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在日米軍再編と大和市の自治体外交

ドキュメント内 untitled (ページ 53-73)

厚木基地の深刻な航空機騒音の被害を受ける本市では、要請活動や航空機騒 音の測定、国内外の情報の収集・分析を行うなどして、その解消に向けて全力 で様々な取り組みを進めており、そのひとつとして、いわゆる自治体外交等に より、直接米側へ航空機騒音被害を訴えてきた。 

 

(1)NLPをめぐる米海軍など米政府関係機関との直接交渉 

厚木基地など、日米安全保障条約に基づいて日本に駐留する米軍の問題は、

外交や国防の領域として、一義的には日米両国政府間で取り扱われるものであ る。 

しかし、航空機騒音をはじめとした厚木基地の問題については、なかなか状 況の進展が見られなかったことから、本市は米国政府や米海軍に対して直接要 請するなどの働きかけを行ってきた。 

1960 年代には既に米側への直接的な要請活動を行っており、1970 年代には米 側から厚木基地の問題は基本的には日本国政府の問題であるとの回答を受けな がらも、本市は粘り強く働きかけを続けた。 

1980 年代後半より、米国本土の米海軍や米海軍省など米政府関係機関との交 渉を重ねるようになり、1992 年(平成 4 年)2 月には市長が訪米し、米海軍長 官に面会して硫黄島へのNLP訓練移転を訴えた。当時、一自治体の首長が訪 米し、米国の閣僚クラスに直接訴えること自体が異例な活動であったことから、

このような本市の動きを指して「自治体外交」と呼ぶ声があった。 

現在、本市では、この理念のもとに概念整理を行い、問題解決の方法のひと つとしての「自治体外交」を行っている。 

また、このような自治体外交を行うにあたっては、航空機騒音の評価指標と して米国で主流となっている

L

dnを取り入れるなど、米政府関係機関が理解しや すいような資料の作成・提示や、国内外の飛行場を例示した航空機の訓練移転 等、航空機騒音被害を解消するための具体的な提案を行っている。 

                       

A KITA -K ITA OTA RU

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KUR E SAG A SA S EBO

MAIZ URU

KOMAK I

Map of A irports in Japan

com m ercial airport JSDF&com mercial airport JSDF

U.S.Forces port

 

   

                   

日本各地の飛行場を示した図  

 

(2)「トランスフォーメーション」と 2004 年(平成 16 年)訪米 

「トランスフォーション(米軍の変革・再編)」は、1997 年(平成 9 年)の米 国の「4 年毎の国防計画の見直し(Quadrennial Defense Review 以下QDRと 略す)」において使用された言葉であり、戦力の強化、国防省内の業務改革、省 庁間情報協力を 3 つの柱とし、米軍がより効率的かつ迅速に事態に対処できる よう進められているといわれている。この概念は、ブッシュ米大統領のもと、

ラムズフェルド米国防長官の就任により、さらに促進されることとなった。 

また、米国はトランスフォーメーションと関連して、2001 年(平成 13 年)の QDRを受け、全世界に展開している米軍の配備態勢の見直し(Global Defense  Posture Review)を進めている。しかし、当時は、2001 年(平成 13 年)のラン ド研究所の研究報告などが一部の専門家の間で話題となったのみで、日本国内 で大きく報じられることはなかった。 

日米両国間においては、2002 年(平成 14 年)12 月から在日米軍再編に関す る協議が始まった。2003 年(平成 15 年)11 月にはブッシュ米大統領は、海外 の友好国や同盟国等と海外における米軍の態勢についての見直しに関する協議 を強化する旨の声明を発表した。 

このような米国内の動向に関する情報収集や分析に基づいて、2004 年(平成

2004 年(平成 16 年)訪米の行程 

   

                   

ノーフォーク軍港のようす   

                   

日程  訪問先  主な活動・対応者 

4 月 26 日  米 海 軍ノ ーフ ォー ク軍 港、チェンバーズフィー ルド飛行場、バージニア ビーチ市、ノーフォーク 市 

・  各基地視察および中部大西洋地域司令官タ ーコット少将、ノーフォーク基地司令官ベ ッカー大佐と意見交換 

・  バージニアビーチ市視察およびオーバンド ーフ市長と意見交換 

・  ノーフォーク市視察およびフレイム市長と 意見交換 

4 月 27 日  米 海 軍オ シア ナ航 空基 地、フェントレス補助飛 行場 

・  各基地視察およびオシアナ航空基地司令官 キーリー大佐と意見交換 

4 月 29 日  米海軍太平洋艦隊司令部  ・  同基地視察および太平洋艦隊副司令官グリ ナート少将および作戦・計画・政策担当副 参謀長マクレイン少将と意見交換 

厚木基地同様、米海軍オシアナ航空基地の航空機騒音により多くの人が被害 を受けていると言われるバージニアビーチ市およびノーフォーク市を訪問した 際には、各市長と地元自治体の対応や騒音状況について意見交換を行うととも に、今後も情報交換や相互の協力を約束した。 

  ハワイにある米海軍太平洋艦隊司令部では、副司令官のグリナート少将(同 年 8 月に中将として第 7 艦隊司令官に就任)および厚木基地を含めた日本国内 で行われるNLPの実質的責任者であるマクレイン少将と意見交換を行った。

その際、両少将から「厚木基地の状況と問題についてはよく理解しており、改 善に向けて最大限の努力をしている」との発言を得た。また、米本土では、米 国政府や米軍が情報公開や地域との対話に極めて真摯に取り組んでいることが 分かった。この訪米後、全国の基地関係自治体の訪米が相次いだ。 

訪米直後の 7 月には厚木基地の艦載機移転問題が大きく報道された。また、

その直前の 6 月にはキャンプ座間への米陸軍第Ⅰ軍団司令部の移転問題など、

在日米軍再編問題が大きくクローズアップされるようになった。 

 

(3)在日米軍再編にかかる中間報告をめぐる動き 

日米両国政府は、2005 年(平成 17 年)2 月の日米安全保障協議委員会(2+2)

において、在日米軍再編に関し、在日米軍による抑止力を維持しつつ沖縄を含 む地元の負担を軽減するとの観点から、今後数ヶ月の間集中的な協議を行うこ とで一致した。さらに翌月には、外務大臣、防衛庁長官と米軍基地が所在する 14 都道府県知事らとの意見交換会が開催されるなど、国内外での動きが活発に なっていた。しかしながら、個別の基地に関する日米協議の具体的な内容は明 らかにされることはなかった。 

そのような中、大和市基地対策協議会では、同年 3 月に米国大使館安全保障 課長ゲッティンガー氏を招いて講演会を開催した。同氏は講演の中で、沖縄だ けでなく厚木基地などの地域の負担のことも考える必要があると述べた。 

2005 年(平成 17 年)10 月 29 日には、在日米軍再編に関して、中間報告が発 表され、はじめて厚木基地の空母艦載機の移駐が日米両国政府により示された。 

前後して、2005 年(平成 17 年)4 月には逢沢外務副大臣、同年 12 月には麻 生外務大臣、そして翌年 1 月には木村防衛庁副長官と、日本政府要人の厚木基 地および本市訪問が相次いだ。 

その後、大和市基地対策協議会では様々な活動を行い、2006 年(平成 18 年)

2 月の要請では、中間報告を踏まえ、在日米軍再編協議の進捗状況を確認すると ともに、最終的な取りまとめにおいても確実に厚木基地の負担軽減の方向性が 示されるよう強く求めた。これに対し、額賀防衛庁長官は、中間報告で示され た内容に基地所在自治体の理解が得られるよう全力を挙げており、大和市の状

(4)在日米軍再編にかかる最終報告をめぐる動き 

2006 年(平成 18 年)5 月 1 日には、日米両国政府により在日米軍再編の最終 報告が発表され、同月 30 日には閣議決定された。 

同年 7 月 19 日、本市はこれまで得られた騒音データの分析などから、航空機 騒音シミュレーションのシステム化について記者発表した。 

また 7 月 26 日には、市長が額賀防衛庁長官を訪問した。この際、額賀長官は、

再編問題について、現在、日米合意内容の実現に向け基地周辺の住民や自治体 の理解が得られるよう本庁としても最大限努力していると述べるとともに、空 母艦載機の移駐は 2014 年(平成 26 年)の完了を目指しているが、まだ時間が かかるため、騒音軽減など諸問題の解消に向けた周辺対策にこれからも努力し ていくなどと述べた。 

  その後 8 月 29 日には、大和市基地対策協議会が防衛庁、防衛施設庁、外務省 を訪問し要請活動を行った。この要請では、在日米軍再編に関する日米両国政 府の合意を受け、より効果的に要請を行うため重点事項に的を絞った内容とし た。これに対し、防衛庁の守屋事務次官は、何度も大和市を訪れており実情は よく承知している、厚木基地の航空機騒音による被害想定人口は 240 万人に及 ぶと述べるとともに、早期の騒音被害解消という観点から在日米軍再編をとり まとめ、確実に再編の内容を実施していくと述べている。 

また、11 月 5 日、本市では市民会議(シチズン・コングレス)を開催し、市 民の質問に対して厚木基地司令官らが直接回答した。 

 

(5)2006 年(平成 18 年)訪米 

2006 年(平成 18 年)11 月 7 日の米国中間選挙では、共和党が敗れ、米軍再 編を中心となって進めてきたラムズフェルド国防長官の辞任が発表されるなど、

この時期には大きな情勢の変化があったことから、米軍再編の一環ともいわれ る在日米軍再編や、さらには最終報告で示された厚木基地に関する合意にも影 響が及ぶのではないかと懸念された。 

このような情勢の中、11 月 13 日から 15 日にかけての訪米では、再編のその 後の進捗に関する確認を含め、厚木基地から空母艦載機の移駐が実現するまで の今後予想される様々な課題などを把握するため、米国西海岸のワシントン州 の米陸軍司令部およびカリフォルニア州の米海軍関連施設において視察および 調査を行った。 

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