以下では、大統領令第 13833 号「連邦行政機関の最高情報責任者の効率性の促
164 40 U.S.C. § 11315(c)(3).
165 Federal Information Security Management Act of 2002, Pub. L. No. 107-347, 116 Stat. 2899 (2002) (codified as amended in scattered sections of 44 U.S.C., 40 U.S.C., and 15 U.S.C.).
166 Fed. Info. Sec. Modernization Act of 2014, Pub. L. No. 113-283 (2014).
167 Carl Levin and Howard P. ‘Buck’ McKeon National Defense Authorization Act for Fiscal Year 2015, Pub. L. No. 113-291, division A, title VIII, subtitle D, 128 Stat. 3292, 3438 (Dec. 19, 2014).
168 See FITARA § 831.
進」を筆者が訳出したものを紹介する169。
<大統領令第 13833 号「連邦行政機関の最高情報責任者の効率性の促進」>
米国の連邦憲法及び法令により大統領に授権された権限に基づき、ここに以下 のように命じる。
第1条「目的」
連邦政府は、情報技術(IT)に、毎年、900 億ドル以上を費やしている。こ の費用の大半は、現代の技術よりも非効率的で費用のかかる時代遅れの IT イン フラを維持するために使われている。現代の IT システムを使えば、連邦行政機 関は費用を削減でき、サイバーセキュリティリスクを低減し、よりよいサービ スを米国市民に提供しうる。最近成立した連邦政府技術現代化法(Modernizing Government Technology Act)は、連邦行政機関が、より効率的で、有用かつ 安全な技術に移行することを支援するための財源を提供するものであるが、より 多くのことが、IT リソースの管理を向上させるために行われなければならない。
省庁やその他の連邦行政機関(以下、「連邦行政機関」という。)の最高情報責任 者 (CIOs) は、一般的に、当該連邦行政機関の IT リソースに関する適切な見通し や管理権限をもっておらず、これが、その重複、浪費や不十分なサービスの提供 を招いてきた。連邦行政機関の最高情報責任者が有効に機能するようになれば、
連邦行政機関は、IT プログラムをより効率的に使用し、サイバーセキュリティ リスクを低減し、かつ、米国市民に対して、より積極的に奉仕することができる ようになる。
第2条「政策」
以下を遂行することが、連邦行政府の政策である。
169 日本語訳の中にある[ ]内の記述は、本大統領令には記載されていないものの、筆者が説 明のために付け加えたものである。
第 (a) 項 最高情報責任者に、IT システムを安全で、効率的で、アクセス可能 で、効果的なものにさせ、かつ、そのような IT システムにより連邦行政機関が その業務を遂行できるようにする権限を付与すること。
第 (b) 項 連邦行政府の IT インフラストラクチャを現代化し、かつ、デジタル・
サービスの提供を有意義なものに向上させること。
第 (c) 項 連邦政府の IT の管理、調達及び監視を向上させること。
第3条「定義」
本大統領令において、以下の各用語は、次のように定義される。
第 (a) 項 「対象連邦行政機関(covered agency)」という用語は、合衆国法典 第 31 編第 901 条[連邦行政機関の最高財務責任者]第 (b) 項で列挙された連邦 行政機関のうち、国防総省と合衆国法典第 44 編第 3502 条第 (5) 項に定義された
「独立規制機関(independent regulatory agency)」とみなさるものを除いたもの を意味する170。
第 (b) 項 「情報技術(information technology)」という用語は、合衆国法典第 40 編第 11101 条第 (6) 項で規定された同じ用語を意味するものとする。
第 (c) 項 「最高情報責任者("Chief Information Officer" or "CIO")」という用 語は、対象連邦行政機関内の合衆国法典第 40 編第 11315 条で規定された個人を 意味する。
170 この規定により、1990年最高財務責任者法(Chief Financial Officers Act of 1990)が適用され る24の連邦行政機関のうち、条文に明記されている国防総省と、「独立規制機関」に該当する原 子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission)については、適用除外となった。
第 (d) 項 「部門最高情報責任者("component Chief Information Officer" or
"component CIO")」という用語は、対象連邦行政機関内の個人で、本条第 (c) 項 で規定する最高情報責任者以外の者で、最高情報責任者という職名の者又は最高 情報責任者としての職務を果たしている者で、かつ、最高情報責任者が対象連邦 行政機関全体に対して果たしているのと同様の IT マネジメントに関する権限を、
当該対象連邦行政機関の一部門に対して有している者を意味する。
第 (e) 項 「IT 職(IT position)」 と い う 用 語 は、 連 邦 人 事 管 理 庁 (OPM) が「職業グループと科分類及び関連指針に関するハンドブック(Handbook of Occupational Groups and Families and related guidance)」において定義した「情 報技術管理シリーズ、GS-2210」における職務分類基準における職を意味する。
第4条「最高情報責任者の義務と責任の強調」
各対象連邦行政機関の長は、以下の事項を着実に遂行するために、全ての必要 かつ適切な行為を実行しなければならない。
第 (a) 項 合衆国法典第 44 編第 3506 条第 (a) 項第 (2) 号に従い、最高情報責任 者は IT を含む全てのプログラムに関して連邦行政機関の長に直接にアクセスが できるように、対象連邦行政機関の最高情報責任者は、連邦行政機関の長に直接 に報告を行うものとする。
第 (b) 項 合衆国法典第 40 編第 11315 条第 (b) 項に従い、かつ、当該連邦行政 機関の業務遂行のために、効果的、効率的かつ安全な IT の利用を促進させるため、
最高情報責任者は、IT の利用に関し、当該連邦行政機関の長に対する最上位の 戦略的アドヴァイザーとしての職務を果たすものとする。
第 (c) 項 合衆国法典第 40 編第 11319 条第 (b) 項第 (1) 号 (A) に従い、最高情報 責任者は、IT に関係する全ての管理、ガバナンスと監視手続、及び、年次及び 複数年に及ぶ計画、プログラム、予算とその執行に関する決定について、適切な 場合、主たるアドバイザーとして重要な役割を果たすものとする。
第 (d) 項 合衆国法典第 40 編第 11319 条第 (b) 項第 (2) 号及びその他の適用を 受ける法律に従い、対象連邦行政機関の最高情報責任者は、当該連邦行政機関の 部門最高情報責任者の任命を承認するものとする。
第5条「連邦行政機関全体における IT 統合」
2017 年3月 13 日の大統領令第 13781 号「連邦行政府の再編成に関する包括案
(Comprehensive Plan for Reorganizing the Executive Branch)」に従い、対象 連邦行政機関の長は、以下の事項を遂行するために、全ての必要かつ適切な行為 を実行しなければならない。
第 (a) 項 不必要な IT 管理機能を削除すること。
第 (b) 項 関連する連邦行政機関の最高情報責任者による助言を考慮に入れな がら、当該連邦行政機関全体の IT インフラストラクチャの統合を促進するため、
連邦行政機関の IT インフラストラクチャの統合又は再構築を行うこと。
第 (c) 項 複数の連邦行政機関又は連邦行政府全体で、IT ソリューションの共 同利用のような、業界のベストプラクティスの利用を増加させること。
第6条「サイバーセキュリティの強化」
2017 年5月 11 日の大統領令第 13800 号「連邦政府のネットワークと重要イン フラのサイバーセキュリティの強化」の諸目的に従い、各対象連邦行政機関の長 は、以下の事項を着実に遂行するために、全ての必要かつ適切な行為を実行しな ければならない。
第 (a) 項 最高情報責任者は、IT リソースに関する管理について、当該連邦行 政機関の長に対する最上位のアドヴァイザーとして、情報技術、情報保全、予算、
調達、法、プライバシー及び人事に関して、それぞれの専門知識を有する上級管 理職からなる統合チームと密接に連携しながら、適切なリスク管理策を実施しな ければならない。
第 (b) 項 当該連邦行政機関は、可能で法により認められている限りにおいて、
現代の電子メールやその他のクラウドベースのサービスを含め、共同して用いる IT サービスの調達を優先させなければならない。
第7条「IT 担当者の知識と技能」
各対象連邦行政機関の長は、以下の事項を着実に遂行するために、全ての必要 かつ適切な行為を実行しなければならない。
第 (a) 項 合衆国法典第 40 編第 11315 条第 (c) 項第 (3) 号に従い、最高情報責任 者は、当該連邦行政機関の IT 担当者に必要とされる知識と技能に関する基準に ついて、当該連邦行政機関の長に、これを評価して勧告しなければならない。
第 (b) 項 前項で確定した知識と技能に関する基準には、全ての部門最高情報 責任者の業績基準が含まれ、かつ、その業績評価に反映される。また、最高情報 責任者は、この業績評価について責任を負う。
第 (c) 項 全ての部門最高情報責任者は、これらの基準を、自らが担当する部 門に適用する。
第8条「IT ガバナンス委員会における最高情報責任者の役割」
適切かつ適用のある法律に合致する限りにおいて、対象連邦行政機関の長は、
最高情報責任者を、当該連邦行政機関の IT の範疇に含まれる投資若しくはこれ に関連する委員会又は当該連邦行政機関全体の IT スタンダードを設定する責務 を負う委員会の委員としなければならない。各対象連邦行政機関の長は、また、
適切かつ適用のある法律に合致する限りにおいて、最高情報責任者を、これらの 委員会の議長として任命しなければならない。また、これらの委員会が委員の投 票により運営される場合には、各対象連邦行政機関の長は、適切かつ適用のある 法律に合致する限りにおいて、最高情報責任者を投票権のある委員としなければ ならない。
第9条「最高情報責任者の採用権限」
連邦人事管理庁長官(以下、「長官」という。)は、各対象連邦行政機関の長 に、候補者が深刻に不足しているか否か(また、退役軍人局については、高い技 能をもった候補者が深刻に不足しているか否か)、又は、連邦人事管理庁が定め た基準の下で、合衆国法典第5編第 3304 条第 (a) 項第 (3) 号[連邦行政機関の競 争職の採用にあたり、連邦人事管理庁が候補者の深刻な不足を認定した場合、試 験によらず、同庁が採用基準を定めた上で直接採用できるとし、また、この深刻 な不足に関する認定を委任できるとする規定]に従い、対象連邦行政機関におけ る IT 職について危機的な人手不足が存在するかどうかに関する認定を委任する 規則案を発しなければならない。
第 (a) 項 上記の規則案において、対象連邦行政機関により、候補者が深刻に 不足している(また、退役軍人局については、高い技能をもった候補者が深刻に 不足している)又は連邦人事管理庁が定めた基準の下で IT 職について危機的な 人手不足が存在するとの認定がなされた場合には、長官は、30 日以内に、当該 連邦行政機関に、IT 職の直接採用権限を付与すると規定しなければならない。
第 (b) 項 上記の規則案においては、この採用権限により雇用された被用者を IT 職以外の職務に就かせることはできず、また、当初の雇用期間は4年を超え ることはできず、かつ、当該連邦行政機関の裁量により、再雇用を4年間に限り 延長することができると規定しなければならない。
第 (c) 項 長官は、本大統領令の公布の日から 30 日以内に、当該規則案を公示 のために提出しなければならない。
第 10 条「指針」
連邦行政管理予算局長は、本大統領令における要件を反映するため、適切な場 合には、連邦行政機関に関係する指針を改定し、あるいは、これを新規に定めな ければならない。