第 4 章 数値実験 22
4.3 反射特性の確認
作成した解析モデルを用いて,モデルの反射特性を測定する。
4.3.1 無変形状態
まず,内部に変形が生じていない(すなわち,さきに作成した解析モデルに加工を加えていない)
状態における反射特性を確認し,これを今後の特性の基準とする。得られた結果は以下のとおりで ある。
-40.0 -35.0 -30.0 -25.0 -20.0 -15.0 -10.0 -5.0 0.0
7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 10.5 11.0
Amplitude[dB]
Frequency[GHz]
no deformation
図4.3.1 無変形状態における反射特性
内部に変形を加えていない状態でありながら,反射特性を見ると内部で電磁波の干渉が起こってい る印象を受ける。これは終端側のプローブで生じた微量な反射波が進行波と干渉するために発生する 現象であると考えられる。それを確認するために,管内の中央部にPMLを設置し完全な無反射状態 における反射特性の確認した。以下がその結果である。
-40.0 -35.0 -30.0 -25.0 -20.0 -15.0 -10.0 -5.0 0.0
7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 10.5 11.0
Amplitude[dB]
Frequency[GHz]
PML
図4.3.2 PML終端時における反射特性
さきほど,見られた干渉点が消え,フラットな特性になっていることがわかる。
また,伝送路における干渉現象を考慮すれば金属管の伸長方向に対する寸法が長くなればなるほど 干渉点が増加するはずである。それを確認するために,金属管部の長さを10倍の1000 mmに変更 し,反射特性を確認した。以下がその結果である。
-40.0 -35.0 -30.0 -25.0 -20.0 -15.0 -10.0 -5.0 0.0
7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 10.5 11.0
Amplitude[dB]
Frequency[GHz]
long tube
図4.3.3 長い金属管を用いた際の反射特性
明らかに干渉点の数が増加しており期待通りの結果が得られていることがわかる。
以上の結果から,数値実験環境および数値実験における解析モデルは良好に動作していると結論づ け,ここで得られた図4.3.1の特性を数値実験における比較対象と使用することにする。
4.3.2 変形部の表現
数値実験においては,管内側面部の一部を金属性のボクセルに変更し,それをもって管内の変形を 表現することにする。
図4.3.4 変形部の表現
本節では,形成する変形の寸法は以下のとおりとする。
変形寸法
変形部高さ · · · 2.5 mm(内径の9%に相当) 変形部幅 · · · 7.0 × 7.0 (mm)
4.3.3 管内変形位置の考慮
ここで,4.2で得られた管内伝搬モードに注目すると,電界分布に偏りが存在することがわかる。
したがって管内の側面に変形を形成することを考えた場合,その位置によって反射特性に変化が生じ ることが予想できる。そこで,今回以下のように伝搬モードに対して三通りの変形部位を検討し,解 析を行う。
図4.3.5 擬似変形の設置方法
4.3.4 直上に発生した変形
まず,伝搬モードに対して直上に発生した変形について解析を行う。以下が得られた反射特性で ある。
-40.0 -35.0 -30.0 -25.0 -20.0 -15.0 -10.0 -5.0 0.0
7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 10.5 11.0
Amplitude[dB]
Frequency[GHz]
pattern (i) no deformation
図4.3.6 直上に擬似変形を設置した際の反射特性
無変形状態である破線に比べ,大きな特性の変化が見受けられる。したがって,内部に変形が生じ ている際には試験体の反射特性に変化があらわれることが数値実験によって確認できた。
4.3.5 斜めに発生した変形
続いて,伝搬モードに対して斜めに発生した変形について解析を行う。以下が得られた反射特性で ある。
-40.0 -35.0 -30.0 -25.0 -20.0 -15.0 -10.0 -5.0 0.0
7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 10.5 11.0
Amplitude[dB]
Frequency[GHz]
pattern (ii) no deformation
図4.3.7 斜めに擬似変形を設置した際の反射特性
やはり特性の変化は見受けられるものの,全体的に特性を示す波形の形状が保たれていることがわ かり,直上のケースに比べると変化が小さいことがわかる。
4.3.6 真横に発生した変形
最後に,伝搬モードに対して真横に発生した変形について解析を行う。以下が得られた反射特性で ある。
-40.0 -35.0 -30.0 -25.0 -20.0 -15.0 -10.0 -5.0 0.0
7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0 10.5 11.0
Amplitude[dB]
Frequency[GHz]
pattern (iii) no deformation
図4.3.8 真横に擬似変形を設置した際の反射特性
全体的,特に 9.0GHz以降の特性については,特性を示す波形の形状が保たれていることがわか り,直上のケースに比べると変化が小さいことがわかる。