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奥行き知覚と知覚された移動距離の相関

3.3 奥行き知覚と知覚された移動距離の相関

図奥行き知覚と移動距離の体感の関係を示している.実験1では距離が長くなると正しい 奥行きに近づく傾向が見られるが,実験2ではその傾向は見られなかった.

3.17 奥行き知覚と知覚された移動距離の相関

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考察

今回の実験結果では,実験1の2フレーム条件,実験2の連続提示条件のどちらの条件で も移動前と移動後の奥行きが同じに知覚される値が有意に小さくなっていることから,対象 に近づく奥行きを過大視していることが示された。この結果から,両眼視差自体が大きくな ることによる影響,移動距離を短く見積もっていることによる影響が考えられる.しかし,

移動前と同じに知覚された奥行きと知覚された移動距離の相関分析では,明確な関係が見ら れなかったことから,本研究において奥行きを大きく見積もる結果となったのは,移動距離 を短く見積もっていたからではなく,両眼視差自体が大きくなることによるものであること が示唆された.

また,実験1の2フレーム条件と実験2の連続提示条件を比較すると移動前と移動後の 奥行きが同じに知覚される奥行きが増加したと判断した割合の0.5での値が,実験1の2フ レーム条件の2.36 cmに比べて実験2の連続提示条件では2.55 cmになっていることから,

実験2の連続提示条件の方が正しい奥行きに近く知覚していることがわかるが,2つの条件 の間には有意な差は見られなかった(t(6)= 0.400,p= 0.702).これは,リアルタイムな 視差情報の変化が観察者の移動に伴った正確な奥行きスケーリングに大きな影響をもたらさ ないということが考えられる.このことから,正確な奥行きスケーリングには,陰影やテク スチャなどの他の奥行手がかりを用いていることがわかる.

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まとめ

近年バーチャルリアリティや3Dゲームなどの普及により,3D映像を観察しながら移動 する機会が増えると考えられる.しかし,観察者の能動的な移動を伴った両眼視差の変化が 奥行き知覚にどのような影響を与えるか検討されていない.そこで本研究では,静止した2 フレームの刺激を提示する条件と連続的に刺激を提示しリアルタイムに奥行きが変化する条 件で,観察者の移動に伴った両眼視差の変化によって物体内の奥行きが変わらず一定に知覚 される条件を検討した.

実験の結果,どちらの条件でも奥行きが小さくなるときに一定として知覚され,近距離で は奥行きが過大視されていることが示された.これは両眼視差自体が大きくなることによる 影響が示された.また2フレーム条件と連続提示条件では明確な差は認められず,移動中の リアルタイムな視差変化の情報は,観察者の移動を伴った正確な奥行きスケーリングに大き な影響をもたらさないことが示唆された.

謝辞

本研究および論文作成にあたり,ご指導ご鞭撻を頂いた繁桝博昭先生に深く感謝いたしま す.また,副査を務めて頂いた篠森先生,妻鳥先生に感謝いたします.実験のプログラム作 成に協力していただいたヤンさん,実験の際に被験者として参加いただいた繁桝研究室,他 研究室のみなさん,アドバイスをくれた谷部先生に心より感謝いたします.ありがとうござ いました.

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