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受信システム設計の例

3.1 パラボラアンテナ

3.1.7 受信システム設計の例

衛星放送の受信システムでは(適切なアンテナが適切な方向に設置されていれば)、ア

衛星放送用アンテナのLNB(BS・CSコンバータ部)やブースタなどの性能を示す指標 の一つに雑音指数(NF)があります。雑音指数は増幅の時に生じる信号品質の劣化の度合 いです。雑音指数が大きくなるほど大きな劣化が発生することを示しています。また、受信シ ステム全体の性能を示す指標に総雑音指数(総NF)があります。受信システム全体の総雑 音指数(総NF)は個々のアンテナ部品の雑音指数や利得、損失から求めることが出来ます (コラム参照)。

衛星放送の受信条件は、アンテナにおける受信CN値[dB]から受信機の所要CN値 [dB]の減算値が、受信システムの総雑音指数[dB]よりも小さい(または等しい)値である必 要があります。受信機の所要CN値とは、テレビやチューナの受信に必要な信号品質のレ ベルで、機器の固有の性能です。ただし、放送の方式によって所要CN値が変化する場合 があり、一例として、国内の衛星デジタル放送(ハイビジョン放送)の所要CN値は約10dB です。

例えば、所要CN値が10dB、アンテナの受信CN値が18dBであれば、総雑音指数 8dB以下で受信することができます。なお、実際には後述する降雨マージンが必要で、仮 に6dBの降雨マージンを確保するには、総雑音指数を2dB以下にする必要があります。

受信条件:

総雑音指数[dB] ≦ アンテナの受信CN値[dB] - 受信機の所要CN値[dB]

….式3-2

国内衛星デジタル放送の所要CN値=9dB~11dB (ARIB STD-B21 5.0版に記載の望ましい性能は11dB) 図 3-5はアンテナ以降の損失と受信システムの総雑音指数(総NF)との関係を示したグ ラフの一例です。受信システム総雑音指数(総NF)は損失0dBの時が最も低く(良好)、損 失が増加するについて徐々に上昇(悪化)します。また、一定の損失を超えると大きく上昇し はじめます。この例ではアンテナ以降で10dB以内であれば、受信システム総雑音指数(総

NF)は殆ど劣化しないのに対して、15~20dB あたりから劣化が著しくなることが分かります。

3-5 アンテナ以降の損失と受信システム総雑音指数(総NF)の計算例

図 3-6は受信システムの設計例です。晴天時のアンテナでの受信CN値が18dB、降 雨時に12dBまで劣化することを考慮し、受信機の所要CN値10dBを確保するためには

受信システムの総雑音指数が2dB以下である必要があります。

この設計例でラインブースタがある場合の受信システムの総雑音指数は0.8dBとなって おり、目標の2dB以下を満たしていることが分かります。ところが、ラインブースタが無い場 合の総雑音指数は 7.9dB と、2dB を超過してしまうので受信できくなる可能性が高まります。

3-6 受信システムの設計例

総雑音指数(総NF)以外の受信性能指標の一つにG/T比があります。G/T比はアンテ ナ利得を含めた受信システムの性能で、高いほど良好です。国内の衛星放送では一般的 に13dB/K以上が必要です。

コラム:雑音指数とG/T比の計算方法

ブースタやLNBなどの増幅器は信号を増幅するとともに雑音も増幅してしまいま す。しかも、雑音の増幅度の方が大きいので、増幅とともに信号の品質が劣化します。

このため、入力の信号品質(入力SN比)よりも出力の信号品質(出力SN比)の方が 下がってしまいます。

雑音指数NFは、入力SN比と出力SN比の割合で定義され1以上の値となります。

また、信号の増幅度である利得をG[倍]、出力雑音電力をN[W]、熱雑音電力をkTB [W]とすると、増幅器の雑音指数は式1のように表せます。

入力SN比 NF ─────

出力SN比

1 k:ボルツマン定数(1.38E-23) ─・───── (式3-3) T:絶対温度[K]

kTB B:帯域幅[Hz]

次に縦続接続された受信システム全体の総雑音指数を求めます。上式の出力雑音Nは 式2のように、雑音が信号の利得で増幅されたkTB・Gと、増幅器の内部で新たに発 生した雑音(NF-1)kTB・Gの合計で表せます。したがって、n段目の増幅器の出力 雑音電力Nnは、式3-5のようになります

= NF・kTB・G

kTB・G + (NF-1)kTB・G (式3-4)

n n-1・Gn + (NFn-1)kTB・Gn (式3-5)

これを式3-3に代入すると、以下のように縦続接続された受信システム全体の「総雑 音指数」を求めることが出来ます。

1 NFtotal ──────────・────

1・G2・G3 kTB

NF2-1 NF3-1 NF4-1

= NF1 ──── ──── ────── (式3-6)

1 1・G2 1・G2・G3

3-6の第2項目の(雑音指数-1)は1段目の利得で除算されているので、1段目の 利得が高いと総雑音指数≒1段目の雑音指数となり、ほぼ1段目の雑音指数だけで総雑 音指数が決まります。つまり、アンテナのLNBの雑音指数が受信システムの性能に大 きく影響することが分かります。

以上の計算は真値での計算になります。雑音指数はデシベル[dB]で表しますので、計 算前後で変換が必要です。

電力のデシベル[dB] = 10 log10(真値) (式3-7)

真値 = 10(デシベル[dB]/10) (式3-8)

G/T比はアンテナ利得と受信系の等価入力雑音温度から求めます。等価入力雑音温度 T’はLNBの入力における等価入力雑音電力Nを温度T’[K]=N/kBに換算した指標 です。

G/T比[dB/K] アンテナ利得[dBi] - 10log10( 等価入力雑音温度[K])

(式3-9)

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