第 1 章 N - アルコキシアミドから調製した N,O-ケテンアセタールへの
第 3 節 基質一般性の検討
N,O-ケテンアセタールへの求核的フェニル化反応における基質一般性を確認する目的 で、様々なN-アルコキシアミド6b-6qの合成を行った (Schemes 41 and 42)。文献34) の方法 を 参 考 に 、 様 々 な カ ル ボ ン 酸 44a-44n を i-Pr2NEt 存 在 下 、EDCI (1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide: 以下 EDCIと略す) とHOBt (1-Hydroxy-1H-benzotriazole:
以下HOBtと略す) を用いてイソキサゾリジン塩酸塩 (38) 26) と縮合させることで、目的の N-アルコキシアミド6b-6j, 6l-6pを51-99%の収率で合成した。
Scheme 41. Preparation of N-alkoxyamides-1.
また、N-アルコキシアミド6kおよび6qは、文献25) の方法を参考し、ピリジン存在下、
カルボン酸塩化物 37b および37c とイソキサゾリジン塩酸塩 (38) 26) を反応させることで 合成した (Scheme 42)
Scheme 42. Preparation of N-alkoxyamides-2.
27
次に合成した N-アルコキシアミド 6b-6p を用いて求核的フェニル化反応を検討した (Table 4)。はじめにベンゼン環のパラ位にブロモ基、トリフルオロメチル基、メチル基やメ トキシ基を有するN-アルコキシアミド6b-6eを用いたところ、収率よく目的の-フェニル
アミド7bA-7eAが得られた。また、パラ、メタ位間にメチレンジオキシ基を有するN-アル
コキシアミド6fを用いた場合では、-フェニルアミド7fAは中程度の収率で得られた。次 にヘテロ環であるチオフェンやフランを有するN-アルコキシアミド6gおよび6hを用いた ところ、中程度の収率で-フェニルアミド 7gAおよび7hAが得られた。さらにN-アルコ キシアミド6aに比べ側鎖が一炭素短い6iや一炭素長い6j、またベンゼン環をもたない6k を用いた場合、効率よく反応が進行し-フェニルアミド7iA-7kAが得られた。次に末端に フェノキシ基やオレフィンを有する6lおよび6mを用いても求核的フェニル化反応が進行 し、アミド7lAおよび7mAが得られた。一方、末端アルキンやフタルイミド、トシルアミ ドを有するN-アルコキシアミド6n-6pでは、基質の消失はTLCにて確認したが、-フェニ
ルアミド7nA-7pAは低収率でしか得られなかった。このことより、N-アルコキシアミド
6n-6pを用いた場合では、系内で基質あるいは生成物が分解していることが考えられる。また シクロペンタンカルボン酸の N-アルコキシアミド誘導体 6q の場合では、求核的フェニル 化反応は全く進行せず、6qが回収された (Scheme 43)。この結果より、-二置換アミドの 場合では、N,O-ケテンアセタールの生成が困難であることが考えられる。
以上のように、著者は様々なN-アルコキシアミドから調製したN,O-ケテンアセタールへ の求核的フェニル化反応の開発に成功した。本手法は基質適用範囲にある程度の制限はあ るが、配位性官能基が存在しない基質においては有用性の高い手法であると言える。
28
Table 4. Scope of the nucleophilic phenylation of N,O-ketene acetals.
Scheme 43. Umpolung reaction of N-alkoxyamide 6q.
29