I. 化学物質の環境リスク評価の理論
6. 暴露評価
6.2 大気経由の暴露評価
暴露評価 ステップ3
暴露評価 ステップ3
(2) 大気中濃度予測モデル (経済産業省−低煙源工場拡散モデル:METI−LIS)
正規型プルームモデルを用いて、大気中へ排出された物質の濃度を推定するツールとし て、経済産業省が開発した「経済産業省−低煙源工場拡散モデル:METI
メ テ ィ
−LIS
リ ス
15」があり
ます。METI-LISは工場建屋の屋上や側壁のダクト・ブロワー開口部など構造物のごく近く
から排出される物質の濃度分布を気象状況や建物の影響などを考慮して精度よく推定する ことを特徴としています。また、気象データとしてアメダスデータを利用できること、使 いやすいユーザーインターフェイスを備えていること、無償で公開されていることなどの 理由から、大気拡散計算に初めて取り組む方にはお勧めできるソフトウェアの一つです。
■ METI-LISの入手先
METI-LIS は以下の (社) 産業環境管理協会のホームページから入手できます。現在の
バージョンは2.03です。また、下記のホームページから「低煙源工場拡散モデル予測手法 マニュアル」と「METI-LIS取扱説明書」もダウンロードできます。前者はMETI-LISの技 術解説書、後者はMETI-LISの操作方法に関する取り扱い説明書です。
http://www.jemai.or.jp/CACHE/tech_details_detailobj1816.cfm
また、以下のホームページからはMETI-LISの活用方法をまとめた「METI-LIS ver.2 活 用術ノート」が参照できます。
http://unit.aist.go.jp/crm/mainmenu/METI-LIS_note_nov05.pdf
■ 計算例
METI-LIS を用いた計算例として、1,4-ジオキサンの詳細リスク評価 (中西ら, 2005) で
行われた高排出源近傍の濃度推定結果を図 I-10に示します。図 I-10は、ある事業所から 排出された1,4-ジオキサンの年平均濃度の分布を示しています。
この例では、
・ 1,4-ジオキサンの年間排出量は79トン
・ 排出口高さは10m
・ 事業所の敷地中心から全量が排出される
・ 事業所からの排出量の昼夜別等の時間変動については考慮せず、各時間一定量が 排出される。
・ 気象データには2001年のアメダスデータを使用
・ 計算点高さは地上1.5m、グリッド分点間の距離は50m という条件で計算が行われました。
計算の結果、事業所敷地外の住宅地における最大年平均値は 111µg/m3 と推定され、こ の値が高暴露群を対象としたリスク評価に用いられました。
暴露評価 ステップ3
出典:中西ら, 2005 図 I-10 METI-LISを用いた1,4-ジオキサンの大気中濃度の推定結果
METI-LISを使用した暴露評価については、「第Ⅱ部 環境リスク評価の実践例」で説明
します。また、一般的な操作方法を付属書6に示します。
暴露評価 ステップ3