被験者がトーンバーストに同期して発話動作を繰り返すことで,複数回の発話動 作から各時間に対応する3次元画像構築に必要なデータを計測することができる。
現在は256回の反復発話を1セッションとして,セッション間に休憩をはさみ3 セッションもしくは4セッションの撮像で,毎秒30フレームの時間分解能で声道 形状を撮像することができる。
2. 図3.3 (a)に示すように声帯に沿った線上の全ての画素に任意の同じ数字を 割り当てる。図3.3では3を用いた。
3. 図3.3 (b)に示すように,現在数字の埋められた画素の上下左右の画素に数
字を割り当てる。声帯から口唇側は1加算して数字を割り当てる。肺側へは 1減算した数値を割り当てる。
4. 同じ数値を示す等高線を求める。図3.3 (c)に示す。
5. 図3.3 (d)に示すように,等高線の中点を求め,スプライン補間により声道
の中心線を求める。
声道断面積関数は,声道の中心線に沿って等間隔の位置で,中心線に垂直な平面 の声道断面を3次元MRIデータより求め,その面積を計算することで得ることが できる。図3.4に母音/i/を発声したときの中心線および声道断面の抽出結果の例 を示す。また,図3.5に5母音「あいうえお」を発話した時の3次元MRI動画か ら抽出した声道断面積の測定例を示す。
3 4 5
6 7 9 8
10
12 11
1 2
(a) !"#$%&
1 2 3 4
5 6 7 8
9 10 11 12
1 2 3 4
5 6 7 8
9 10 11 12
1 2 3 4
5 6 7 8
9 10 11 12
(b) '(%&
図 3.4: 声道中心線および声道断面の抽出例
/a/
/i/
/u/
/e/
#$% (mm) /o/
!"(mm2)
#* フレーム
+
図 3.5: 声道断面積の抽出結果
第 4 章
ソース ( 音源 ) における F0 調節機構の 分析
音声生成メカニズムに基づく音声合成方式により自然性の高い音声の合成を行 うには,音声生成の生理機構を解明することが重要な課題の1つである。特にF0 調節に伴う音声の周波数特性の変化をもたらす生理機構の解明は,テキスト音声 合成システムのデータベースに含まれる冗長な音素の削減につながるため,自然 な音声を合成できるコンパクトな音声合成システムの開発に大きな役割を果たす と考えられる。よって,本章ではF0調節機構について分析を行う。
F0を上昇させる仕組み(F0上昇機構)は,直接関与する喉頭筋の存在が広く知 られているが,F0を下降させる仕組み(F0下降機構)については十分に理解が得 られているとは言いにくい。これまでF0下降は,F0を上昇させる喉頭筋の弛緩 により説明されてきたが,F0を下降させる時には喉頭の位置が下降することや,
F0の下降時に舌骨下筋の活動が生じることなどが知られており,喉頭筋の弛緩以 外にもF0を調節する機構が存在すると思われる。
本章では,F0を変化させて持続発声した時の喉頭の正中矢状断面をMRIを用 いて撮像し,喉頭軟膏や周囲構造の相対変化を調べた。その結果,問題となるF0 下降を説明できる生理機構を含め,幾つかのF0調節に関する喉頭機能を確認した ので報告する。