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単位面積当たりの果実生産性の比較

立体栽培と地ばい栽培の個体では,主枝や側枝の配置 が大きく異なり,それに伴って受光態勢も大きく異なる ことから,群落としての受光態勢も異なることが予想さ 表-17 スイカの立体および地ばい栽培における整枝法が

葉面積,果実重および果実糖度に及ぼす影響

図-35 スイカの立体および地ばい栽培における 個体当たり葉面積と果実重の関係

品種:早生天竜

整枝法は表-16,図-30を参照 図中の式は回帰式

rは相関係数

***はそれぞれ5%1%水準で有意

れる.そして,栽植密度に対する収量の反応性や,単位 面積当たり収量も異なるものと考えられるが,立体栽培 と地ばい栽培の間で,これらについて検討された例は見 当たらない.他のウリ科作物,キュウリ,カボチャ,メ ロン等でも,行われている割合には差があるものの,立 体栽培(支柱栽培)と地ばい栽培がともに行われている.

また,トマトでも,生食用の品種は主に支柱栽培が行わ れているが,加工用品種は一般に無支柱栽培(放任栽 培)されている.しかし,これらスイカ以外の果菜類に おいても立体栽培(支柱栽培)と地ばい栽培(無支柱栽 培)との間で複数の栽植密度条件を設定して果実生産性 を検討した例は見当たらない.本節では,立体栽培と地 ばい栽培での栽植密度に対する収量反応および受光量当 たりの果実生産効率を比較し,立体栽培の単位面積当た りの果実生産性の特徴を地ばい栽培との比較において明 らかにしようとした.

 a 材料および方法  1)供試品種および栽培法

試験は,抑制栽培(12月どり)と,早熟栽培(6~7 月どり)で行った.ユウガオ‘かちどき2号’に接ぎ 木したスイカ‘縞王マックスRE’を材料として用いた.

抑制栽培では購入苗(PeSP苗)を供試した.早熟栽培 では,2000年3月16日にスイカ種子を,3月21日に ユウガオ種子をバーミキュライトを詰めた育苗箱に播種 し,3月28日に呼び接ぎした後,培養土を詰めた黒色ポ リポット(直径7.5cm,高さ7.0cm)に移植してガラス 室内で育苗した苗を供試した.

抑制栽培では1999年9月14日に本葉3~4枚の苗 を,早熟栽培では2000年4月20日に本葉6~7枚の 苗を,ガラス室内に定植し土耕栽培を行った.いずれの 栽培時期も畝幅は立体栽培では210cm,地ばい栽培で

は420cmとした.抑制栽培では,株間を立体栽培で

100cm,75cm,50cm, 地 ば い 栽 培 で50cm,37.5cm, 25cmとし,栽植密度はともに47.6個体 ・a-1,63.5個体

・a-1,95.2個体 ・a-1とした.早熟栽培では,株間を立体 栽培,地ばい栽培とも50cm,37.5cm,25cmとし,栽 植 密 度 は 立 体 栽 培 で95.2個 体 ・a-1,127.0個 体 ・a-1, 190.5個体 ・a-1,地ばい栽培で47.6個体 ・a-1,63.5個体

・a-1,95.2個体 ・a-1とした.畝はポリフィルム(伊藤忠 サンプラス,ムシコンワイド)でマルチした.立体栽培 では,基肥として畝面面積(全面積の約1/2)当たり,

抑 制 栽 培 で は 苦 土 石 灰15kg・a-1,CDU化 成15kg・a-1

(N,P2O5,K2O各1.8kg・a-1)を,早熟栽培では苦土石

灰12.5kg・a-1,CDU化 成40kg・a-1(N,P2O5,K2O各

4.8kg・a-1)を畝部のみに施用した.地ばい栽培では,

立体栽培と根域を同じにするため,畦の約1/2に立体栽 培と同量の施肥を行いマルチで覆った.かん水はマルチ 内に設置したかん水チューブ(三石アグリ,エバフロー A型)で適宜行った.定植後,苗の主枝を本葉5~6枚 残して摘心し,2本の一次側枝を伸長させて一次側枝2 本仕立てとした(図-36).発生した他の側枝はすべて 除去し,抑制栽培では第33節で,早熟栽培では第27 節でそれぞれ摘心した.立体栽培では,伸長させた一次 側枝は,約180cmの高さに張った直径5mmの鋼鉄製 のワイヤーからつり下げたひもで上方に誘引した.受粉 は人手で行い,果実は1個体あたり1果をいずれかの 一次側枝に着果させた.着果節位は,抑制栽培では第 22節前後,早熟栽培では第16節前後とした.立体栽培 する場合には,15cm角に切った白色寒冷紗を底部に付 けて十文字に結んだポリエチレン製のひもを用いて果実 を支持し,一次側枝を誘引したものと同じワイヤーから つ り 下 げ た. 抑 制 栽 培 で は, 着 果 後, 畦 面 当 た り で N-P2O5-K2O = 0.45-0.24-0.51kg・a-1を 液 肥(OKF-1) で追肥した.

 2)調査項目

果実肥大期に立体栽培および地ばい栽培の各栽植密度 から3~5個体選び,抑制栽培では受粉25~28日後に 相当する1999年11月5日から7日間,早熟栽培では 受粉26~29日後に相当する2000年6月13日から6

図-36 Ⅳ章2節の立体栽培および地ばい栽培の整枝 法の模式図

日間,各個体の2本の一次側枝のうちの1本のすべて の葉に積算日射計測フィルム(大成イーアンドエル,オ プトリーフR2-D)を貼付した.同時に積算日射量算出 のための回帰式を作成するため,ガラス室内の遮へい物 のない場所にフィルムと全天日射計(英弘精機, MS-42)を設置した.抑制栽培では7日後,早熟栽培では6 日後にフィルムを回収し,オプトリーフ測定器(大成 イーアンドエル,T-METER)で470nmの吸光度を測定 して退色率を算出した.そして,遮へい物のない場所に 設置したフィルムの退色率と全天日射計の計測値から回 帰式(抑制栽培:y = -102.5x + 208.7,早熟栽培:y=

-94.2x + 191.5,x,フィルムの退色率;y,積算日射量)

を作成し,測定期間中の個葉の葉面積算日射量を算出し た.

抑制栽培では受粉55日後に,早熟栽培では受粉42 日後に果実を収穫し,果実の重量と糖度を測定した.糖 度は,果実の中心部から採取した果肉汁液を糖度計(ア タゴ,P-1)で測定した.

果実収穫後に,個葉の葉面積算日射量を測定した個体

の個葉の葉面積を面積計(林電工,AC-440)で測定した.

そして,Ⅱ章3節と同様に,葉位別の葉面積算日射量

(MJ・m-2)と収穫時に調査した葉位別の葉面積(m2・ 葉-1) から測定期間中の個葉当たり受光量(MJ・ 葉-1)を算 出し,この値を個体毎に積算することにより測定した一 次側枝当たり受光量(MJ・ 側枝-1)を算出した.この 値を2倍して個体当たり受光量(MJ・ 個体-1)とした.

なお,各栽植密度の個体の配置は,独立して存在する 立体栽培,地ばい栽培それぞれについて,2反復の乱塊 法に準じた配置とした.抑制栽培では,立体栽培,地ば い栽培とも8個体2反復とし,果実の調査は各栽植密 度計16個体の中から図表中に示した数を採取して行っ た.早熟栽培では,各栽植密度について立体栽培では 16~20個体2反復,地ばい栽培では8~10個体2反 復とし,果実の調査は立体栽培では各栽植密度計32~ 38個体,地ばい栽培では計18個体の中から図表中に示 した数を採取して行った.

 b 結果

図-37 スイカの立体および地ばい栽培における葉位別の個葉 当たり受光量に及ぼす栽植密度の影響(抑制栽培) 品種:縞王マックスRE

個葉当たりの受光量は個葉の葉面積算日射量と葉面積から算出 誤差線はSE(n=3~4)

抑制栽培および早熟栽培における,積算日射計測フィ ルムで測定した各葉の葉面積算日射量と収穫時の葉面積 から算出した,測定期間中の葉位別の個葉当たり受光量 を図-37および図-38に示した.いずれの栽培時期 においても,立体栽培では,個葉当たり受光量は栽植密 度の上昇にともなって特に上位葉で大きく減少した.一 方,地ばい栽培では,個葉当たり受光量は栽植密度の上 昇にともなって全体的に減少する傾向が認められた.

測定期間中の個体当たり受光量と果実重の関係を図-

39に示した.いずれの栽培時期においても,測定期間 中の個体当たり受光量と果実重の間には高い正の相関関 係が認められた.抑制栽培では,立体栽培と地ばい栽培 の間で個体当たり受光量と果実重の回帰直線にほとんど 差はみられなかったが,早熟栽培では,立体栽培と地ば い栽培の間に差がみられ,立体栽培のほうが地ばい栽培 よりも受光量当たりの果実重が大きい傾向が認められた.

栽植密度と測定期間中の個体当たり受光量との関係を

図-40に示した.抑制栽培における測定期間中の個体 当たり受光量は,立体栽培,地ばい栽培とも,栽植密度 の上昇とともに減少したが,その減少程度は立体栽培の 方が小さかった.早熟栽培においても,立体栽培,地ば い栽培とも個体当たり受光量は,栽植密度の上昇ととも に減少する傾向が認められた.

栽植密度と果実重および単位面積当たり収量の関係を 図-41に示した.果実重は,いずれの栽培時期におい ても,立体栽培,地ばい栽培に関わらず栽植密度が高ま るに従って小さくなった.抑制栽培では,栽植密度の上 昇による果実重の低下程度が立体栽培で小さかった.

よって,栽植密度が高くなるに従って立体栽培の方が単 位面積当たりの果実収量が高くなった.早熟栽培では,

今回設定した栽植密度の範囲では,立体栽培の単位面積 当たり果実収量は127個体 ・a-1でピークとなり,190.5 個体 ・a-1でやや減少した.一方,地ばい栽培の単位面 積当たり果実収量は栽植密度の上昇により漸増した.立 図-38 スイカの立体および地ばい栽培における葉位別の個

葉当たり受光量に及ぼす栽植密度の影響(早熟栽培) 品種:縞王マックスRE

個葉当たりの受光量は個葉の葉面積算日射量と葉面積から算出 誤差線はSE(n=5)

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