輸送包装技術は生鮮食品を傷つけず長持ちさせる機能をもつ。さらに、輸送距離の延伸や、よ り簡単に運ぶことも可能になる。見栄えがよくなれば高く売れるかもしれないし、これまで届け られなかった市場へも売れるかもしれないし、また、輸送の際の損失が減って利益率が上がるか もしれない。などなど、1 つの技術からさまざまな効能が期待される。他方この技術の導入には 課題もある。まずはコストがかかること。次に商品の品質に関しては輸送だけでなく、生産段階 を含むサプライチェーン全体がかかわること。更には大多数の生産農家は小規模で新技術の導入 に積極的でないこと。また、わが国援助の課題として日本企業(食品輸出入業)との連携をいか に進めるのかも挙げられ、これらすべてをどう整理するかがこの調査の肝であったといえる。
本調査においては「輸送包装技術の開発と普及」を柱として整理した。適正な輸送包装により 輸送による損失を防ぐことで導入コストを克服し技術の普及を図る。次にサプライチェーンや生 産技術の改善も必要に応じて検討し品質を向上させる。成功事例をショーケースにして他の農家 へ普及させる。ここまでをプロジェクトの枠組みとした。ただし、期待される成果はこれにとど まらず、これら協力により競争力のついた生産者には、「ブランディングによる高付加価値化」や
「日本などの輸出先開拓」などより大きなプロジェクト効果を期待する。
以上のようなプロジェクト構造としたが、実施に関してはもう1つ重要な要素があった。先に も述べたが、フェーズ2では「生産段階を含むサプライチェーン全体がかかわっている」ため実 施機関である科学技術省だけのマンデートだけでは対応できない。したがって、農業省や科学技 術省と常に連携して進める必要があり、その連携実施体制についても確認した。
最後に、フィリピンでは「全国産業クラスター促進プロジェクト」が2012年4月から実施され ている。これは生産から市場までの関係者で構成する「産業クラスター」を形成し、クラスター 全体で関係者の課題を共有解決しつつ、全体の活性化を図るというものである。地場産業振興策 としては共通項の多いアプローチであり、補完し合える要素も多いのではないかと思う。ほかに も森林資源管理プロジェクト(円借款)におけるアグロフォレストリー推進など関連性の高い案 件があり、これらと知見・経験を共有し合うことで、フィリピン全体での地場産業活性化に寄与 できるのではないかと期待している。
付 属 資 料
1.要請書
2.協議議事録(M/M)
3.討議議事録(R/D)
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