音場の境界値積分表現 境界条件を与えた場合のGreen関数
音場の境界値積分表現 境界条件を与えた場合のGreen関数
固有関数展開による Green 関数の構成法
このような
Green
関数を使うと,Kirchhoff–Helmholtz
積分方程式 が単純化される。p(r) = Z
∂Ω
p(r ′ ) ∂G D (r | r ′ )
∂n ′ dr ′
ここで,領域
Ω
の3
次元固有関数Ψ q (r)
が既知であるとする。この 固有関数はG D
と同じ境界条件を満たし,k q = ω q /c
で与えられる固 有周波数を持つものとする。ここでq
は固有関数の番号である。これらの固有関数が完全直交系をなすと仮定すると,領域
Ω
内の任 意の音圧分布が固有関数の線形和として表現できる。係数をA q (r ′ )
とすれば,G D (r | r ′ ) = X
q
A q (r ′ )Ψ q (r)
小山 翔一 応用音響学 第 回
音場の境界値積分表現 境界条件を与えた場合のGreen関数
固有関数展開による Green 関数の構成法
Ψ q
は領域Ω
の固有関数なので,斉次Helmholtz
方程式を満たす固 有値k q
を持つ。∇ 2 Ψ q + k q 2 Ψ q = 0
G D
の固有関数展開の式を非斉次Helmholtz
方程式に代入し,上式 を用いると,X
q
A q (−k q 2 + k 2 )Ψ q (r) = −δ(r − r ′ )
両辺にΨ q (r) ∗
をかけて,領域Ω
にわたって積分すると,A q (k 2 − k 2 q ) Z
Ω
Ψ q (r)Ψ q (r) ∗ dr = − Ψ q (r ′ ) ∗
したがって,A q = − Ψ q (r ′ ) ∗ (k 2 − k q 2 ) R
Ψ q (r)Ψ q (r) ∗ dr
音場の境界値積分表現 境界条件を与えた場合のGreen関数
固有関数展開による Green 関数の構成法
以上の結果から,
Dirichlet
型Green
関数が以下のように得られる。G D (r|r ′ ) = X
q
Ψ q (r)Ψ q (r ′ ) ∗ (k 2 q − k 2 ) R
Ω Ψ q (r)Ψ q (r) ∗ dr
Neumann
型Green
関数についても同様の手続きで導出できる。(最終的に同じ形になる)
ただし,
k = k q
の場合,境界面∂Ω
での音圧が0
となり,内部音圧 を計算することができない。これはDirichlet
型Green
関数の分母 が0
になることにも表れている。これは固有関数を用いる場合以外の方法でも共通の問題であるが,
閉じた境界面に対する
Neumann
型・Dirichlet
型Green
関数は禁 止周波数において計算できない。また,固有関数をどのように得るかという問題が残っているが,こ れを具体的な関数として得られるのは
Ω
が単純な形状の場合に限ら れる。小山 翔一 応用音響学 第 回
音場の境界値積分表現 Single layer potentialによる音場の積分表現
本日の目次
1
音場の境界値積分表現 境界値積分表現とその応用Green
関数とその性質Kirchhoff–Helmholtz
積分方程式 境界条件を与えた場合のGreen
関数Single layer potential
による音場の積分表現音場の境界値積分表現 Single layer potentialによる音場の積分表現
Single layer potential による音場の積分表現
Kirchhoff–Helmholtz
積分方程式は,領域の境界面上の音圧と音圧 勾配を用い,自由空間Green
関数の項とその法線方向微分の項の和 による境界値積分により,内部あるいは外部の音場を決定できると いうものであった。自由空間
Green
関数の項のみを用いる積分表現として,single layer potential
(あるいは単純波源の定式化:simple source formulation
,等価音源法:equivalent source method
とも呼ぶ)がある。
小山 翔一 応用音響学 第 回
音場の境界値積分表現 Single layer potentialによる音場の積分表現
Single layer potential による音場の積分表現
境界面
∂Ω
とその内部領域・外部領域をそれぞれΩ int
,Ω ext
として 定義し,以下の積分表現を考える。p(r) = Z
∂Ω
µ(r ′ )G(r | r ′ )dr ′
つまり自由空間
Green
関数の項のみを用いる。ここで法線方向が逆 になっていることに注意。音場の境界値積分表現 Single layer potentialによる音場の積分表現
Single layer potential による音場の積分表現
µ(r)
を具体的に導出するため,外部・内部問題におけるKirchhoff–Helmholtz
積分方程式を思い出すと,p ext (r) (r ∈ Ω ext ) p ext (r)/2 (r ∈ ∂Ω)
0 (r ∈ Ω int )
= Z
∂Ω
G(r | r ′ ) ∂p ext (r ′ )
∂n ′ − p ext (r) ∂G(r | r ′ )
∂n ′
dr ′ 0 (r ∈ Ω ext )
− p int (r)/2 (r ∈ ∂Ω)
− p int (r) (r ∈ Ω int )
= Z
∂Ω
G(r|r ′ ) ∂p int (r ′ )
∂n ′ − p int (r) ∂G(r | r ′ )
∂n ′
dr ′
法線方向が領域の内側を向いているため,内部問題に関しては正負 が逆になっている。小山 翔一 応用音響学 第 回
音場の境界値積分表現 Single layer potentialによる音場の積分表現
Single layer potential による音場の積分表現
r ∈ ∂Ω
において,p ext (r) = p int (r)
,∂p ext (r)/∂n ̸= ∂p int (r)/∂n
と して,外部問題の式から内部問題の式を引くと,p ext (r) (r ∈ Ω ext ) p int (r) = p ext (r) (r ∈ ∂Ω)
p int (r) (r ∈ Ω int )
= Z
∂Ω
∂p ext (r ′ )
∂n ′ − ∂p int (r ′ )
∂n ′
G(r | r ′ )dr ′
したがって,µ(r)
は外部・内部領域の∂Ω
上の音圧勾配の差となる。µ(r) = ∂p ext (r)
∂n − ∂p int (r)
∂n
この関係式はjump relation
と呼ばれる。Single layer potential
は内部問題・外部問題どちらかに対して適用 できるものであり,両方同時に適用できるわけではない。音場の境界値積分表現 Single layer potentialによる音場の積分表現
Single layer potential による音場の積分表現
Single layer potential
を用いて境界面∂Ω
上の音圧勾配を導出する 場合は,外部・内部音場で音圧勾配が不連続であることに注意が 必要。不連続面における音圧勾配を両側の値の平均として定義すれば,
Z
∂Ω
µ(r ′ ) ∂G(r | r ′ )
∂n ′ dr ′ = 1 2
∂p ext (r)
∂n + ∂p int (r)
∂n
(r ∈ ∂Ω)
このとき,µ(r)
の定義より,1 2
∂p ext (r)
∂n + ∂p int (r)
∂n
= − µ(r)
2 + ∂p ext (r)
∂n
よって,例えば外部問題の場合,∂p ext (r)
∂n = µ(r) 2 +
Z
∂Ω
µ(r ′ ) ∂G(r | r ′ )
∂n ′ dr ′ (r ∈ ∂Ω)
小山 翔一 応用音響学 第 回
音場の境界値積分表現 Single layer potentialによる音場の積分表現
ドキュメント内
応用音響学 第9回 音場の境界値積分表現
(ページ 52-62)