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発 熱

症状の特徴(発熱)

■緩和ケア対象者では高率に発熱が認められる。

■進行がん患者に出現する発熱の原因は、主に感染症によ る炎症、あるいは炎症性サイトカイン(IL1、IL6、IFNα、

TNFなど)による炎症反応(腫瘍熱)である。

■特にがんが多く存在する場合(腫瘍が大きい場合)、発 熱の原因として“腫瘍熱”の可能性が高い。

■腫瘍熱に対してはナプロキセン・ステロイドが有効であ り、感染症が否定されれば、早めに使用すべきである

【症状の特徴(発熱)】

・発熱は進行したがんだけでなく、進行した慢性疾患でも不明熱と してよく見られる症状です。

発熱の評価

発熱の原因の評価 感染症か腫瘍熱かの診断

病歴の聴取、診察

検査(肺炎、尿路感染症の診断)

感染症による他の症状の有無 腫瘍熱の診断は除外診断

予後の評価

抗菌剤治療による利益と損失の評価

【発熱の評価】

・発熱があると感染症と決めつけて、感染源をあれこれ詮索した り、抗生剤をすぐ投与したりすることも少なくありませんが、感染では ない可能性も念頭に置く必要があります。

発熱の原因(進行がん)

• 感染症

• 腫瘍

• 薬物

• 中枢神経への転移

• 輸血

【発熱の原因(進行がん)】

全身の腫瘍随伴症候群

発熱,寝汗,食欲不振,悪液質など。

これらは免疫反応に関与するリンホカインの放 出から,または腫瘍壊死因子αなど腫瘍細胞死 に関与するメディエーター(炎症性サイトカイ ン)から起こりうる。

【全身の腫瘍随伴症候群 」

全身の腫瘍随伴症候群の薬物療法

アセトアミノフェン

NSAIDs(非ステロイド系抗炎症鎮痛剤)

ナプロキセン(ナイキサン)

ステロイド

経口投与可能 リンデロン錠 1~8mg 経口投与不能 リンデロン座薬

デカドロン注 4~8mg

【全身の腫瘍随伴症候群の薬物療法】

感染症と発熱

感染症と発熱

感染症による発熱(緩和ケア領域)

■緩和ケアの対象者は易感染状態にあり感染症に罹る 可能性は高い

■発熱が感染症に起因しているか判断が難しい がんの場合には腫瘍熱である可能性も高い

■感染症であっても治療により症状改善するかどうか 判断が難しい

■緩和ケア対象者の感染症に対して、抗生剤治療は70

~90%に行われている

■その効果はまちまちである

■治療効果は尿路感染症では高いが、他の臓器では半 分以下である。

【感染症による発熱(緩和ケア領域)】

緩和ケア対象者の易感染性の要因

基礎疾患

栄養状態不良

治療(抗がん剤治療、放射線治療)による免疫能 の低下

コルチコステロイドの使用

皮膚・粘膜バリアーの破綻(褥瘡・口内炎など)

各種カテーテルの留置

その他

【緩和ケア対象者の易感染性の要因】

緩和ケアに於ける感染症への対応の課題

■進行したがん患者の感染症に対する抗生剤治療の症状緩和に関する 効果を評価したデータは少ない

■尿路感染症により痛みがある場合、皮下膿瘍等で痛みがある場合に は、痛み治療とともに抗生剤治療が症状緩和に有効

■自宅や施設で緩和ケアサービスが提供されている場合には、抗生剤 治療を始める前に十分な検討が必要

臨床的な適応

治療による生活の制限やQOLの低下

■緩和ケア対象者に対する抗生剤治療の意思決定は複雑である

感染症による発熱への対応の要点(緩和ケア)

感染症に対する抗菌薬治療は予後との兼ね合い で、利益(感染症の治癒?苦痛の緩和?)と負担

(治療による副作用、治療を行うことで起こる苦 痛など)を考慮して行う。

「感染症による発熱への対応の要点(緩和ケア)」

緩和ケアに於ける感染症への対応

感染症への対応の目標は症状緩和である。

治療による 症状緩和の 可能性

治療による 負担・QOL の低下

「緩和ケアに於ける感染症への対応」

3-2-4 身体症状(呼吸器症状)に対応する

3-2-4 身体症状(呼吸器症状)に対応する

息苦しさ(呼吸困難)

呼吸器症状

息苦しさ(呼吸困難)

症状の特徴(呼吸困難)

■進行がん、特に肺病変をもつ患者に起こることが多い

■がん以外ではCOPD、心疾患に高率に出現する

■息苦しさは全身状態を示すPSに次いで重要な独立し た予後予測因子である

■息苦しさは不安、恐れ、死の恐怖などを感じさせる症 状である

■息苦しさに対しては、モルヒネ等の薬物的療法と同時 に非薬物的介入(説明、環境整備等)も重要である

【症状の特徴(呼吸困難)】

呼吸困難の評価

・原因の検索(診断)

既往歴・喫煙歴・職業歴の聴取 必要に応じて検査

採血・血液ガス分析 胸部レントゲン

心エコー・胸部CT など

症状の程度の評価

呼吸数、酸素飽和度、聴診などの身体所見 日常生活活動度、QOLに与える影響の評価

・呼吸困難以外の症状 (咳・痰など)の有無

不安の要素の有無

【呼吸困難の評価】

息苦しさの原因

1腫瘍の直接作用

原発性・転移性肺がん自体による換気障害 胸水貯留

心嚢液貯留 上大静脈症候群 がん性リンパ管症 無気肺

横隔膜神経麻痺 肋間神経麻痺 気管圧排、気道閉塞 気管—食道瘻 胸壁浸潤 2治療の影響 肺摘出

放射線治療後の間質性肺炎・肺線維症 化学療法による肺線維症・心筋症

3 その他 貧血 悪液質 腹水

代謝性アsiドーシス 肋骨骨折 発熱 胸壁変形 COPD 気管支痙攣・喘息 肺塞栓症 肺炎 気胸 心不全 肥満 甲状腺機能亢進症 心理的社会的要因 不安 筋力低下

【息苦しさの原因】

息苦しさのマネジメント

・痰咳への対応

酸素の投与

輸液の制限

生活指導(環境整備)

・病状についての説明

(本人および介護者に対し)

・治療可能な病態への対応

・薬物療法 モルヒネの投与 抗不安薬の投与 気管支拡張剤の投与 ステロイドの投与

【息苦しさのマネジメント】

息切れの薬以外の治療法

■環境の調整

室温を少し低くし、扇風機やうちわなどで冷気を顔に当てる 生活する部屋をダイニング、トイレに近い場所にする

吸い飲み、ティッシュ、リモコンなど日用品を手の届くところに置く

■楽な姿勢の工夫

■痰を出す工夫

水分の補給やうがい/姿勢をかえる

胸の上に置いた介護者の手を細かく振動させる(振動法)

息を吐く時に下部胸郭を両手で圧迫する(咳そう介助)

■排便の調節

■睡眠

■不安の軽減 コミュニケーション

■呼吸器リハビリテーション

口すぼめ呼吸,腹式呼吸,呼気時に動作を同調

理学療法用バイブレーターを用いた吸気時の胸壁呼吸筋の機械的振動

【息切れの薬以外の治療法】

呼吸困難に対する薬物療法

モルヒネの投与 抗不安薬の投与 気管支拡張剤の投与 ステロイドの投与

【呼吸困難に対する薬物療法】

呼吸困難に対するモルヒネの効果

がん患者の呼吸困難に対する改善効果が証明されている

Bruera E. Ann Int Med 1993:119;906-7 Mazzocato C. Ann Oncol 1999:10;1511-4

治療用量では酸素飽和度の低下、EtCO2の上昇、呼吸抑 制は来たさない

Bruera E. J Pain Symptom Manage1990:5;341-4

呼吸困難に対するモルヒネ使用による死亡率の上昇は報 告されていない

【呼吸困難に対するモルヒネの効果】

・呼吸困難に対してはモルヒネが有効です。

呼吸困難に対するモルヒネの効果・使用方法(1)

■労作時のみの息切れの場合よりも、安静時の息切れに 大きな効果がある

(労作時の息切れの場合には薬以外の治療法が第一に重 要)

■少量(2.5mg~5mg)で開始する

■24時間以内に2回以上の投与が必要である場合には低 次的に投与し、効果の程度、持続時間、副作用を評価し ながら増量する

【呼吸困難に対するモルヒネの効果・使用方法(1)】

呼吸困難に対するモルヒネの効果・使用方法(2)

■すでにモルヒネが痛みに対して投与されている場合には

・高度の息切れに対しては4時間量かそれ以上の量が

・中等度の息切れに対しては4時間量の50~100%相当量が

・軽度の息切れに対しては4時間量の25~50%相当量が 効果的であることが多い

■経口投与よりは持続皮下注の方が効果があがることもある

武田文和 監修:トワイクロス先生のがん患者の症状 マネジメント(第2版) 医学書院より引用

【呼吸困難に対するモルヒネの効果・使用方法(2)】

死前喘鳴(デスラトル)

■死前喘鳴は、非常に衰弱し、死が切迫して いる患者にみられる。

■この時期には、喘鳴は患者にとって苦痛に なっていないことが多い。しかし家族など周 囲の人々にとっては苦痛となることが多い。

■喘鳴は、①咽頭の後方部分での唾液貯留、

②感染や腫瘍、身体組織内での水分の過剰な どが原因で、気道内での液体貯留により生ず る。

■「家族のケア」として対応することが重要 である

【死前喘鳴(デスラトル)】

死前喘鳴の家族に対する説明

死の直前、呼吸音が大きくなるのはなぜですか。

死を迎えようとしている人は、唾液を飲み込んで分泌物を排出することが難しくな る場合があります。ぜいぜい言うあえぎは、分泌物や空気が緩んだ声帯を通る音な のです。この音は患者さん本人よりも、周囲の人々を苦しめることが多いです。患 者さんができる限り快適でいられることは皆の願いであり、医療従事者はそのよう に努めます。

この音はどうすれば改善されますか。

喉の奥に分泌物が溜まっている場合、たとえば頭をベッドの上に持ち上 げたり、体を横に向けたりなど、適切な姿勢を整えるようにします。また、

分泌物の量を減らすための薬を用いることもあります。分泌物を吸引する のは普通、効果がなく、患者さんをかえって苦しめる場合があります。

「『旅立ちのとき』寄りそうあなたへのガイドブック

(ホスピス財団)」より引用

【死前喘鳴の家族に対する説明】

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