塩分濃度 0. 8% 塩分濃度 1.0%
2 塩分を植物体のどの部分に蓄積するか
与えた塩分濃度の違いで地上部・地下部に蓄積される塩分濃度の違い を示したのが図 80~図 81 である。コマツナ・ハダイコンともに、ど の塩分濃度でも地下部の方が、地上部に比べ低い傾向にある。
コマツナの地下部の塩分濃度は、溶液の塩分濃度の上昇に伴い、段階 的に上昇傾向が見られるが、地上部は塩分濃度に伴う段階的な変化は見 られず、ばらつきが大きい。ハダイコンは、地上部・地下部ともに部位 内の塩分濃度は規則的に上昇する傾向が見られた。
各供試植物の各部位の重さの違いが生じた塩分濃度と、植物体の各部 位に含まれる塩分濃度を照らし合わせると表 12 のようになる。
表 12 液肥のみと比較し、生長(各部位の重さ)に有意差が認められた塩
分濃度と植物内の塩分濃度
コマツナ ハダイコン 地上部の液肥栽培と有意差
が認められた塩分濃度①[%] 0.8% 0.3%
①の時の地上部位内の塩分
濃度[%] 1.38% 1.1%
地下部の液肥栽培と有意差
が認められた塩分濃度②[%] 0.1% 0.3%
②の時の地下部位内の塩分
濃度[%] 0.37% 0.7%
コマツナとハダイコンの液肥のみの生長と有意差が確認できた塩分 濃度は、コマツナの地上部は 0.8%、地下部 0.1%で、ハダイコンは地上 部・地下部ともに 0.3%であった。また、生長の有意差が認められた時 の各部位の塩分濃度は、ハダイコンの地上部が1.1%、地下部が 0.7%で、
コマツナは地上部が1.38%、地下部が0.37%と部位によって開きがある。
植物の耐塩性のメカニズムとしてクチクラ層の発達・落葉・根からの 排出・液胞への隔離などのメカニズムが知られている。特に、落葉では
66
流入した塩分を古い葉に集めて落葉させ、若い葉を守る機能がある植物 も確認されている [Wikipedia]。
今回の実験結果から、塩分濃度が高くなると枯死する葉が多くなるこ と、またコマツナのように部位での塩分濃度が異なることが確認できた。
このことが若い葉を守る機能からか、ストレスによる枯死かについても 今後、研究を進めていきたい。
図 80 コマツナに与えた塩分濃度の違いによる各部位の塩分濃度
図 81 ハダイコンに与えた塩分濃度の違いによる各部位の塩分濃度
0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20 1.40 1.60
地上部 地下部 地上部 地下部 地上部 地下部 地上部 地下部 地上部 地下部 地上部 地下部 液肥のみ 0.1% 0.3% 0.5% 0.8% 1.0%
塩 分 濃 度
[
%
]
コマツナ
測定不能
0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20 1.40 1.60
地上部 地下部 地上部 地下部 地上部 地下部 地上部 地下部 地上部 地下部 地上部 地下部 液肥のみ 0.1% 0.3% 0.5% 0.8% 1.0%
塩 分 濃 度
[
]%
ハダイコン
測定不能
67
Ⅴ まとめ
1.塩害土壌に水を加えると塩分は水にどのくらい溶出するか
3.0%の食塩水をバーミキュライトと市販のプランターの土に加え浸水 させると、バーミキュライトは 70.7%、プランターの土は 43.0%の塩分 が吸着する。その後乾燥させ、再度、水を加えると、バーミキュライトが
47.3%、プランターの土が 23.3%の吸着率へと下がる。このことから、土
壌の塩分除去では、真水を加え代掻きなどの撹拌作業を加えることで、有 効な手段であることが確認できた。
2.浮葉植物のホテイアオイ、アオウキクサ、サルビニア・ミニ マの耐塩性はどれくらいか
ホテイアオイの耐塩性は、0.3%の塩分濃度でも生育が可能である。ホテ イアオイは繁殖力が生態系にも強い影響を与えることからアオウキクサ やサルビニア・ミニマを使ったが、耐塩性は 0.1%程度であった。
3.葉菜類(アブラナ科)で耐塩性が高い品種はどれか
耐塩性が高いとされるアブラナ科の葉菜類で、水耕栽培が可能な植物を 選び、耐塩性について調べた。供試したアブラナ科植物は、シャーレでの 発芽率は高かった。同様に水耕用マットに播種すると、シャーレの発芽率 ほど高くはない。塩分溶液での栽培は、播種の段階からではなく、ある程 度生長した状態から移植した方が、供試植物の耐性も高い傾向にある。
コマツナとハダイコンの耐塩性は、コマツナが地上部0.8%・地下部0.1%、
ハダイコンは地上部・地下部ともに 0.3%以上になると生長が抑制される ことがわかった。
部位の塩分濃度は、地下部よりも地上部の方がどの塩分濃度の溶液を与 えても高い傾向にあることがわかった。根で吸収した塩分は地上部へ移動 するのではないかと考えられる。
最後に、塩害土壌での栽培植物としては、今回の実験で供試したコマツ ナやハダイコンの栽培は、浮葉植物よりも高い塩分濃度での耐性と、農産 物としての循環を考えると有効な手段であると考えられる。
68