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第6章 総合分析

第2節 各国・機関および地域への商標出願の関連情報と出願における留意点

日本企業がビジネスのグローバル化を進めるにあたり、海外へのブランド展開を行うには、

適切なブランド戦略と商標出願戦略が必要である。海外への商標出願においては相手国へ直 接出願する方法以外にも、欧州共同体商標意匠庁(OHIM)に加盟している国に対しては

OHIMへの出願、マドリッド協定加盟国に対しては国際登録出願の制度を利用するという選

択も考慮に入れるべきであろう。ここでは、商標出願にあたって特に考慮すべきと考えられ る点について、中国、韓国、インド、アジア諸国・地域(中国・韓国・インドを除く)、

OHIM、

ロシア、米国、カナダ、ブラジルに分けて整理した。

6-2-1

各国・機関および地域への商標出願の関連情報と出願における留意点(その

1)

 インドネシア

・ 2015年12月までにマドリッド協定議定書への加盟を目指していたが、まだ加盟しておらず、時期は未定である

・ 一出願多区分制度が規定されているが、実務上は一出願一区分でないと受理されない

・ 存続期間は商標出願日から10年である

・ グレースピリオド(権利満了後の猶予期間)は認められていない

・ 日本語商標を出願する場合には、インドネシア語による翻訳または音訳の提出が必要

・ 商標の更新時には使用宣誓書の提出が必要

・ 2015年9月28日から商標更新手続きの電子申請を導入

 タイ

・ マドリッド協定議定書に加盟予定であるが、時期は未定である

・ 一出願一区分制で、指定商品・役務数ごとのオフィシャルフィーが加算される

・ 存続期間は商標出願日から10年である

・ グレースピリオド(権利満了後の猶予期間)は認められていない

・ 指定商品の包括記載が認められない

・ 日本語商標を出願する際、タイ語による翻訳または音訳を提出する必要がある

・ 2011年11月22日に商標法改正法案が承認されたが、施行については未定である

   匂い、音商標の追加/識別性に関する明確なルールの規定/一出願多区分制度の導入/

   オフィスアクションに対する応答期間の短縮化/グレースピリオドの導入

 シンガポール

・ 2000年にマドリッド協定議定書に加盟、国際登録出願が利用可能

・ 登録商標だけでなく未登録商標も保護される(コモンローの適用)

・ 一出願多区分制度が導入されているが、出願後は区分毎に出願番号、登録番号が付与される   国際登録出願による出願では、一出願多区分のメリットを享受できる

・ 商標権の存続期間は、出願日から10年である

・ グレースピリオド(権利満了後の猶予期間:6か月)が認められている

・ 原則として、包括的に記載された商品・役務の表示は認められない

・ 一般的に、国際分類表(ニース分類表)に掲載されていない商品・役務は認められていない

・ 外国語の商標については、証明付きの翻訳・音訳の提出が求められる

 ベトナム

・ 2006年にマドリッド協定議定書に加盟、国際登録出願が利用可能

・ 一出願多区分制度が採用されている

・ 商標権の存続期間は、出願日から10年である

・ グレースピリオド(権利満了後の猶予期間:6か月)が認められている

・ 出願願書に記載する指定商品・役務はベトナム語で明記する必要がある

・ 出願商標が外国語の単語または語句である場合は、ベトナム語の翻訳や音訳が必要となる

・ 更新手続時に商標登録証の原本を提出する必要がある

 マレーシア

・ マドリッド協定議定書に加盟していないので、国際登録出願の利用はできない

・ 一出願多区分制度は導入されていない

・ 商標権の存続期間は、出願日から10年である

・ グレースピリオド(権利満了後の猶予期間:1か月)が認められている

・ 侵害のおそれを示す証拠がある場合等には、早期審査の請求が可能である

・ 外国語の商標の場合は、翻訳証明の付された英語翻訳等を願書に記載する必要がある

・ 翻訳証明は、出願から1年以内に提出しなければならない

・ 指定商品・役務は、ニース協定に基づく分類一覧に従う必要がある

 フィリピン

・ 2012年7月25日にマドリッド協定議定書に加盟しており、国際登録出願が利用できる

・ 一出願多区分制度が採用されている

・ 商標権の存続期間は登録日から10年である

・ グレースピリオド(権利満了後の猶予期間:6か月)が認められている

・ 出願商標が外国語の単語または語句である場合は、その翻訳や音訳を付さなければならない

・ 商標出願時点での使用義務はないが、以下の期間において使用宣言書及び使用証拠の提出が   義務付けられている

  (1)出願日から3年以内

  (2)商標登録後5周年目に該当する日から1年以内

・ 国際登録出願においても、以下の期間において使用宣誓書の提出が必要となる   (1)国際出願日から3年以内

  (2)フィリピン特許庁の拒絶宣言が可能な期間が終了後5年経過した後、その1年以内の期間

 カンボジア

・ 2015年6月5日にマドリッド協定議定書に加盟しており、国際登録出願が利用できる

・ 2015年9月28日に商標制度が改正された

   一出願多区分制度の導入/受領通知の発行時間の短縮/登録商標は知的財産局のウェブサイトで公告される

・ 商標権の存続期間は出願日から10年間である

・ グレースピリオド(権利満了後の猶予期間:6か月)が認められている

・ 商標登録簿から商標の登録を抹消されないために、登録から5年が経過した後1年以内に使用/不使用の   宣誓供述書を登録官に提出することが望ましい

 ブルネイ

・ 2015年末までにマドリッド協定議定書に加盟を目指していたが、まだ加盟に至っておらず、加盟時期も未定である

・ 一出願多区分制度が採用されている

・ 存続期間は商標出願日から10年である

・ グレースピリオド(権利満了後の猶予期間:6か月)が認められている

・ 日本語商標を出願する際、英語あるいはマレー語による翻訳を提出する必要がある

・ 出願時において既に商標の使用を開始している場合は、願書に使用開始日を記載し、まだ使用されていない場合に   は、使用予定である旨を記載する

・ 商標の出願・登録にあたって使用が必要となるわけではなく、登録時や更新時に特に使用証拠や宣誓書等を提出   する必要はない

・ 登録商標が指定された商品又はサービスについて、正当な理由なく5年以上使用されていないときは第三者の請求   により登録を取消される場合がある

 ラオス

・ 2016年3月7日にマドリッド協定議定書に加盟し、国際登録出願の利用が可能となった

・ 一出願一区分制が採用されており、一出願では一区分の商品・サービスの指定しかできない

・ 商標権の存続期間は出願日から10年である

・ グレースピリオド(権利満了後の猶予期間:6か月)が認められている

・ 商標が英語又はフランス語以外の場合には、英語による翻訳又は音訳が必要となる 商標出願動向(報告書より)

 ・ 全体的な出願件数は増加傾向であり、日本からの出願件数も増加傾向  ・ 主要各国からの出願も増加傾向を示している

出願時に考慮すべき点 / 商標関連情報

A S E A N

6-2-2

各国・機関および地域への商標出願の関連情報と出願における留意点(その

2)

 ミャンマー

・ 商標法は制定されておらず、Cautionary notice(新聞上での警告通知)制度によって商標が保護されている

・ 現在、ミャンマー特許庁設立と商標法制定に向けて準備をしている段階であるが、商標法制定の時期は未定である

・ 現行制度の概要は以下の通り   ➣登録・保護に関して

  ☞権利者の宣誓書と公証認証済み委任状を農業灌漑省土地記録局の権利・保証登録官室に提出し、

     商標所有権宣言を行う

  ☞商標権は登録日ではなく、使用開始日に発生

  ☞明確な保護期間の規定はないが、登録後3年ごとに新聞へ警告通知を掲載することで保護が可能   ➣更新に関して

  ☞実務上、3年ごとの更新が通例

・ ミャンマー商標法草案の概要は以下の通り   (1) 商標の保護対象

    商標(trademark)、サービスマーク、団体標章、証明標章、地理的表示、周知標章、シリーズ商標、商号   (2) 審査手続

    登録官が絶対的拒絶理由を判断した後に公開を行い、相対的拒絶理由については異議申立があった場合に     審査を行う

  (3) 経過措置

    登録法による標章の登録を有している権利者と、商標法発効後の出願人との調整規定が設けられている   (4) 商標権

    商標権の存続期間は登録日から10年であり、10年毎の更新が可能である   (5) 税関による取締り

    商標権の侵害品の輸入等を禁じるために税関が差止命令や引き渡し命令等の取締ができることが     規定されている

  (6) その他

    マドリッド協定議定書に関する言及がある

出願時に考慮すべき点 / 商標関連情報

O H I M

商標出願動向(報告書より)

出願時に考慮すべき点 / 商標関連情報  ・ 一出願多区分制度が採用されている

 ・ 商標権の存続期間は出願日から10年である

 ・ グレースピリオド(権利満了後の猶予期間:6か月)が認められている  ・ OHIMへの出願の場合、相対的拒絶理由による審査が行われない     → 異議申立などへの対応に関する費用が必要になる場合がある

 ・ EU加盟国のいずれか1ヶ国で取消・無効が確定したら、全てのEU加盟国に対して権利が消滅

 ・ スイス、ノルウェーはEU未加盟なため、OHIMへの出願ルートの利用は出来ないが、国際登録出願を利用することで    スイス、ノルウェーを含めて欧州としての一括管理が可能

 ・ 2013年7月1日より、クロアチアがEUに加盟し、OHIMへの出願の際はクロアチアもカバーされる     → 既に登録済みや出願中の商標については、その効果は自動的に発生する

 ・ 2014年11月24日より早期審査(FAST TRACK)制度を開始

    出願料の支払日から支払日から約4~6週間後に公告/通常の出願より、全体的な流れが約2か月短縮/

    OHIMのデータベースから指定商品・役務を選択するため、補正指令が出る可能性が低くなる

 ・ 2016年3月23日より共同体商標規則・商標ハーモ指令・欧州共同体商標意匠庁手数料規則の改正が行われる予定     ☞用語・名称の変更(CTM→EUTM、OHIM→EUIPOに変更)

    ☞各国特許庁での受付を廃止し、欧州連合商標意匠庁に一本化する     ☞OHIMによる先行商標調査制度が廃止となる

    ☞標識が写実的に表現可能でなければならないという要件の廃止     ☞欧州レベルでも欧州証明商標の制度を導入する

    ☞出願手数料(1区分目)、更新手数料が引き下げられる  ・ 香港における商標制度は、香港内においてのみ有効である  ・ 一出願多区分制度が採用されている

 ・ 商標権の存続期間は登録日から10年である

 ・ グレースピリオド(権利満了後の猶予期間:6か月)が認められている

 ・ 出願前に公式手数料を支払うことにより、その商標の識別力について審査官の助言を受けることができ、

   「登録たりうる」との助言を得てから 3 月以内に商標出願し、その後当局からよく調査した結果

   「登録できない」との通知が届き、出願を取り下げた場合には、支払った出願手数料の返還を請求することができる  ・ 香港には、日本の早期審査制度に該当するシステムはない

 ・ 異議申立期間は公告されてから2月以内であるが、手数料を支払えばこれを延長することができる  ・ 一出願多区分制度が採用されている

 ・ 商標権の存続期間は登録日から10年である

 ・ グレースピリオド(権利満了後の猶予期間:6か月)が認められている  ・ 指定商品数が一区分につき21以上ならばオフィシャルフィーが加算される  ・ 第35類の小売役務に係る指定役務数が6以上ならばオフィシャルフィーが加算される  ・ 先願商標と抵触する場合、商標権者からの同意制度(コンセント)を認めている  ・ 2012年7月より、商標法改正

    香り、動く商標、ホログラムの追加/登録料納付期限後の権利回復措置の追加/登録料分納制度の廃止/

    商標権侵害に関する規定の修正

 ・ 欧州各国への直接出願の件数は減少傾向であるが、それに対し、OHIMへの出願件数は増加傾向  ・ 日本居住の出願人からも、欧州各国への出願が減少傾向だが、OHIMへの出願件数は増加傾向     → さらに、OHIMを指定した国際登録出願も増加傾向

A S E A N

6-2-3

各国・機関および地域への商標出願の関連情報と出願における留意点(その

3)

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