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地域の科学的な特性の提示については、処分地選定調査に入る前段階において、当該 調査を実施した場合にどういった特性が確認できると推定されるかを評価するものと して検討を行ってきた。その結果、第3章で抽出された好ましくない範囲(直接指標か ら確認される範囲/代替指標から推定される範囲)及び好ましい範囲の要件・基準に照 らして、「好ましくない特性があると推定される地域」、「好ましい特性が確認できる可 能性が相対的に高い地域」、「輸送面でも好ましい地域」といった地域や、「将来調査す る場合に考慮する必要がある事項」に整理することとした。

4.1 基本的考え方

まず、好ましくない範囲(直接指標から確認される範囲/代替指標から推定される範 囲)の要件・基準に一つでも該当する地域は、「好ましくない特性があると推定される 地域」と整理することとした。また、それ以外の地域は、好ましくない範囲に係る要件・

基準が一つも該当しないため、好ましくない特性があると直ちには推定されない。こう した理解の下、地下深部の長期安定性等を現地調査等で確認できる可能性が相対的に高 い地域であるという意味で、「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」

と整理することとした。

「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」のうち、好ましい範囲の要 件・基準として設定できた輸送の安全性の観点から好ましい範囲は、この地域の中でも

「輸送面でも好ましい地域」と整理することとした。また、好ましくない特性が存在す るかどうか不明確な範囲(3.3.1.①や 3.3.1.⑨で、リスクの相違としてマップに適切 に反映することが重要とされた範囲)は、将来現地調査等を行う際にリスクの存在範囲 を明らかにする必要があることから、「将来調査する場合に考慮する必要がある事項」

が認められると整理することとした。同様に、利用可能な文献・データの制約から、地 点での情報しか無い火山性熱水・深部流体や金属鉱物のある場所についても、将来現地 調査等を行う際にリスクの存在範囲を明らかにする必要があることから、「将来調査す る場合に考慮する必要がある事項」が認められると整理することとした。

なお、上記の整理に基づくマップの提示は、三段階の処分地選定調査の前段階として 国民理解を深めるという観点から用いるものであり、地下環境等を確定的に示すもので はないことを明確にしていく必要がある。このような前提に立った上で、マップ提示に 関して以下のとおり丁寧な説明が求められる。

ⅰ)短期的(数 10 年程度)に考慮すべきリスクと、長期的(数万年以上)に考慮す べきリスクは、違いを丁寧に説明する。

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ⅱ)地下環境等の安定性に関する観点、人間侵入を回避する観点、輸送の安全性に関 する観点など、観点の違いにより考慮すべきリスクが異なる点は、その違いを丁 寧に説明する。

ⅲ)リスク高さや不確実性が異なることを丁寧に説明する。

4.2 「好ましくない特性があると推定される地域」の考え方

4.1 で好ましくない範囲の要件・基準に一つでも該当する地域は、「好ましくない特 性があると推定される地域」と整理したが、この地域は、実際の安全性は詳細な現地調 査等をしなければ明らかにはならないという前提があるものの、仮に詳細な現地調査等 を行ったとしても、安全な地層処分が成立すると確認できる可能性が低いと考えること ができる。

なお、好ましくない範囲の要件・基準のうち、鉱物資源に関しては、将来の掘削可能 性に係るリスクという地下深部の長期安定性等とは異なるリスクに関するものである。

このことを明確に表現するため、マップ上では「好ましくない特性があると推定される 地域」を地下深部の長期安定性等の観点のものと将来の掘削可能性の観点のものとに分 けて表現することとする。

4.3 「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」と、そのうち「輸 送面でも好ましい地域」及び「将来調査する場合に考慮する必要がある事項」

の考え方

「好ましくない特性があると推定される地域」ではない地域は、「好ましい特性が確 認できる可能性が相対的に高い地域」と整理することとしたが、この地域では、地下深 部の長期安定性等が現時点で保証されているものではなく、最終処分施設建設地として の特性を確認するためには、詳細な現地調査が必要である。すなわち、将来的に詳細な 現地調査等を行った場合、安全な地層処分が成立すると確認できる可能性が相対的に高 いことを意味する。

また、「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」のうち、好ましい範 囲を設定することができた場合には、より好ましい特性が認められる地域であろうと考 えられるが、実際に要件・基準を設定できたのは、輸送の安全性の確保に関する項目(沿 岸からの距離が十分短いこと)のみであった。このことを明確に示すために、「輸送面 でも好ましい地域」と整理することとした。

なお、「将来調査する場合に考慮する必要がある事項」が認められる場合は、好まし くない特性があると一定の確度を持って示すだけの情報が不足しているため、詳細な現 地調査等で特性を確認し、安全な地層処分が成立する範囲を確認する必要がある。その

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ためにも、「将来調査する場合に考慮する必要がある事項」と整理されたことを情報提 供してくことが有効である。

これらをまとめると、図 4.3.1 のとおりとなる。

図 4.3.1 抽出された要件・基準と地域の特性区分の関係

なお、高レベル放射性廃棄物と同様半減期が長い放射性物質を含むTRU廃棄物(再 処理工場やMOX燃料工場の操業及び解体に伴って発生する低レベル放射性廃棄物)の 一部は、高レベル放射性廃棄物と同様に地層処分される必要がある。地層処分対象のT RU廃棄物は、高レベル放射性廃棄物と比べて、放射性物質の構成が異なる、高レベル 放射性廃棄物に比べて放射能量や発熱量が低い、人工バリアの構造・組成が異なる等の 違いはあるものの、物理的隔離機能に関しては高レベル放射性廃棄物と同様の地質環境 の長期安定性が求められる。一方、閉じ込め機能として特に人工バリアの機能の長期的 な影響については別途検討が必要であるが、人工バリアの健全性を維持するための地質 環境特性に求められる要件については、高レベル放射性廃棄物の場合と同様に考察する ことができる。

4.4 今後に向けて

今回抽出した基準及びマップの提示に用いることが適切と考えられる文献・データを 用いて、地域の科学的な特性の提示を行う際には、以下の点に留意することが重要であ る。すなわち、今回抽出した利用可能な文献・データは、全国規模で整備されたもので あるが、部分的にはデータが不存在な地域が存在する場合もある。また、データの精度 や分布は文献毎に異なるため、これらのデータを重ね合わせる際には、こうしたデータ

地下深部の長期安定性等の観点

将来の掘削可能性の観点

輸送面でも好ましい 好ましい特性が確認できる

可能性が相対的に高い

(※2)鉱物資源については、当該資源が存在しうる範囲を広域的に示したものであることに留意が必要。

将来的に詳細な現地調 査等を行ったとしても、

安全な地層処分が成立 すると確認できる可能性 が相対的に低い

将来調査する場合に考慮する 必要がある事項(※1)

将来的に詳細な現地調 査等を行った場合、安 全な地層処分が成立す ると確認できる可能性 が相対的に高い 火山の近傍(1)

活断層の近傍 隆起・侵食が大きい範囲 地温が高い範囲

完新世火砕流等の分布範囲 軟弱な地盤である範囲 油田・ガス田、炭田(※1,2)

<要件・基準>

海岸からの距離が短い範囲

(沿岸海底下や島嶼部を含む)

(※1)火山中心の精査が必要な火山、鉱量 が不明確な炭田、火山性熱水・深部流 体、金属鉱物については、処分地選定 調査時に考慮する必要のある事項とし て整理・表現する。

好ましくない特性があると推定される 一つでも

該当する 場合

該当する 場合 いずれも 該当しな い場合 一つでも 該当する 場合

- 74 - の不均一性を考慮する必要がある。

なお、今回は地域毎に存在するローカルデータについては、地域間での比較可能性を 欠くためにマップには用いないことが適当であるとしたが、そうしたローカルデータが 将来的な地層処分に関する国民理解や地域理解にとって重要になってくることは言う までもない。今回の地域の科学的な特性の提示が契機となって、まずは全国的な特性に ついての国民理解が広がっていくことが重要であるが、個別地域において対話が深まっ ていく中においては、ローカルデータについても情報共有等が進み、地域毎の地質環境 等についてより具体的な理解が深まっていくことも重要である。

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