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【検討課題】  基幹技能者の活用促進   

1.基幹技能者のデータベース化の検討 

①建設業においてもIT化技術導入の試みがいくつかなされてきた。例えば、建退共制 度については、ICカード化が検討されたが、投資効率の点から導入が見送りとなっ ている。また、作業所入退場管理については、一部元請で実施されているのみで拡が りを持っていない。これらを統括した就労データベース管理を推進していくことが望 まれる。 

②「基幹技能者」のデータベース化については、関係機関においても踏み込んだ検討がな されていない状況であり、調査研究を促進していく必要がある。さらに、「全建設技能 者」のデータベース化も視野に入れた就労管理システムの構築も長期的な観点から検 討が必要と思われる。 

 

【現状・課題および提言内容】 

業界の重層構造および流動性が高く定着率が低い建設労働市場においては、建設技能者 の効率的な就労管理が出来ていない状況にある。例えば、建退共制度の運用(同一人物が 複数名義で手帳を保有)、主任技術者の専任配置など、多くの改善すべき点がある。 

基幹技能者は、建設現場の要となる上級職長として、効率的で生産性の高い工事を実施 する者である。現在は国交省への登録制度となっている。また、労務・安全衛生に関する 管理書類作成等のインターネットサービスが建設業向けASPとして一部展開されてい る。 

これらの活用、拡充で基幹技能者の統括的なデータベース化が可能になれば以下の課題 の解決につながる。 

・建設技能者の就労管理(名簿管理) 

・施工体制台帳管理(→建設業法遵守体制の確立) 

・建退共制度運用の電子化 

・作業所入退場管理 

・生産性データ管理(→元請・下請それぞれの立場で歩掛りデータを活用) 

なお、元請・下請双方は個人情報保護法を遵守し、これらの検討にあたる。 

 

2.基幹技能者の地位の向上や役割の検討 

①基幹技能者の認知度の向上・地位向上を図る。さらに、建設現場での地位・役割・

担うべき業務等を元請・下請で検討する。 

②また、時期や地区によって過不足が生じる建設技能者を効率的に運用する仕組みに ついて、検討する。 

 

【現状・課題および提言内容】 

基幹技能者は、建設現場の実態に応じた施工方法を建設技術者(元請)に提案・調整し、

建設技能者に対しては適切な指導を行う役割を求められている。専門工事業団体は、基幹 技能者が社会的な評価を受けるべく、基幹技能者認定を行い、その普及に努めている。 

一方、元請は建設業法遵守につながる施工体制上の「主任技術者」配置にばかり目が行 きがちであり、基幹技能者の役割・責任、これに見合った対価等に対する認識が薄い。 

京都大学/古阪准教授は「基幹技能者将来構想イメージ」において、基幹技能者として の建設技術者(元請)および他職種との連絡、工程間調整の役割に加え、将来的には建設 技術者(元請)の役割を一部担える、あるいは成り代われる能力を持った者の確保・育成 が望まれる、と提唱されている。 

まずは、基幹技能者が建設現場を含めた業界内で認知され、その役割を全うし、そのう えで新たな機能を担うようになることで、将来の基幹技能者の地位向上につなげていくこ とを中・長期の検討課題とする。 

また、時期や地区によって過不足する建設技能者を融通しあう取り組みが一部専門工事 業団体で始まろうとしている。また、大阪建団連においても建設技能者の派遣(貸借)や 教育を含めて、確保育成に取り組んでいる。 

建設技能者の融通、派遣がどこまで可能なのか、これらの動きを注視しつつ、継続して 調査研究する。 

 

おわりに   

建設産業の生産の場である現場を支えているのは、建設技能者である。建設技能者の人 材不足は建設産業の基盤をゆるがすことにもつながりかねない。こうした近い将来に対し ての危機感をふまえ、現状と課題を整理し、今後取り組むべき事項の提言を行った。各課 題には建設産業全体のあり方、あるいは企業の経営問題等にまでおよぶ奥深い問題もある。

今回の提言には今すぐ着手できる内容から、実効性ある具体的な施策の提言までには至 っていない課題も多い。このため、日建連として継続して検討を進めていきたいと考える。

これには、今後とも、日建連会員企業が自発的かつ積極的に取り組む姿勢を基本とし、関 係機関との意見交換、調整、協力を得て、積極的かつ強力に進めたいと考えている。 

 

 

 

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