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概 要

<外国法人等>

① 租税条約と国内法に二元化されていた国際課税原則が、OECDモデル租税条約に沿った

「帰属主義」へ見直され、国際的に調和のとれた税制に近づきます。

<内国法人等>

② 上記、外国法人等に対する「帰属主義」の見直しに伴い、国外に恒久的施設を有する内 国法人等に対する外国税額控除の定義づけがなされます。

<その他>

③ 移転価格税制の取引の範囲に、役務提供取引等が加えられます。

(1) 課税原則の見直し

① 外国法人等に対する課税の見直し

外国法人等に対する課税原則について「総合主義」に基づく従来の国内法を、2010 年改 定後のOECDモデル租税条約に沿った「帰属主義」に見直すことにより、国内にある恒 久的施設(PE※)に帰属する所得の位置づけなど所要の改正が行われました。

● 適用時期

平成28年4月1日以後に開始する事業年度の法人税及び平成29年以後の所得税から適 用されます。

 改正の内容

・外国法人等の支店(PE)が得る所得については、PEが本店から分離・独立した 企業であったとした場合に得られる所得とするとともに、本店とPEとの間の内部 取引を認識します。

・PEが第三国で得る所得について、日本と第三国の両方から課税されて二重課税が 生じる場合、その二重課税を排除するために新たにPEのための外国税額控除制度 が創設されます。

※PE…恒久的施設(Permanent Establishment)の略称で、支店や工場等の一定の場所を いいます。

35 / 37 総合主義(わが国国内法)

(すべての国内源泉所得を申告課税) ⇒ 帰属主義(諸外国の典型例・我が国の条約)

(支店PE)が得る所得を申告課税

(出典:財務省資料)

【PE帰属所得の算定方法】

①PE帰属所得・内部取引

・PE帰属所得については、AOA※に基づき、そのPEが本店等から分離・独立し た企業であると擬制した場合に得られる所得とします。

・PE帰属所得の算定においては、AOAに基づき、そのPEが本店等との内部取引 については移転価格税制と同様、独立企業間価格による取引が行われたものと擬 制して、内部取引損益を認識します。

・PEから本店に対する寄付金は損金不算入となります。

・本店からPEへの支店開設資金の供与やPEから本店への利益送金等については、

資本等取引として認識します。

②PEの支払利子控除制限

PEに帰せられるべき資本(PE帰属資本)を算定し自己資本を超える場合、P Eにおける支払利子総額のうち、その超える部分に対応する金額をPE帰属所得の 計算上、損金に算入することを制限します。

③その他

内部取引に関する文書の作成が必要となります。

※AOA(Authorised OECD Approach)とはOECDモデル租税条約新7条の考え方といい、

具体的には、PEの果たす機能及び事実関係に基づいて、外部取引、資産、リスク、資本 PEに帰属させ、PEと本店等との内部取引を認識し、その内部取引が独立企業間価格 で行われたものとして、PE帰属所得を算定するアプローチのことをいいます。

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(出典:財務省資料)

② 内国法人等に対する外国税額控除

● 適用時期

平成28年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税から適用されます。

(出典:財務省資料)

 改正の内容

外国法人等に対する課税原則が、「総合主義」から「帰属主義」に則した国内法の規定に 改められたことにより、外国法人についてPEが得る所得を算定するのと同様に、内国法 人等の国外支店(PE)が得る所得(国外PE帰属所得)を国外源泉所得として認識し、

その国外源泉所得については外国税額控除の対象となります。

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