4. 有害紫外線モニタリングシステム保守管理指針
4.1 計測器の設置
4.2.1 変換器の設置・接続
① 変換器は、高温多湿な場所を避けて設置する。
② 出力・給電用ケーブルを変換器に正しく接続すること。変換器はノイズを防ぐため、アース を取ること。
③ 出力・給電用ケーブルは外部ノイズを防ぐために必ず、線断面積 0.5 mm2以上のシールド 被覆線を使用し、アースをとること。なお、出力・給電用ケーブルは耐候性を高めるために、
保護管に入れることが望ましい。
4.2.2 データロガーの設定
① 紫外線量はB領域、A領域共に瞬時値 [W/m2] をベースとし、全天日射量は [kW/m2] をベ ースにする。データロガーの設定は計測器の測定性能に合わせて設定する必要がある。現在 のところ英弘精機製のUV-B計、UV-A計、全天日射計の最小出力性能は表4.1の数値を目安 にしている。
表4.1 計測器最小出力の目安 UV-B計 0.01 [W/m2] UV-A計 0.1 [W/m2] 日射計 1 [W/m2]
この目安値から、使用しているデータロガーのレンジを適切に選択する必要がある。
データロガーの分解能と精度はレンジの設定値に応じて決まっているからである。例えば、
SOLAC IIIでは表4.2のようになる。
表4.2 SOLAC III のレンジと分解能及び精度 レンジ 測定範囲 分解能 精度
30 [mV] 0~±32.000 [mV] 1 [µV] ±3 [µV]
300 [mV] 0~±320.00 [mV] 10 [µV] ±20 [µV]
3 [V] 0~±3.2000 [V] 100 [µV] ±200 [µV]
これに表4.3にある計測器の感度定数(電圧 [V] から照射強度 [W/m2] へ変換する計測器 固有の定数)を考慮すると、各計測器で最適なデータロガー(SOLAC IIIの場合)のレンジ が選び出される(表4.4)。
表4.3 計測器の感度定数 感度定数
200 [mV] / [W/m2](変換器 [V] 出力時)
UV-B計 (MS-210W)
2.00 [mV] / [W/m2](変換器 [mV] 出力時)
10.0 [mV] / [W/m2](変換器 [V] 出力時)
UV-A計 (MS-210A)
0.10 [mV] / [W/m2](変換器 [mV] 出力時)
日射計 (MS-401F) 7.0 [mV] / [kW/m2]
表4.4 最適なロガーレンジの選択 データロガー
レンジ 測定範囲 精度 UV-B計 (MS-210W)
(変換器出力を [V] に設定) 3 [V] 0~±16 [ W/m2] ±0.001 [ W/m2] UV-A計 (MS-210A)
(変換器出力を [V] に設定) 3 [V] 0~±320 [W/m2] ±0.02 [W/m2] 日射計 (MS-401F) 30 [mV] 0~±4.57 [kW/m2] ±0.429 [W/m2]
つまりこのレンジ設定では、目安値に対して十分な精度が得られていることになる。
具体的にSOLAC IIIで、出力表示を [mV] や [V] から [W/m2](もしくは [kW/m2])にする
にはスケーリングの機能を使う。それぞれのチャンネルで計測器の感度定数を正しく入力 する。(SOLAC IIIには [W] か [kW] の単位しかないので注意)また、SOLAC IIIの場合、
測定チャンネルごとに積算または平均を行うかどうかを指定できるので通常は「平均測定」
にしておく。
② SOLAC IIIは測定データに対して、一次演算処理を行った結果をデータとして出力すること ができる(これをスケーリング処理という)。その場合、測定データに対して一次演算式の
一次係数Aと定数項Bを設定する(表4.5)。
y = A x + B x = 測定データ(電圧値)
y = スケーリングされたデータ
ここで、Aは計測器の感度定数の逆数、Bはゼロとなる。
表4.5 SOLAC III における一次演算式の一次係数Aと定数項B
感度定数 一次係数A 定数項B UV-B計 (MS-210W) 200 [mV] / [W/m2]
= 0.2 [V] / [W/m2]
1 / 0.2
= 5 [W/m2] / [V] 0
UV-A計 (MS-210A) 10.0 [mV] / [W/m2]
= 0.01 [V] / [W/m2]
1 / 0.01
= 100 [W/m2] / [V] 0
日射計 (MS-401F) 7.0 [mV] / [kW/m2] 1 / 7.0
≒ 0.1429 [kW/m2] / [mV] 0
③ SOLAC IIIでは測定値を極性1ビット、データ17ビットのバイナリ値として扱っているた め、0~±99999の範囲(5桁)の数値が出力となる。そのため、小数点の位置の設定も重要 な要素となる。日本での測定の場合、標準的な放射照度を過去のデータから調べると表 4.6 のようになっている(あくまで目安である)。
表4.6 標準的な放射照度 B領域紫外線量 0~3 [W/m2] 程度 A領域紫外線量 0~80 [W/m2] 程度 全天日射量 0~2 [kW/m2] 程度
これらの量を考慮し、桁落ちの生じないように小数点の位置を決定する(表4.7)。
表4.7 SOLAC III における小数点位置の設定
B領域紫外線量を [W/m2] で表示する場合 ±#.####(少数点以下4桁まで)
A領域紫外線量を [W/m2] で表示する場合 ±##.###(少数点以下3桁まで)
全天日射量を [kW/m2] で表示する場合 ±#.####(少数点以下4桁まで)
SOLAC 以外のデータロガーでも同様に小数点の位置に気を付け、桁落ちが生じないよう
にする。
④ 計測器の劣化などによる信号出力のドリフトを把握するために、負 (-) 出力を検出できる
ように設定すること。
以上の事項(①~④)を考慮して、UV ネットワークでのデータロガー推奨設定(一例)
を挙げる(表4.8, 4.9)。
表4.8 SOLAC III(英弘精機)での推奨設定
スケーリング設定 変換機
出力
データ ロガー レンジ
一次係数 A
定数項 B
小数点
位置 単位 データロガー 測定範囲
UV-B計
(MS-212W) V出力 3 V +5.0000 +00000. 4 W 0~±16 W/m2
UV-A計
(MS-210A) V出力 3 V +100.00 +00000. 3 W 0~±320 W/m2
日射計
(MS-401F) 30 mV +0.1429 +00000. 4 kW 0~±4.57 kW/m2
表4.9 MV100(横河電機)での推奨設定
スパン設定 スケール設定 変換器
出力
データ ロガー
レンジ スパン 下限
スパン 上限
小数点 位置
スケール 下限
スケール 上限
単位 データロガー 測定範囲
UV-B計
(MS-210W) V出力 2 V -0.600 0.600 1 -3000.0 3000.0 mW 0~±3 W/m2
UV-A計
(MS-210A) V出力 2 V -2.000 2.000 2 -200.00 200.00 W 0~±200 W/m2
日射計
(MS-401F) 20 mV -19.60 19.60 1 -2800.0 2800.0 W 0~±2.8 kW/m2