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呼吸異常音を含む聴診音の摩擦音発生箇所推定

4.2 呼吸異常音を含む聴診音の摩擦音発生箇所推定 2

吸音の周波数スペクトラムより,摩擦音の周波数スペクトラムに似ていると判定されたため である. そのため,摩擦音の発生箇所を推定するためには,健康な人の呼吸音以外にも呼吸異 常音などの聴診器で聴こえる様々な音を学習パターンとし,重みベクトルを求める必要があ ると考えられる. また今回の実験では,周波数スペクトラムを求めることによって,時間波形 で変化する聴診音の特徴を考えていない.そのため時間波形の特徴も用い,摩擦音の発生箇所 を推定することが必要であると考える.

4.3 呼吸異常音を含む聴診音の摩擦音発生箇所推定

前節では推定した摩擦音発生箇所の摩擦音を除去した聴診音を求めることができなかっ た.そのため,この節では摩擦音を含まず,呼吸異常音が含まれる聴診音から,呼吸異常音の 発生箇所を推定していく.

4.3 呼吸異常音を含む聴診音の摩擦音発生箇所推定

4.3.1 呼吸異常音を学習パターンとした重みベクトルの計算

3.4では,摩擦音を含まない聴診音と摩擦音を含む聴診音の周波数スペクトラムを学習パ ターンとし,健康な人の聴診音に含まれる摩擦音の発生箇所を推定する重みベクトルを求め た. この節では,呼吸異常音を含まない聴診音と呼吸異常音を含む聴診音の周波数スペクト ラムを学習パターンとし,呼吸異常音の発生箇所を推定する重みベクトルを求める.

学習パターンに用いた呼吸異常音は,CD[5]に録音されている低音性連続性ラ音のサンプ ルのデータの周波数スペクトラムを用いる. また,呼吸異常音を含まない聴診音には,CD[5]

に録音されている気管呼吸音,気管支肺胞呼吸音,肺胞呼吸音のサンプルの周波数スペクトラ ムを用いる. この実験で用いたCDのサンプル音声は,図2.1で示した電子聴診器のインパ ルス応答と畳み込み処理し,それらの音を512サンプルで周波数スペクトラムを求めた音を 使用する.

今回使用したCD[5]に録音されている低音性連続性ラ音を,電子聴診器のインパルス応答 と畳み込み処理した音の周波数スペクトラムを図4.3に示す.

4.3 低音性連続性ラ音の周波数スペクトラム

4.3 呼吸異常音を含む聴診音の摩擦音発生箇所推定

図4.3で示す低音性連続性ラ音の周波数スペクトラムと,図2.8,2.9,2.10,2.11,2.12,2.13と 図2.14で示す呼吸音と心音の周波数スペクトラムを学習パターンとし,3.4の方法で低音性 連続性ラ音の発生箇所を推定する重みベクトルを求める.

4.3.2 呼吸異常音の推定結果

低音性連続性ラ音を含む聴診音に対し,低音性連続性ラ音の発生箇所を推定した結果を図 4.4,図4.5に示す.

4.4 低音性連続性ラ音の推定結果 1

図4.4,4.5の赤で示した波形が,聴診音の時間波形のグラフである. 図4.4,4.5の緑で示し

た結果が,1を示せば呼吸異常音があると判定し,0を示せば呼吸異常音がないと判定した結 果を示す.

図4.4では,20000サンプル付近の呼吸異常音しか判定できていない.

図4.5では,実際には呼吸異常音が発生している箇所で,呼吸異常音が無いと誤った判定を している.

4.3 呼吸異常音を含む聴診音の摩擦音発生箇所推定

4.5 低音性連続性ラ音の推定結果 2

4.3.3 考察

呼吸異常音と正常な呼吸音の周波数スペクトラムの違いから呼吸異常音の発生箇所を推定 した結果,正しく推定することができなかった. これは,呼吸音と低音性連続性ラ音では周波 数成分が重なる部分が多く,正しく判定できなかったためだと考えられる. 今後は周波数ス ペクトラム以外にも時間波形の特徴も用いて,呼吸異常音の発生箇所を推定していく必要が あると考える.

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結論

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