 調査結果
①ニホンアカガエル(湛水期・典型性)
ニホンアカガエルは、調査範囲内で 12 地点、調査範囲外で 2 地点確認された。調査範囲 内では、事業実施区域に隣接する水田や水路において広範囲に確認された。ニホンアカガエ ルの確認状況を図 4.7-1 に示す
②サギ類(湛水期・上位性)
サギ類は、事業実施区域ではサギ類の確認はなく、調査範囲内においてゴイサギが 1 地点 1 個体、ササゴイが 1 地点 2 個体、ダイサギが 2 地点 2 個体、チュウサギが 9 地点 11 個体、
コサギが 1 地点 3 個体、確認された。調査範囲外の確認地点数は、ゴイサギ 1 地点 1 個体、
ササゴイ 2 地点 2 個体、ダイサギ 2 地点 4 個体、チュウサギ 9 地点 11 個体、コサギ 2 地点 2 個体、アオサギ 1 地点 2 個体であった。サギ類の確認状況を図 4.7-2 に示す。
③ミヤマガラス(非湛水期・典型性)
ミヤマガラスは、事業実施区域内での単独確認はなく、調査範囲内では 1 回 5 個体、調査 範囲外では 4 回延べ 8,030 個体が確認された。ただし、これらは異なる時間に確認された同 一の群れであり、群れの規模は最大時で約 5,200 個体、この群れの範囲は事業実施区域内か ら調査範囲外まで広く確認された。当該種のほとんどの個体は耕作地で採餌を行っていたが、
事業実施区域内では、電線で休息を行っていた。ミヤマガラスの確認状況を図 4.7-3 に示す。
③チョウゲンボウ(非湛水期・上位性)
チョウゲンボウは、事業調査範囲内で 3 回 3 個体の確認がありそのうち 1 回は事業実施区 域上空を通過した。調査範囲外では 3 回 3 個体確認し、採餌行動も確認した。チョウゲンボ ウの確認状況を図 4.7-4 に示す。
163
図 4.7-1 ニホンアカガエル確認位置図
※注目すべき種の保護のため非公開とした。
164
図 4.7-2 サギ類確認位置図
※注目すべき種の保護のため非公開とした。
165
図 4.7-3 ミヤマガラス確認位置図
※注目すべき種の保護のため非公開とした。
166
図 4.7-4 チョウゲンボウ確認位置図
※注目すべき種の保護のため非公開とした。
167
4.7.2. 予測結果と調査結果の比較
生態系に係る指標種について、評価書における予測及び事後調査による検証結果を表 4.7-3(1)~(2)に示す。
表 4.7-3(1) 指標種の予測及び検証結果
【 湛水期 】
種 名 予 測 事後調査 検証結果
典型性
ニホンアカガエル 両生類
・事業実施区域内は、公園や道 路整備とともに、将来的には 戸建て住宅等の建造物が立地 する。そのため、事業実施区 域内において当該種に適した 生息環境の回復は見込みにく いと予測する。しかし、事業 実施区域南側は水田環境と接 しているため、戸建て住宅の 庭先等を生活の場の一部とす る可能性もあると予測する。
・事業実施区域内での確認は なかった。
・事業実施区域外南側の境界 の水路及び周辺の水田にお いて多数確認された。
・事後調査の結果、事業実施 区域内では確認されなか った。事業実施区域内は公 園や道路整備とともに、戸 建て住宅等の建造物が立 地していることから、予測 のとおり、生息環境の回復 は見込みにくいと考えら れる。
・事業実施区域周辺では、南 側水田を中心に広く多く 確認されており、今後、周 辺からの移動等により、戸 建て住宅の庭先等を利用 する可能性も考えられる。
上位性 サギ類 鳥類
・事業実施区域内は、公園や 道路整備とともに、将来的 には戸建て住宅等の建造物 が立地する。そのため、事 業実施区域において当該種 に適した採餌・休息環境の 回復は見込めないと予測す る。
・事業実施区域内での確認は なかった。
・事業実施区域外周辺の水田 では、単独、あるいは小群 で採餌や休息する個体を確 認した。
・事後調査の結果、事業実施 区域内では確認されなか った。事業実施区域内は公 園や道路整備とともに、戸 建て住宅等の建造物が立 地していることから、予測 のとおり、採餌・休息環境 が消失し、利用はなくなっ たと考えられる。
・事業実施区域外周辺では、
近傍の水田でも採餌、休息 している個体を確認した ことから予測の通り、事業 の実施による影響はほと んどなかったと考えられ る。
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表 4.7-3(2)指標種の予測及び検証結果
【 非湛水期 】
種 名 予 測 事後調査 検証結果
典型性 ミヤマガラス 鳥類
・事業実施区域内は、公園や道 路整備とともに、将来的には 戸建て住宅等の建造物が立地 する。そのため、事業実施区 域内において当該種に適した 採餌・休息環境の回復は見込 めないと予測する。
・事業実施区域内の単独での 確認はなかったが、直近の 位置を通過する個体を確認 した。
・事業実施区域外南東では、
採餌を行う約 5,200 個体の 群れを確認し、その一部が 事業実施区域の電線で休息 していた。
・事業実施区域内は公園や道路 整備とともに、戸建て住宅等 の建造物が立地しているこ とから、予測のとおり、採餌 環境の回復は見込めないと 考えられる。しかし、周辺地 域で当該種と混群を形成し ていたカラス類とともに、事 業実施区域内の電線で休息 していた。周辺には採餌環 境が十分に残っており、今 後も同様の利用が想定さ れる。
上位性
チョウゲンボウ 鳥類
・事業実施区域内は、公園や道 路整備とともに、将来的には 戸建て住宅等の建造物が立地 する。そのため、事業実施区 域内において当該種に適した 狩りや採餌環境の回復は見込 めないと予測する。
・冬季に事業実施区域上空を北 東へ通過する1個体と、秋季 に事業実施区域北側の住宅地 上空を飛翔する1個体を確認 した。
・事業実施区域外では、南側の 水田で冬季に2個体、秋季に 1個体。北西約900mで飛翔す る1個体。北東約800mの水 田で探餌を行う1個体を確認 した。
・事後調査の結果、事業実施区 域では上空を通過する個体 の確認はあったものの、採餌 行動の確認はなかった。予測 のとおり、事業実施区域内の 採餌環境は消失したが、周辺 の水田では採餌を行ってお り、利用が継続していること を確認した。