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国際課税原則の帰属主義への変更の円滑な実施のための改正

租税特別措置法等 (登録免許税関係) の改正 本 文 参照頁

6   国際課税原則の帰属主義への変更の円滑な実施のための改正

⑴ 法人税法関係

① 外国法人の法人税

イ 課税所得の範囲の変更等

 外国法人が設立されたものとみなして欠損金の繰越控除制度等を適 用することとされる場合から、外国法人を合併法人とする適格合併に よりその適格合併に係る被合併法人である他の外国法人の恒久的施設 に係る事業の全部又は一部の移転を受けたことによってその合併法人 である外国法人が恒久的施設を有することとなった場合等が除外され ました。

ロ 国内源泉所得の範囲

 外国法人が得る履行期間が 6 月未満の売掛債権等に係る利子は、法 人税法に規定する国内源泉所得である国内資産の運用・保有所得に該 当しない旨を明確化する等の整備が行われました。

ハ 恒久的施設帰属所得に係る所得の金額の計算 イ 外国銀行等の資本に係る負債の利子の損金算入

 外国銀行等の資本に係る負債の利子の損金算入制度による損金算 入額は、確定申告書等に記載された金額を限度とすることとされま した。

ロ 特定の内部取引に係る恒久的施設帰属所得に係る所得の金額の計 算

 外国法人の恒久的施設と本店等との間で、恒久的施設に帰属しな くても課税対象となる国内不動産の譲渡所得や貸付対価等の国内源 泉所得を生ずべき資産のその恒久的施設による取得又は譲渡に相当 する内部取引があった場合には、その内部取引は、その資産の内部 取引の直前の帳簿価額に相当する金額により行われたものとして、

その外国法人の恒久的施設帰属所得に係る所得の金額を計算するこ ととされました。また、この場合の外国法人の恒久的施設における 内部取引に係る資産の取得価額は、その内部取引の直前の帳簿価額

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に相当する金額とすることとされました。

ニ 外国法人の中間申告

 恒久的施設を有する外国法人が恒久的施設を有しない外国法人にな った日の翌日の属する事業年度については、中間申告書の提出が不要 とされました。

ホ 外国普通法人となった旨の届出等

 恒久的施設を有することとなった外国法人である普通法人の課税対 象となる国内源泉所得に係る所得の金額の全部につき租税条約等の規 定により法人税を課さないこととされる場合等には、外国普通法人と なった旨の届出書の提出を要しないこととする等の改正が行われまし た。

② 内国法人の外国税額控除

 内国法人の外国税額控除における国外所得金額について、国外事業所 等帰属所得とそれ以外の国外源泉所得に区分して計算方法を定めるとと もに、国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算について明確化の ための所要の整備が行われました。

イ 国外所得金額

 国外所得金額は「国外事業所等帰属所得」と「その他の国外源泉所 得」に係る所得の金額の合計額とされました。

ロ 国外事業所等帰属所得に係る所得の金額の計算

 国外事業所等帰属所得に係る所得の金額は、内国法人の国外事業所 等を通じて行う事業に係る益金の額から損金の額を控除した金額とす ることとされました。また、「国外事業所等を通じて行う事業に係る 益金の額」及び「国外事業所等を通じて行う事業に係る損金の額」は、

別段の定めがあるものを除いて、内国法人の各事業年度の所得の金額 の計算に関する法人税に関する法令の規定に準じて計算することとさ れました。

ハ その他の国外源泉所得に係る所得の金額の計算

 その他の国外源泉所得に係る所得の金額は、その国外源泉所得に係 る所得のみについて法人税を課するものとした場合に課税標準となる べき所得の金額に相当する金額とされました。

ニ 連結国外所得金額

 連結納税制度における外国税額控除に係る連結国外所得金額は、

「国外事業所等帰属所得」と「その他の国外源泉所得」に係る連結所 得の金額の合計額とされました。

ホ 国外事業所等帰属所得に係る連結所得の金額の計算

 連結法人の国外事業所等帰属所得に係る連結所得の金額は、連結法

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人の国外事業所等を通じて行う事業に係る益金の額から損金の額を控 除した金額とされました。「国外事業所等を通じて行う事業に係る益 金の額」及び「国外事業所等を通じて行う事業に係る損金の額」は、

別段の定めがあるものを除いて、連結法人の各連結事業年度の連結所 得の金額の計算に関する法人税に関する法令の規定に準じて計算する こととされました。

 また、単体納税制度における国外事業所等帰属所得に係る所得の金 額の計算に関する規定により国外事業所等帰属所得に係る所得の金額 を計算した場合に益金の額となる金額又は損金の額となる金額は、連 結事業年度の国外事業所等帰属所得に係る連結所得の金額の計算上益 金の額又は損金の額に算入することとされました。

へ その他の国外源泉所得に係る連結所得の金額の計算

 その他の国外源泉所得に係る連結所得の金額は、その国外源泉所得 に係る所得のみについて法人税を課するものとした場合に課税標準と なるべき連結所得の金額に相当する金額とされました。

⑵ 所得税法関係

① 非居住者及び法人の納税義務・源泉徴収 イ 国内源泉所得

イ 恒久的施設帰属所得

ⅰ 非居住者の事業場等

 恒久的施設帰属所得は、恒久的施設がその非居住者から独立し て事業を行う事業者であるとしたならば、その恒久的施設が果た す機能、その恒久的施設において使用する資産、その恒久的施設 とその非居住者の事業場等との間の内部取引その他の状況を勘案 して、その恒久的施設に帰せられるべき所得とされています。今 回の改正では、事業場等の範囲について定められました。

ⅱ 特定の種類の内部取引の取扱い

 恒久的施設と事業場等との間の資金の借入れに係る債務の保証、

再保険の引受けその他これらに類するものは、内部取引として認 識しないこととされています。今回の改正では、これらに類する ものとして、その他の取引に係る債務の保証等が定められました。

ⅲ 国際運輸業所得

 恒久的施設を有する非居住者が国内及び国外にわたって船舶又 は航空機による運送の事業を行う場合には、当該事業から生ずる 所得のうち国内において行う業務につき生ずべき所得をもって、

恒久的施設帰属所得とされています。今回の改正では、この国内 において行う業務につき生ずべき所得の具体的な内容について定

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められました。

ロ 国内にある資産の譲渡により生ずる所得

 国内源泉所得とされる国内資産譲渡所得は、国内不動産、国内不 動産関連株式及び事業譲渡類似株式の譲渡所得その他の譲渡所得で、

従来、わが国に恒久的施設を有しない非居住者において課税対象と されてきた国内資産の譲渡所得のみに限定されました。

ハ 租税条約に異なる定めがある場合の国内源泉所得

 恒久的施設を有する非居住者の恒久的施設帰属所得を算定する場 合において、その非居住者の恒久的施設と事業場等との間の内部取 引から所得が生ずる旨を定める租税条約以外の租税条約の適用があ るときには、内部取引には、利子の支払に相当する事実その他一定 の事実は、含まれないこととされています。今回の改正では、内部 取引に含まれないこととされる一定の事実として、無形資産の使用 料の支払等の事実が定められました。

ロ 非居住者の納税義務

イ 恒久的施設帰属所得についての総合課税に係る所得税の課税標準 等の計算

 非居住者の課税標準及び所得税の額につき、居住者に係る規定に 準じて計算する場合に、非居住者に適用するための所要の修正規定 が定められていますが、今回の改正において、恒久的施設帰属所得 についての総合課税に係る所得税を計算する場合の規定と恒久的施 設帰属所得以外の国内源泉所得についての総合課税に係る所得税を 計算する場合の規定がそれぞれ定められました。また、恒久的施設 帰属所得についての総合課税に係る所得税につき、居住者に係る規 定に準じて計算する場合の修正規定について、帰属主義に即した整 備が行われました。

ロ 恒久的施設に帰せられるべき純資産に対応する負債の利子の必要 経費不算入

 非居住者の恒久的施設に係る純資産の額が、その非居住者の純資 産の額に相当する金額のうちその恒久的施設に帰せられるべき金額 として一定の方法により計算した金額に満たないときは、その非居 住者の恒久的施設を通じて行う事業に係る負債の利子の額のうちそ の満たない金額に対応する部分の金額は、その非居住者のその年分 の恒久的施設帰属所得につき居住者に係る規定に準じて計算する事 業所得の金額等の計算上、必要経費等に算入しないこととされてい ます。今回の改正では、必要経費等に算入しない金額の具体的な計 算方法について定められました。

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