本節では、A氏の2×2×2のルービックキューブと3×3×3のルービックキューブ攻 略の様子を比較する。
まず、操作と発話が攻略中にどのようになっていたかを調べてみることにした。図5.10 は、時間軸上に操作と発話の始まった時間をそれぞれプロットしたものである。これを見 ると、2×2×2のルービックキューブ攻略時と同様に、3×3×3のルービックキューブ 攻略時に攻略中はほぼ絶え間なく発話を続けていることが分かる。更に、操作に注目する と、まったく操作をしていない期間が存在していることも分かる。つまり、その期間の前 後で操作が途切れているといえる。そこで、連続した操作について調べてみた。
図5.11はA氏がルービックキューブ攻略した時の操作から連続した操作を見つけ、そ れを出現順に並べたものである。これを見ると、2×2×2(2回目)と3×3×3攻略時は、
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
連続操作回数
出現順序
(a)A氏の2×2×2攻略(1回目)
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
連続操作回数
出現順序
(b)A氏の2×2×2攻略(2回目)
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
連続操作回数
出現順序
(c) A氏の3×3×3攻略
図 5.11: 連続した操作とその出現順
(1回目)は、他の2つほどはっきりと差が現れてないが、同様の傾向がある。なぜこの ように、前半と後半ではっきりとした違いが出るのだろうか。
5.5.1 序盤の戦略とそれ以降の戦略
まず、はっきりと違いが現れている2×2×2(2回目)を調べてみる。図5.11(b)から、
操作の連続回数増えるのは11回目の連続した操作だということが分かる。実際の操作数 に直すと、12回目の操作から長く連続した操作が始まっている。そこで、実際に12回目 の操作が始まる直前ではルービックキューブの状態と発話がどうなっているかを調べた。
図5.12を見ると、11回目の操作の1つ前で1面を完成させていることが分かる。更に、
12回目以降の操作から2段目以降をそろえようとしている。図5.12は11回目の操作が終 わった直後の状態だが、発話でも示している通りに1面とその面に隣接する部分の色が
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図 5.12: 2×2×2(2回目)の11回目の操作前後の発話
揃っており、2段目が揃っていないことが分かる。この事から、1面を揃え終わり、2段目 以降を揃える時を境に連続操作数が変化するのではないかと考えた。それを確認するため に、2×2×2の1回目の攻略と3×3×3の攻略でも同様に1面とそれ以降で連続操作数 が変化するかを調べた。
攻略時の発話から、実際に2段目を揃え始めるのは2×2×2(1回目)は9回目の操作 から、3×3×3では23回目の操作からだということが分かった。つまり、それぞれ1面 とその面に隣接する部分の色を揃えるために、それぞれ8回と22回必要だったといえる。
2×2×2の8回目の操作と3×3×3の22回目の操作が、何個目の連続した操作に当たる かを調べた(図5.13)。2×2×2(1回目)では5回目、3×3×3では17回の連続した操 作で1面を完成させていた。図5.11を見ると、2×2×2(1回目)では6回目、3×3×3 では18回から連続操作回数が多くなっている。つまり、A氏は、ルービックキューブの 1面を揃えるまでは比較的短い操作を繰り返し、2段目以降を揃える時は長い操作を繰り 返しながら攻略していることが分かった。
rotate y1l 1:23
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(a)A氏の2×2×2攻略(2回目)
rotate y2r 3:34
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# 3:39 ታ䈲䈖䈖䈮䈅䉎⦡䉕䈖䈦䈤䈎䈖䈦䈤䈮ᜬ䈦䈩䈒䉎ᣇᴺ䉕⍮䈦䈩䉎䈱䈪
# 3:42 䈠䉏䉕䉇䉎
# 3:44 䉇䉏䉎䉋䈉䈮䈚䉁䈜
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(b)A氏の3×3×3攻略
図 5.13: 2段目を揃え始める時の発話と操作
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図 5.14: A氏の3×3×3のルービックキューブ攻略時のラベル
表 5.5: 3×3×3のルービックキューブ攻略 3×3×3
A氏 発話数 331 操作数 116 時間 12 : 09 B氏 発話数 50
操作数 120 時間 2 : 40
5.5.2 作成したモデルの適応
本研究では既に、A氏の2×2×2のルービックキューブ攻略時に得られた実験データ からルービックキューブ攻略時の操作と思考のモデルを作成している(図5.9)。このモ デルがA氏が3×3×3のルービックキューブ攻略時にも適応することが出来るのかを調 べる。
図5.14はA氏の3×3×3のルービックキューブ攻略時に得られた実験データにラベル を付け、そのラベルだけを取り出したものである。尚、この時のラベルの付け方は5.4.4 節で示したものと同様である。ラベルの内容を見てみると、2×2×2の時と同様に、「状 態を調べる」「操作の決定」「操作」の3つがセットになりあらわれている事がわかる。更 に、「サブゴールの決定」も全体を通して見つかり、5.4.4節で示した図5.9が適応できる といえる。
5.6 3 × 3 × 3 のルービックキューブの攻略者による違い
「論理的に解く」というA氏と、「勢いで解く」というB氏が同じルービックキューブ を解くときにどんな違いがあるかを調べる。
表5.5にもう一度3×3×3のルービックキューブ攻略時の操作回数と発話数、攻略に 要した時間を纏めた。この表を見ると、操作数はA氏が116回、B氏は120回とほとん ど差はない。しかし、発話数と攻略時間には大きな差がある。操作数と発話数がどのよう な関係になっているのかを視覚的に確認するため、操作と発話の開始時間をグラフに示し
た(図5.15)。既に説明したように、A氏は操作をしていない期間がかなりある。しかし、
B氏はA氏よりもかなり短い時間で同程度の操作をしているため、操作をしていない期 間がほとんどないように見える。本当にそうなのだろうか。図5.15は比較のためにグラ フのスケールを合わせてあるため分かりにくい。そこで、B氏のみを詳しく見るため、図 5.16にB氏の操作と発話をグラフのスケールを変更し書き直した。図5.16を見ると、確 かに操作をしていない期間が存在する。しかし、A氏はそれがはっきりと分かり、何度も