• 検索結果がありません。

図3.2 ドレイン電流のランダムなミスマッチ

図3.3 しきい値電圧のランダムなミスマッチ

3.2.1 システマティックなミスマッチ

システマティックなミスマッチは、CMOS の製造プロセスやシリコンウェハの精度等が 原因で傾斜をもったミスマッチが生じるものである。ミスマッチの傾斜は、1次及び2次の 傾斜を持ったものがあり、実際の回路では一次と二次の傾斜を足し合わせたミスマッチが 回路動作に影響してくる。

1次及び二次のミスマッチが生じる要因を以下に示す。

1) 1次の傾斜 (Linear gradient) をもつミスマッチ

1次の傾斜をもつミスマッチは、以下の要因により生じる。

・配線での電圧降下

・CMOSの製造プロセス

ICチップを2次元平面座標 (x, y) で表すと、以下の式で1次の傾斜を表せる。

𝜀𝑙(𝑥, 𝑦) = 𝑔𝑙∗ cos 𝜃 ∗ 𝑥 + 𝑔𝑙∗ sin 𝜃 ∗ 𝑦, (3.1) ここで、𝜀𝑙(𝑥, 𝑦) : ICチップの位置 (x, y) における1次の傾斜をもつミスマッチの大

きさ,𝑔𝑙 : 1次の傾斜の傾きの大きさ,𝜃 : 1次の傾斜の傾きの大きさ,を意味する。

図3.4に1次の傾斜,図3.5に1次の傾斜の2次元座標でのミスマッチの分布を示す。

2) 2次の傾斜 (Quadratic gradient) をもつミスマッチ

2次の傾斜をもつミスマッチは、以下の要因により生じる。

・温度分布

・ウェハ面内の精度

・機械的ストレス

ICチップを2次元平面座標 (x, y) で表すと、以下の式で2次の傾斜を表せる。

𝜀𝑞(𝑥, 𝑦) = 𝑔𝑞∗ (𝑥2+ 𝑦2) − 𝑎0, (3.2) ここで、𝜀𝑞(𝑥, 𝑦) : ICチップの位置 (x, y) における2次の傾斜をもつミスマッチの

大きさ,𝑔𝑞 : 2次の傾斜の大きさ,𝑎0 : 2次の傾斜における中心位置,を意味する。図

3.6に2次の傾斜,図3.7に2次の傾斜の2次元座標でのミスマッチの分布を示す。

システマティックなばらつきの DA 変換器の線形性への影響は、回路のレイアウト技術 により緩和できることが知れている。セグメント型DA変換器の場合、従来方法である酔歩

(random walk) や階層スイッチングなどによりばらつきを軽減し、線形性を向上させてい

る。魔方陣を用いたレイアウト技術による線形性向上については、論文 [7] [8] 及び卒業論 文で報告している。本研究では、以上の様なミスマッチの影響による非線形性をキャリブレ ーション・アルゴリズムにより、改善していく手法を提案していく。

図3.4 ウェハ上に生じる1次傾斜のミスマッチ分布

図3.5 2次元座標 (x, y) における1次傾斜のミスマッチの分布

図3.6 ウェハ上に生じる2次傾斜のミスマッチ分布

図3.7 2次元座標 (x, y) における2次傾斜のミスマッチの分布

関連したドキュメント