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・5-1 評価方法

含水率分布計測の評価について、レーダ計測により求めた減衰率と水分計計測により求 めた含水率を比較することで評価する。評価方法をFig.5-1に示す。レーダ計測用は非破壊 検査となるが、水分計計測は穴を穿孔する破壊検査となる。したがって、レーダ計測と水分 計計測では同一の供試体を用いることはできない。そこで、それぞれ同じ条件で作製された 2つの供試体(レーダ計測用をA、水分形計測用をBと仮定)を作製した。そして、2つの 供試体を重量変化がなくなるまで乾燥させ、内部の水分を抜いた状態を初期状態とした。そ の後、同様に水浸させることで、含水率の制御を行うことにする。レーダ計測では減衰率、

水分計計測では含水率を求め、それぞれ比較することで評価する。

Fig.5-1 含水率分布計測の評価方法

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・5-2 含水率の変化

含水率を変化させるには、乾燥させて初期状態にする方法と水中に浸して含水率を増加 させる方法の 2 つがある。本研究では初期状態から含水率を増加させながら含水率を変化 させる。

供試体の乾燥について、使用した定温乾燥機(ヤマト科学 DS601)をFig.5-2に示す。乾 燥機の仕様はTable 5-1に示す。本研究で行った乾燥機の設定をTable 5-2に示す。作業時の 注意点として、本研究で使用した供試体の重量は約30 kgであるため、乾燥機に入れる際に は、棚板の下に木材3本を置くことで補強した。また、乾燥機から取り出した後の供試体の 温度が非常に高くなっているため、水分計計測は1日以上空ける必要がある。

Fig.5-2 定温乾燥機

Table 5-1 乾燥機の仕様

Table 5-2 乾燥機の設定

温度 105 ℃

運転時間 96+24時間 (計5日)

方式 自然対流

温度制御範囲 室温5~260 ℃ 温度調節精度 ±1 ℃

温度変動 ±1.5 ℃ 温度分布精度 ±5 ℃ 最大連続運転時間 99時間59分

最大積載量 15 kg(棚板のみ), 30 kg(木材3本で補強)

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供試体の湿潤について、水槽(キングタライ 角型 78 リットル)を使用した。この水槽 に水を溜め、供試体を入れることで湿潤させた。この水槽には同時に2体の供試体が入る大 きさがある。湿潤試験の様子をFig.5-3に示す。計測時の条件を統一するため、22 ℃一定の 屋内で行うことで、水温を一定に保った。

水温の計測に使用したデジタル水温計(テトラ BD-1)をFig.5-4に示す。また、水分計計 測時の条件をTable 5-3に示す。このとき、相対湿度は計測していない。本研究での水分計 計測はおおむねこの条件で行った。

Fig.5-3 湿潤試験の様子

Fig.5-4 デジタル水温計

Table 5-3 水分計計測時の条件

室温 22.0 ℃

水温 17.8 ℃

相対湿度 不明

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・5-3 水分計計測

水分計計測はレーダ計測と違い、電極挿入式であるコンクリート・モルタル水分計(ケッ ト科学研究所, HI-800)を使用した。水分計をFig.5-5、水分計の仕様をTable 5-4、水分計計 測の様子をFig.5-6に示す。

水分計は本体に接続されたブラシセンサで計測を行う。ブラシセンサは2つあり、それぞ れをコンクリートに6 cm間隔で穿孔された2つの穴(直径6 mm)に挿入することで、2点 間の電気抵抗から本体に含水率が表示される仕組みとなっている。そのため、水分計を使用 する前に、コンクリートに穴を穿孔する作業が必要となる。

また、一度穿孔した穴を再度、水分計計測に使用することができない。これは電極抵抗式 と呼ばれる計測方法に共通する特徴である。また、一度穿孔した穴からは乾燥が急激に進ん でしまうため、計測後は速やかに穿孔した穴を塞ぐ必要がある。そして、計測の際には22 ℃ 前後の一定に保たれた室内で計測した。

Fig.5-5 水分計

Table 5-4 水分計の仕様

測定方式 電気抵抗式 測定範囲 0~10 %

測定方法 重量含水率(ドライベース)

温度補正 自動補正、手動可 測定最大深度 表面から50 mm

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Fig.5-6 水分計計測の様子

穴の穿孔には充電式ブラシレスハンマドリル(マックス, PJ-R265-B2C)を使用した。使用 したハンマドリルを Fig.5-7 に示す。ドリルの刃には SDS プラス超硬ドリル(マキタ,

A-03682, 径6 mm, 有効長50 mm)を使用した。使用した刃をFig.5-8に示す。作業時に注意す

る点について、一度目の穿孔後には穴の深さが50 mmより浅くなるので、再度穿孔する必 要がある。これは穴の穿孔によってコンクリートの粉塵が穴の奥に詰まるためである。その ため、粉塵を穴の外に出し、穴の深さが50 mmになることを確認しながら、何度も穿孔す る必要がある。

Fig.5-7 ハンマドリル

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Fig.5-8 ドリルの刃

穴の穿孔後には、穴からの含水率の変化を防ぐため、多用途補修パテ(ロックタイト,

DHP-482)を穴の周囲に接着させ、穴を塞いだ。補修パテをFig.5-9、補修パテの仕様をTable 5-5

に示す。この補修パテを使用することで、供試体の含水率が保たれる。作業時の注意点とし て、穴の周囲が完全に補修パテで接着したことを確認し、次の作業に移る必要がある。同時 に供試体に塗布したエポキシ樹脂が剥がれた場所を、補修パテで接着することも可能であ る。

Fig.5-9 補修パテ

Table5-5 補修パテの仕様

種類 化学反応形接着剤

成分 エポキシ樹脂, ポリメルカプタン, 無機物 耐久温度 -30~120 ℃

耐水性 あり

硬化時間 (23 ℃)

実用強度 約15分 最終強度 24時間

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・5-4 水分計計測の結果

実際に含水率を変化させ、その経過を水分計で計測した。水分計計測時に、1回の供試体 の条件で使用した供試体の場所をFig.5-10に示す。計測方法として、各深さで3点の計測を 行い、その平均値を各深さの含水率とした。この計測を計測面からの深さ2,6,10,14,18 cmの 5点で行った。Fig.5-10には、1回の供試体の条件での計測場所を示している。本研究では、

Fig.5-10の計測を4回行ったため、全ての供試体側面を使用した。

計測した含水率を Fig.5-11、1回の供試体の条件で計測した含水率の平均値(全体の含水

率)をTable 5-6に示す。このとき、同じ深さで場所による含水率の差は、平均で約0.5%、

最大で1.6 %であるため、場所の違いによる差は小さく、本研究では同一として扱った。

Fig.5-11より、供試体を水中に浸すことで含水率の増加を確認した。含水率を深さ毎にみ

ると、深さ2, 6 cmでは水中2日後で急激に含水率が増加した。一方、深さ10, 14, 18 cmで は水中6日間で比例的な含水率の増加が確認できた。

Fig.5-10 1回の供試体の条件での計測場所

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Fig.5-11 含水率

Table 5-6 供試体の条件と全体の含水率

供試体の条件 全体の含水率 初期状態 4.7 %

水中2日後 7.1 %

水中4日後 7.8 %

水中6日後 8.8 %

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・5-5 レーダプロファイルの確認

外部の反射波と底面の反射波の確認を行う。含水率を変化させたときに平行偏波で計測 した結果をFig.5-12, 13に示す。このとき、底面の反射波を黒線、外部の反射波を赤線で囲 った。

底面の反射波の確認について、マイグレーション時に必要な供試体中の比誘電率を求め ることを目的に行う。このとき、レーダプロファイル上に5-5節の透過試験による比誘電 率から求めた供試体底面の位置を赤線で示してある。計測結果から、初期状態では、底面 の反射波が確認できるが、水中2, 4, 6日後では確認しづらい。よって、含水率が増加する と、電波の減衰が大きくなり、底面の反射波を確認できなくなる。改善方法として、供試 体の下に鉄板等の電波を反射させやすいものを敷き、底面からの反射波を強調する必要が ある。

外部の反射波について、初期状態では強い反射が確認でき、水中2, 4, 6日後でも減衰は 見られるが、外部の反射波が確認できる。よって、含水率増加による電波の減衰の影響を 受けていないので、供試体以外の反射波であると考えられる。

Fig.5-12 レーダプロファイル(左:初期状態、右:水中2日後)

Fig.5-13 レーダプロファイル(左:水中4日後、右:水中6日後)

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・5-6 透過試験

透過試験はマイグレーション時に必要な供試体内部の比誘電率を求めることを目的に行 う。本研究では5-5節より、底面の反射波が確認できず、比誘電率が求められなかったので、

透過試験により比誘電率を求めた。透過試験は供試体の計測面と底面のそれぞれの中央部 に、送受信アンテナの表面が同じ偏波方向で向き合うように固定して行う。透過試験の模式

図をFig.5-14に示す。ここで、透過試験で求めた直達波𝑡1の伝播時間から比誘電率を求めた

式(5.1)を示す。ただし、計測面と底面の距離を𝑑とする。

⁡ 𝜀

𝑟

= (

𝑐𝑡1

𝑑

)

2 (5.1)

透過試験は含水率を変化させたときに行ったので、全体の含水率と比誘電率の関係を

Fig.5-15に示す。Fig.5-15より、含水率が増加すると比誘電率も増加しており、比例の関係

が確認できた。また、実際の現場において、透過試験ができない場合は、平行偏波での移 動計測による底面の反射波の到達時間より、比誘電率を求めることができる。

Fig.5-14 透過試験の模式図

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Fig.5-15 含水率と比誘電率の関係

・5-7 減衰率と含水率の比較

レーダ計測で求めた減衰率と水分計計測で求めた含水率を比較し、レーダ計測のみで含 水率分布計測が可能であるかを判断する。平行偏波と直交偏波の両方で計測を行い、3種 類のフィルタを掛け、深さ2~10 cmの範囲でそれぞれ比較した。

フィルタについて、使用したフィルタ1, 2, 3をFig.5-16~18に示す。このとき、フィルタ 適用後の支配的な周波数帯域を金色の枠で囲った。周波数と減衰量及び探査距離の関係を

Table 5-7に示す。フィルタ1はレーダ計測で得られた伝達関数に近く、2~6 GHz付近の低

い周波数が支配的であるため減衰量が小さく、探査距離が長い。フィルタ2は分解能が良 く、様々な波形成分を含み、4~10 GHz付近の中間の周波数に広帯域な特性があるため減衰 量と探査距離は標準である。フィルタ3は直達波成分を遮断し、供試体内部の成分を多く 含み、9~11 GHz付近の高い周波数に狭帯域な特性があるため減衰量が大きく、探査距離が 短い。このような特徴をもつ3種類のフィルタを使用し、減衰率と含水率を比較してい く。

Table 5-7 周波数と減衰量 周波数 減衰量 探査距離 及び探査距離の関係

低 小 長 高 大 短

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