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⑦北九州市立大学
実施日時 平成18年10月5日13:30~15:00
大学側の対応者近藤倫明副学長甲山乙也経営企画課企画係長 調査に当った人員青野透(金沢大学教授)早田幸政(金沢大学教授)
1.プロフィール
北九州市立大学の前身は、昭和21年7月に創立された小倉外事専門学校である。
同専門学校は、昭和25年4月に北九州外国語大学へ昇格し、爾後、北方キャンパスを拠点に、人文系、
社会科学系の学部・学科増、研究科増、さらには、様々なセンターの改廃を図っていく中で、大きな発展を 遂げてきた。平成13年4月には、ひびきのキャンパスに国際環境工学部を開設し、理系分野の教育展開に
も乗り出した。
平成17年4月から独立行政法人に移行し、「公立大学法人北九州大学」として新たなスタートを切った。
現在、同大学の教育研究組織に関し、学部等の組織として、外国語学部、経済学部、文学部、法学部、国 際環境工学部、基盤教育センターが設置されている。大学院については、修士課程として、経営学研究科、
外国語学研究科、法学研究科、経済学研究科、人間文化研究科が、博士(前期)課程として、国際環境工学 研究科が、博士(後期)課程として、国際環境工学研究科、社会システム研究科がそれぞれ設置されている。
なお、平成19年4月より、マネジメント研究科(専門職学位課程)が開設される予定である。
2.北九州市立大学の学部。学科構成と入学定員
北九州市立大学は、上記の如く、文系4学部、理系1学部で構成されている。
外国語学部は、外国語学科英語専攻(昼90名、夜25名)、外国語学科中国語専攻(昼35名、夜10名)、
国際関係学科(昼65名、夜10名)で構成されている。経済学部は、経済学科(昼155名、夜15名)、経
営』情報学科(昼155名、夜15名)で構成されている。文学部は、比較文化学科(昼135名、夜15名)、人
間関係学科(昼75名、夜10名)、で構成されている。法学部は、法律学科(昼160名、夜35名)、政策科学科(昼68名、夜17名)で構成されている。国際環境工学部は、環境科学プロセスエ学科(50名)、環境 機械システムエ学科(50名)、情報メデイアエ学科(100名)、環境空間デザイン学科(50名)で構成され
ている。
S,改組後の状況
北九州市立大学は、外国語学部の一層の充実・強化を軸に、平成19年4月より、学部・学科等が再編さ
れる。
すなわち、外国語学部の外国語学科英語専攻、中国語専攻が英米学科、中国学科に昇格するとともに、こ れに伴い、入学定員も、英米学科、中国学科、国際関係学科のそれぞれについて、10名ずつの定員増をする 措置が計画されている。一方、経済学部については、マネジメント研究科(専門職学位課程)の開設に伴い、
経済学科、経営情報学科の各々の入学定員を15名減として措置することが予定されている。
また、平成18年4月に設置された基盤教育センターには、学部からの移動と新規採用合わせて、23名の
教員組織が張り付くことになった。
4.学部・学科の再編等と新たな教員組織
北九州大学は、中期計画における「平成19年度の整備を目途とした教育研究組織・体制の検討」に係る
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検討項目として、|北方キャンパスの文系4学部の再編」、「(仮称)共通教育センターの設置(語学。情報教 育等)」、「専門職大学院(法科大学院(ロースクール)、経営大学院(ビジネススクール)、技術経営(MOT)
=_ス等)の設置」、「大学院の再編」の4項目を掲げた。
上記のうち、本調査と直接的な関連を持つのが、「北方キャンパスの文系4学部の再編」、「(仮称)共通教 育センターの設置(語学。情報教育等)」、「専門職大学院(経営大学院(ビジネススクール))の設置」とい った項目である。
北九州市立大学は、学部。学科等の再編に向け、①基盤教育センターの設置。強化、②外国語学部の強化、
③専門職大学院ビジネススクール(MBA)の開設、といった3つの基本方向を提示した。すなわち、同大学 は、①において、充実した専任スタッフからなる基盤教育センターを核に、全学が総力を挙げて「人間力」
の育成。強化に取組むことを、②において、これまでの実績を背景に、東アジアの重要'性が高まる中で外国 語学部を一層強化していくことを、③において、地域の需要に対応させ、高度なマネジメント能力を有する 専門職業人養成を行っていくことを企図したのである。
平成5年、北九州市立大学は、各学部の教養教育のユニットの見直しを行う中で、教員組織改革、カリキ ュラム改革を行った。また、臨時的定員の恒常化を図っていく中で、文系学部の全てにわたり昼夜開講制を 導入するとともに、教員組織の充実も図っていった。こうした改革は、教育研究の高度化。多様化に大きく 寄与したが、その一方で、教養教育の再構築の必要性や昼夜開講制の見直し問題(とりわけ夜間主コースの 存在意義について)といった諸課題も顕在化してきた。また、文系4学部問、とりわけ外国語学部と文学部 の問、経済学部と法学部との間で、類似の内容。性格の授業科目が散見されるという状況も表面化してきた。
こうした状況の中で、北九州市立大学は、北九州市産業学術構想局の下に置かれた「北九州市立大学の今 後の在り方検討委員会」と連携して、これらの課題解決に向け鋭意検討を行った。平成15年12月には、「北 九lll市立大学の改革プラン」が提示され、そこで、学部。学科等の再編、教養教育の充実にかかる具体的な 提言が示された。
北九州市立大学は、こうした課題に対処すべ<、そのための検討薑体制を確立し、解決への模索がなされた。
具体的には、副学長の増員が行われるとともに、若手教授が、教育研究審議会に参画する道筋もつけられた。
また、学部。学科等再編を審議するために、学長を委員長に、各部局の長等で構成される「学部。学科等再 編委員会」が設置されるとともに、その下に、若手教員等からなる「学部。学科再編小委員会」が置かれ、
そこで、この問題に関する集中審議が行われた。
学部。学科霞等の再編に随伴する教員移動に関しては、副学長を中心に、教員の学部間移動の協議が行われ、
各副学長が、教員と個別に、他学部や他学科への移動、学部から専門職学位課程への移動、学部から基盤教 育センターへの移動に係る折衝を粘り強く行った。
そうした折衝の結果、学部。学科間移動に合意した教員12名、マネジメント研究科(専門職学位課程)
への移動に合意した教員7名、学部から基盤教育センターに移動した教員18名(基盤教育センターは、こ の18名と新規5名を加え、23名の教員組織となる)で、実に37名の教員移動が実行された。このことは、
全学教員の約四分の一がそうした移動者に該当する計算になる。
現在、この新教員体制で、新カリキュラム編成作業が進められている。
:iii・おわりに
北九州市立大学における教学改革の特徴は、社会や時代の要請に適切かつ柔軟に対応させた教育プログラ ムの編成に当り、そうした教育プログラムの基礎となる教員組織について、これを「教育組織(学生所属の 組織)」と「教員所属の組織」に分離するのではなく、既存の学部、学科という枠組みの中で、大幅な教員移 動を実行させることを通じ、そうした改革を有為に進めてきている点に見出される。また、この改革は、教
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養教育の再構築という側面も有しており、そのような視点から、学部から基盤センターへの移動が比較的円 滑になされたことの意義は大きいといえる。このような既存の教育研究組織の枠組みを通して、教員組織の 改革を行った点で、この試みは、我が国教学改革の-のリーディング・ケースとして位置づけることも出来
よう。
北九州市立大学では、大学院の再編作業にも着手することが計画されている。文系研究科の5つの修士課 程は、その全てを社会システム研究科博士(前期)課程に統合することや法科大学院創設に関する具体的な 検討が進められている。また、社会需要の動向等を勘案し、現行の昼夜開講制の見直しや、新学部の設置可 能'性に向けた方途の模索もなされている。管理運営の手法に関しても、教育研究審議会が一元的に人事権を 掌握し、教員選考は、同審議会直結の選考委員会がこれを行うといった人事システム構築に向けた模索も始
まろうとしている。
今後一層厳しさを増す競争的環境の中で、地域社会の教育需要に的確に対応させつつ、有効かつ高質の教 育を提供し、有為な人材を育成することを目標とする同大学の教学改革は、未だその緒に就いたばかりの感
がしてならない。
早田幸政(金沢大学大学教育開発・支援センター教授)