• 検索結果がありません。

原型制作

ドキュメント内 偶然の重層という変奏曲 (ページ 49-57)

第三章 博士審査展提出作品

第2節 制作工程

2. 原型制作

原型制作は作品によって それぞれ異なる形式を採った。作品1<Forlorn Paradise I>と 作品2<Forlorn Paradise II>で見られる人体像は同一な制作方式であるため共に説明する。

作品3<Atypical Nomad>はセラミックシェル型鋳造法と関連し、ワックス原型の条件そのも のに着眼して、制作を始めたところで、既存のワックス原型制作とは逆の手順で作る工程を 中心に説明する。作品4<L'Oiseau Bleu>はコールドジョイント技法で最終結合が行われる ことを念頭に置いた原型制作方法について論じる。

(1)作品1 <Forlorn Paradise I> 、作品2 <Forlorn Paradise II>

この作品は多少複雑で多くの労働量が必要な作業で、6つのパターンの人体の原型と27個 のパターンの手足原型を繰り返し生産して、再調合した上に、肌蝋を塗りつけながら、筋 肉の微細な動きと顔の表情、髪の毛の形に変化を与える方式で制作した。一つでも同じ形 のワックス原型が生じないよう留意して形態を作っていく。人体部分のワックス原型作業 が終わると、薄いワックス板材を利用してしわになった布のように演出して、人体の動き に合わせて貼り付ける。

図 41 手と足を別々に区分して人体を制作

図 42 シリコン型

図 43 肌用ワックスをシリコン型に塗る

図 44 シリコン型にバックアップワックスまで流し込んだ状態

図 45 インジェクションワックスで得た手と足のワックス原型

図 46 ワックス原型の量感とディテールを修正

図 47 組み合わせた後、結合と修正

図 48 薄板ワックスで服に該当する部分を作って変化を与える

図 49 反復作業で得られた様々な動きのワックス原型

(2)作品3 <Atypical Nomad>

セラミックシェル型鋳造法の場合は鋳型の完成後、オートクレーブ35での1次脱蝋をした 後、釜を立てて2次脱蝋を実施する。脱蝋の時に蝋の膨脹で鋳型が破損する恐れがあり、そ れを防ぐためである。原型制作時はくるまれたセラミックシェルが乾燥しにくい為、主に レリーフ、もしくは立体の場合は、中子を乾燥させる為に原型を切断したりして無垢でワ ックス原型を作る。このような脱蝋方式からアイデアを得て無垢の原型を作る際、まるで 塑造のように立体を作った。鋳造で立体の原型を作る時は、先の作品1『Forlorn Paradise I』の原型で論じたように、一般的にシリコン型に肌蝋を塗った後、バックアップ用ワック スを注ぐ方式で原型を制作する。しかし、この作品の場合は逆に、バックアップワックス で厚い板材をまず作り、その上に熱風機を利用して熱を加えて大きな形をとり、鉄べらを 熱して彫刻しながら形を完成させていく。最後にその上に約5㎜くらいの板材のワックスを 熱風機を利用して貼ってワックス原型を制作した。

35 Autoclav、鋳金研究室では高温の蒸気で装置内に圧力をかけ、セラミックシェル鋳型の内部のワックスを膨脹 ずに溶かし出す脱蝋のために装置として使用する。主に医学や生物学の実験分野で高温・高圧の飽和水蒸気によ る滅菌処理装置として使われる 図 50 参考

図 50 オートクレーブ 東京藝術大学 取手キャンパス

図 51 バックアップワックスを利用、作品の大まかな形を作る

図 52 バックアップワックスの上に肌用ワックスを塗って形を整える

図 53(左) 作品の前面と裏面に極端な質感の差を与える 図 54(右) 底面を平らにし、全体的なバランスと形態を確認

(3)作品 4 <L’Oiseau Bleu>

L'Oiseau Bleuはコールドジョイント技法でユニットが結合して一つの形態を成すことを 目指して原型の制作を始めた。粘土原型は二つのパターンで作って、設置後に作品の前面 となる部分、すなわち顔と肩の部分を大きな面に割って再構成、描写し、光と影によって 形が鮮明に表れるようにデザインした。細く長い形で中子が無い、無垢で成り立ち、ワッ クス原型の下段部分にネジを付け、鋳造後に溶接を要しないように作った。図64で示して いるように原型制作の段階から作品全体に必要な数量と接合部分に必要な穴あけ等、全て の構造を計算して、鋳造が終わった後に組み立て過程で新しい形態ができることを目指し てデザインした。

図 55 石膏原型制作 図 56 シリコン取り - 1

図 57 シリコン取り - 2 図 58 シリコン取り - 3

図 59 ワックス原型取り 図 60 配置・数量の検討 - 1

図 61 配置・数量の検討 - 2 図 62 コールドジョイント用ねじの準備

図 63 ワックス原型にねじを接合 図 64 人体パーツを接合させる球体に位置を検討

ドキュメント内 偶然の重層という変奏曲 (ページ 49-57)

関連したドキュメント