上半空間の定義と同様にして,曲面のガウス曲率と全曲率を定義する.
定義4.6. 曲面S:p(u, v)の接ベクトルpu=pu(u, v), pv=pv(u, v)の計量で与えられる3つの関数 E(u, v) = (pu, pu)+p(u,v), F(u, v) = (pu, pv)+p(u,v), G(u, v) = (pv, pv)+p(u,v)
を定義する.また,p(u, v)の2回微分puu, puv, pvvと単位法線ベクトルν の計量で与えられる3つの関数 L(u, v) = (puu, ν)+p(u,v), M(u, v) = (puv, ν)+p(u,v), N(u, v) = (pvv, ν)+p(u,v)
を定義する.簡単のため,E, F, G, L, M, N と略記する.
上半空間のときと同様に,定義2.14,2.15のようにガウス曲率,全曲率を定義する. 例題4.7. 0< r <1とする.半径rの2次元球面S2は,
p(u, v) = (rcosucosv, rcosusinv, rsinu) (−π
2 ≤u≤ π
2,0≤v≤2π )
仁l
と表される.
pu= (−rsinucosv,−rsinusinv, rcosu), pv= (−rcosusinv, rcosucosv,0),
pu×pv = (−r2cos2ucosv,−r2cos2usinv,−r2sinucosu), |pu×pv|= 2r2cosu 1−r2 , ν = pu×pv
|pu×pv| = (−1
2(1−r2) cosucosv,−1
2(1−r2) cosusinv,−1
2(1−r2) sinu), puu= (−rcosucosv,−rcosusinv,−rsinu),
puv= (rsinusinv,−rsinucosv,0), pvv= (−rcosucosv,−rcosusinv,0).
よって,第1基本量E, F, Gと第2基本量L, M, Nは E= 4r2
(1−r2)2, F = 0, G= 4r2cos2u (1−r2)2, L= 2r
1−r2, M = 0, N =2rcos2u 1−r2 となる.これより,S2のガウス曲率は,
K=LN−M2
EG−F2 = (1−r2)2 4r2 また,面積要素dAは,dA=√
EG−F2dudv= 4r2cosu
(1−r2)2dudvであるので,S2の全曲率は,
∫∫
S2
KdA=
∫ 2π 0
dv
∫ π
2
−π 2
cosudu= 4π となる.
5 単位球内の回転面の全曲率
この章以後,単位円盤D2はxy平面で考えるものとする. 定義5.1. 単位円盤D2上の曲線
γ(u) = (f(u), g(u)) (1−f(u)2−g(u)2>0) をx軸のまわりに1回転してできる曲面Sは,
p(u, v) = (f(u), g(u) cosv, g(u) sinv) で与えられる.
上半空間のときと同様にして, 特異点無しトーラス型曲面, 特異点つきトーラス型曲面, りんご型曲面の全曲 率を計算していく. その際,計算が大変であるため,次の定理を使い,計算する.
定理5.2. 単位円盤D2上の曲線
γ(s) = (f(t), g(t)) (1−f(t)2−g(t)2>0, g(t)>0)
は,閉区間[t1, t2]において,γ(t)˙ ̸= 0であるとする.区間[t1, t2]に対応する弧長u=u(t)により,この曲線の 弧長パラメータ表示が,
γ(u) = (f(u), g(u)) (u(t1)≤u≤u(t2)) であるとする.この曲線をx軸のまわりに1回転してできる曲面は,
p(u, v) = (f(u), g(u) cosv, g(u) sinv) (u(t1)≤u≤u(t2),0≤v≤2π) で与えられる.この回転面をSとすると,Sの全曲率は,
∫∫
S
KdA=−2π 2 ˙g(t2) 1−f(t2)2−g(t2)2
1 du
dt
t=t2
+ 2π 2 ˙g(t1) 1−f(t1)2−g(t1)2
1 du
dt
t=t1
となる.
証明. 単位円盤D2上の曲線γ(u) (u(t1)≤u≤u(t2))の速度ベクトルの大きさは常に1であるから, 4{f′(u)2+g′(u)2}
{1−f(u)2−g(u)2}2 = 1.
この式の両辺に{1−f(u)2−g(u)2}2を掛けてuで微分して整理すると,
2{f′(u)f′′(u) +g′(u)g′′(u)}={f(u)2+g(u)2−1}{f(u)f′(u) +g(u)g′(u)} を得る.また,
pu= (f′(u), g′(u) cosv, g′(u) sinv), pv= (0,−g(u) sinv, g(u) cosv),
pu×pv= (g(u)g′(u),−f′(u)g(u) cosv,−f′(u)g(u) sinv), |pu×pv|=g(u), ν =|ppu×pv
u×pv|= (g′(u),−f′(u) cosv,−f′(u) sinv), puu= (f′′(u), g′′(u) cosv, g′′(u) sinv),
puv= (0,−g′(u) sinv, g′(u) cosv), pvv= (0,−g(u) cosv,−g(u) sinv).
よって,第1基本量E, F, Gと第2基本量L, M, Nは E= 4{f′(u)2+g′(u)2}
{1−f(u)2−g(u)2}2 = 1,
F = 4{−g(u)g′(u) sinvcosv+g(u)g′(u) sinvcosv} {1−f(u)2−g(u)2}2 = 0, G= 4{g(u)2sin2v+g(u)2cos2v}
{1−f(u)2−g(u)2}2 = 4g(u)2
{1−f(u)2−g(u)2}2, L= 4{f′′(u)g′(u) cos2v+f′′(u)g′(u) sin2v−f′(u)g′′(u)
{1−f(u)2−g(u)2}2 = 4{f′′(u)g′(u)−f′(u)g′′(u)} {1−f(u)2−g(u)2}2 , M = 4{f′(u)g′(u) sinvcosv−f′(u)g′(u) sinvcosv
{1−f(u)2−g(u)2}2 = 0, N =4{f′(u)g(u) sin2v+f′(u)g(u) cos2v
{1−f(u)2−g(u)2}2 = 4f′(u)g(u) {1−f(u)2−g(u)2}2
となる.ここで,L= 4{f′′(u)g′(u)−f′(u)g′′(u)}
{1−f(u)2−g(u)2}2 の両辺にf′(u)をかけると, L·f′(u) =4{f′(u)f′′(u)g′(u)−f′(u)2g′′(u)}
{1−f(u)2−g(u)2}2 であるから,
f′(u)2= {1−f(u)2−g(u)2}2
4 −g(u)2,
f′(u)f′′(u) ={f(u)2+g(u)2−1}{f(u)f′(u) +g(u)g′(u)}
2 −g′(u)g′′(u).
これらより,
L·f′(u) = −2{f(u)f′(u) +g(u)g′(u)}g′(u)− {1−f(u)2−g(u)2}g′′(u) 1−f(u)2−g(u)2
なので,
L= −2{f(u)f′(u) +g(u)g′(u)}g′(u)− {1−f(u)2−g(u)2}g′′(u) {1−f(u)2−g(u)2}f′(u)
となり,ガウス曲率は,
K=
−2{f(u)f′(u)+g(u)g′(u)}g′(u)−{1−f(u)2−g(u)2}g′′(u) {1−f(u)2−g(u)2}f′(u)
4f′(u)g(u) {1−f(u)2−g(u)2}2 4g(u)2
{1−f(u)2−g(u)2}2
= −2{f(u)f′(u) +g(u)g′(u)}g′(u)− {1−f(u)2−g(u)2}g′′(u) {1−f(u)2−g(u)2}g(u) . また,面積要素dA=√
EG−F2dudv= 2g(u)
1−f(u)2−g(u)2dudvであるので,Sの全曲率は
∫∫
S
KdA=
∫∫
S
−4{f(u)f′(u) +g(u)g′(u)}g(u)−2{1−f(u)2−g(u)2}g′′(u) {1−f(u)2−g(u)2}2 dudv
=−
∫ 2π 0
dv
∫ u(t2) u(t1)
−4{f(u)f′(u) +g(u)g′(u)}g(u)−2{1−f(u)2−g(u)2}g′′(u) {1−f(u)2−g(u)2}2 du
=−2π
[ 2g′(u) 1−f(u)2−g(u)2
]u(t2) u(t1)
=−2π 2g′(u(t2))
1−f(u(t2))2−g(u(t2))2 + 2π 2g′(u(t1)) 1−f(u(t1))2−g(u(t1))2
=−2π 2 ˙g(t2) 1−f(t2)2−g(t2)2
dt du
t=t2
+ 2π 2 ˙g(t1) 1−f(t1)2−g(t1)2
dt du
t=t1
=−2π 2 ˙g(t2) 1−f(t2)2−g(t2)2
1 du
dt
t=t2
+ 2π 2 ˙g(t1) 1−f(t1)2−g(t1)2
1 du
dt
t=t1
となる.よって,示せた.
また,上半空間のときと同様に, 広義の弧長パラメータを考えることで,次の定理が成り立つ. 定理5.3. 単位円盤D2上の曲線
γ(t) = (f(t), g(t)) (1−f(t)2−g(t)2>0, g(t)>0)
仁l
は点t=t1, t2においてγ(t) =˙ 0であるとする.開区間(t1, t)に対応する広義の弧長u=u(t)により,この曲 線の弧長パラメータ表示が
γ(u) = (f(u), g(u)) (u(t1)≤u≤u(t2)) であるとする.この曲線をx軸のまわりに1回転してできる曲面は
p(u, v) = (f(u), g(u) cosv, g(u) sinv) (u(t1)≤u≤u(t2),0≤v≤2π) で与えられる.この回転面をSとすると,Sの全曲率は
∫∫
S
KdA=−2π lim
t→t2−0
2 ˙g(t) 1−f(t)2−g(t)2
1 du
dt
+ 2π lim
t→t1+0
2 ˙g(t) 1−f(t)2−g(t)2
1 du
dt となる.
証明. 定理5.2の証明と同様にして,t=t1, t2のとき, du
dt = 0になることに注意して,広義積分で考えると,
∫∫
S
KdA=−2π
[ 2 ˙g(t) 1−f(t)2−g(t)2
dt du
]t2 t1
=−2π lim
t→t2−0
2 ˙g(t) 1−f(t)2−g(t)2
1 du
dt
+ 2π lim
t→t1+0
2 ˙g(t) 1−f(t)2−g(t)2
1 du
dt が得られる.
定理5.4. xy平面上の曲線
γ(t) = (f(t), g(t)) (1−f(t)2−g(t)2>0)
は点t =t1, c1, c2,· · ·, cn−1, cn, t2においてγ(t) =˙ 0であるとする.開区間(t1, c1),(c1, c2),· · ·,(cn, t2)に 対応する広義の弧長u=ui(t)により,この曲線の弧長パラメータ表示が
γ(ui) = (f(ui), g(ui)) であるとする.この曲線をx軸のまわりに1回転してできる曲面は
p(ui, v) = (f(ui), g(ui) cosv, g(ui) sinv) で与えられる.この回転面をSとすると,Sの全曲率は
∫∫
S
KdA=−2π lim
t→t2−0
2 ˙g(t) 1−f(t)2−g(t)2
1 dun+1
dt
+ 2π lim
t→cn+0
2 ˙g(t) 1−f(t)2−g(t)2
1 dun+1
dt
−2π lim
t→cn−0
2 ˙g(t) 1−f(t)2−g(t)2
1 dun
dt
+ 2π lim
t→cn−1+0
2 ˙g(t) 1−f(t)2−g(t)2
1 dun
dt
− · · ·
−2π lim
t→c1−0
2 ˙g(t) 1−f(t)2−g(t)2
1 du1
dt
+ 2π lim
t→t1+0
2 ˙g(t) 1−f(t)2−g(t)2
1 du1
dt となる.
仁l
証明. 各開区間の広義の弧長による弧長パラメータを考え, 定理5.3を用いると,得られる. 定理5.5. D2上の曲線
γ(t) = (f(t), g(t)) (t1≤t≤t2,1−f(t)2−g(t)2>0)
に対し,g(t1) =g(t2) = 0,他のtではg(t)>0とする.閉区間[t1, t2]に対応する弧長u=u(t)により,この 曲線の弧長パラメータ表示が
γ(u) = (f(u), g(u)) であるとする.この曲線をx軸のまわりに1回転してできる曲面は
p(u, v) = (f(u), f(u) cosv, g(u) sinv) で与えられる.この回転面をSとすると,Sの全曲率は
∫∫
S
KdA=−2π 2 ˙g(t2) 1−f(t2)2−g(t2)2
1 du
dt
t=t2
+ 2π 2 ˙g(t1) 1−f(t1)2−g(t1)2
1 du
dt
t=t1
となる.
証明. 定理5.2と同様にして示される. 定理5.6. D2上の曲線
γ(t) = (f(t), g(t)) (t1≤t≤t2,1−f(t)2−g(t)2>0)
に対し,g(t1) =g(t2) = 0,他のtではg(t)>0とし,γ(t˙ 2) =0とする.区間[t1, t)に対応する弧長u=u(t) により,この曲線の弧長パラメータ表示が
γ(u) = (f(u), g(u)) であるとする.この曲線をz軸のまわりに1回転してできる曲面は
p(u, v) = (f(u), f(u) cosv, g(u) sinv) で与えられる.この回転面をSとすると,Sの全曲率は
∫∫
S
KdA=−2π lim
t→t2−0
2 ˙g(t) 1−f(t)2−g(t)2
1 du
dt
+ 2π 2 ˙g(t1) 1−f(t1)2−g(t1)2
1 du
dt
t=t1
となる.また,上の条件において,曲線γ(t)がγ(t˙ 1) =0も満たしているならば, 開区間(t1, t)に対応する弧 長u=u(t)により,Sの全曲率は,
∫∫
S
KdA=−2π lim
t→t2−0
2 ˙g(t) 1−f(t)2−g(t)2
1 du
dt
+ 2π lim
t→t2−0
2 ˙g(t) 1−f(t)2−g(t)2
1 du
dt となる.
証明. 定理5.4と同様にして示される.
仁l
仁l
仁l
定理5.2,5.3,5.4,5.5,5.6は,参考文献[2]の定理2.1,2.2,2.3,2.4,2.5を比較したとき, 計算式が同じになる ため,ユークリッド空間で考えたときの全曲率と単位球で考えたときの全曲率は一致するため,計算は省略す る.以上から,ユークリッド幾何学のときと非ユークリッド空間の全曲率は特異点の有無に関わらず,同じにな ることがわかった.
6 曲線を z = 0 に限りなく近づけたときの曲率
上半平面hは定義として,z >0で考えていた.ここで, 曲線のパラメータ表示を上手く取り,曲線をz= 0 に限りなく近づけたときの曲線の曲率を求めてみる.
例題6.1. 中心が(0,1),半径が1の円は
γ(t) = (cost,1 + sint) (
−π
2 < t < 3 2π
) z
O 1
x
とパラメータ表示することができる.この曲線γ(t)に対して,
˙
γ(t) = (−sint,cost), γ(t) = (¨ −cost,−sint) より,定理2.8を用いると,曲率κ(t)は,
κ(t) = sin2t+ cos2t (sin2t+ cos2t)32
y(t) = 1 + sint
となる.このときtを右から−π
2 に近づけると, lim
t→−π 2+0
κ(t) = lim
t→−π 2+0
(1 + sint) = 1−1 = 0,
また,tを左から3
2πに近づけると, lim
t→3 2π+0
κ(t) = lim
t→3 2π+0
(1 + sint) = 1−1 = 0 となる.
例題6.2. ハイポサイクロイドγ(t)を
γ(t) = (2 cost+ cos 2t,2 sint−sin 2t) (0< t < π) z
O 3 x
とする.この曲線γ(t)に対して,
˙
γ(t) = (−2 sint−2 sin 2t,2 cost−2 cos 2t), ¨γ(t) = (−2 cost−4 cos 2t,−2 sint+ 4 sin 2t) であるので,定理2.8を用いると,
κ(t) = −4(1−costcos 2t+ sintsin 2t) {8(1−costcos 2t+ sintsin 2t)}32
(2 sint−sin 2t)
=sin 2t−2 sint 8|sin32t| となる.このときtを右から0に近づけると,
t→lim+0κ(t) = lim
t→+0
sin 2t−2 sint 8 sin32t = lim
t→+0
2 cos 2t−2 cost
12 cos32t =2−2 12 = 0.
また,tを左からπに近づけると,
t→limπ−0κ(t) = lim
t→π−0
sin 2t−2 sint
−8 sin32t =0−0 8 = 0 となる.
例題6.3. アステロイドγ(t)を
γ(t) = (3 cost+ cos 3t,3 sint−sin 3t) (0< t < π) z
O 4 x
−4
4
とする.この曲線γ(t)に対して,
˙
γ(t) = (−3 sint−3 sin 3t,3 cost−3 cos 3t), ¨γ(t) = (−3 cost−9 cos 3t,−3 sint+ 9 sin 3t) であるので,定理2.8を用いると,
κ(t) = −18(1−costcos 3t+ sintsin 3t) {18(1−costcos 3t+ sintsin 3t)}32
(3 sint−sin 3t)
=sin 3t−3 sint 6|sin 2t| となる.このときtを右から0に近づけると,
t→lim+0κ(t) = lim
t→+0
sin 3t−3 sint 6 sin 2t = lim
t→+0
3 cos 3t−3 cost
12 cos 2t =3−3 12 = 0.
また,tを左からπに近づけると,
t→limπ−0κ(t) = lim
t→π−0
sin 3t−3 sint
−6 sin 2t = lim
t→π−0
3 cos 3t−3 cost
−12 cos 2t = −3 + 3
−12 = 0 となる.tを π
2 に近づけると,
lim
t→π 2+0
κ(t) = lim
t→π 2+0
sin 3t−3 sint
−6 sin 2t =∞, lim
t→π 2−0
κ(t) = lim
t→π 2−0
sin 3t−3 sint 6 sin 2t =−∞
である.
ふつう,特異点での曲率は,例題6.3のtをπ
2 に近づけたときのように,発散するはずである.例題6.2にお いて,t= 0の点は, 特異点であるが, 曲率は0に収束している.また,例題6.3においても,t= 0, πの点は特 異点であるが,曲率は0に収束している.
定理6.4. h上の曲線
γ(t) = (f(t), g(t))
に対し,f(t), g(t)が2次以上のべき級数の形で書けるとする.このとき,あるt1に対して,γ(t˙ 1) =0, g(t1) = 0 が成り立つとき,
tlim→t1κ(t)≡0 が成り立つ.
証明. f(t) =tm, g(t) =tn (m, n∈N)とする.このとき,
f˙(t) =mtm−1,g(t) =˙ ntn−1, f¨(t) =m(m−1)tm−2,g(t) =¨ n(n−1)tn−2 であり, ˙γ(t) =0となるのは, t= 0のときである.このとき, 曲率κ(t)は,
κ(t) = tn{mn(n−1)tm+n−3−mn(m−1)tm+n−3} (m2t2m−2+n2t2n−2)
3 2
= mn(n−m)tm+2n−3 (m2t2m−2+n2t2n−2)
3 2
である.
(i)1< m < nのとき,
この曲率κ(t)の分母の最低次の次数は3m−3,分子の最高次の次数はm+ 2n−3である. 1< m < nであ ることより, 0<3m−3< m+ 2n−3なので,
lim
t→0κ(t) = 0 が成り立つ.
(ii)m=nのとき,
κ(t)の分子のn−mが0になるため,
lim
t→0κ(t) = 0 が成り立つ.
(iii)m > n >1のとき,
この曲率κ(t)の分母の最低次の次数は3n−3,分子の最高次の次数はm+ 2n−3である.m > n >1である ことより,m+ 2n−3>3n−3>0なので,
limt→0κ(t) = 0
が成り立つ.これはf(t), g(t)が2次以上のべき級数の形で書けているときも上と同じように,最高次の次数を 見ることで同様に示すことができる.
では,f(t), g(t)のどちらかが2次以上のべき級数の形でないとき,曲率はどのようになるのだろう.
例題6.5. 放物線γ(t)を
γ(t) = (t, t2) (t̸= 0)
O z
x とする.この曲線γ(t)に対して,
˙
γ(t) = (1,2t), γ(t) = (0,¨ 2) であるので,定理2.8を用いると,曲率κ(t)は,
κ(t) = 2t2 (1 + 4t2)
3 2
仁l
となる.このときtを右から0に近づけると, lim
t→+0κ(t) = lim
t→+0
2t2 (1 + 4t2)
3 2
= 0.
また,tを左から0に近づけると,
t→−lim0κ(t) = lim
t→+0
2t2 (1 + 4t2)
3 2
= 0 である.
計量が定義されていない部分に近づけると, 曲率は0になりそうである.計量が定義されていない部分に近 づけたときに, 0にならないような曲線γ(t)を見つける.
7 曲線を単位円盤に限りなく近づけたときの曲率
単位円盤D2は定義として, 単位円盤の内部で考えており, 単位円盤上では計量が定義されていなかった. ここで,曲線のパラメータ表示を上手く取り, 曲線を単位円盤に限りなく近づけたときの曲線の曲率を求めて みる.
例題7.1. 単位円盤D2上のハイポサイクロイドを γ(t) =
(2
3cost+1
3cos 2t,2
3sint−1 3sin 2t
) (
0< t < 2 3π,2
3π < t < 4 3π,4
3π < t <2π )
O y
x
とする.この曲線γ(t)に対して,
˙ γ(t) =
(
−2
3sint−2
3sin 2t,2
3cost−2 3cos 2t
)
, ¨γ(t) = (
−2
3cost−4
3cos 2t,−2
3sint+4 3sin 2t
)
であるので,定理4.5を用いると,
κ(t) =−1 6
sin3 2t
−1 3
sin3 2t
=−1 2
sin3 2t
となる.このとき,tを右から0に近づけると,
t→lim+0κ(t) = lim
t→+0−1 2
sin3 2t
= 0.
また,tを左から2
3πに近づけると, lim
t→2 3π−0
κ(t) = lim
t→2 3π−0
−1 2
sin3 2t
= 0.
同様にして,計算していくと,
lim
t→2 3π+0
κ(t) = 0, lim
t→4 3π−0
κ(t) = 0, lim
t→4 3π+0
κ(t) = 0, lim
t→2π−0κ(t) = 0 が得られる.
例題7.2. 単位円盤D2上の直線を
γ(t) = (t,−t+ 1) (0< t <1) y
O x
γ(t)
とする.この直線γ(t)に対して,
˙
γ(t) = (1,−1), γ(t) = (0,¨ 0) であるので,定理4.5を用いると,
κ(t) = −t+ 1−t·(−1) {12+ (−1)2}12
= 1
√2
となる.このとき,曲率は一定となり,単位円盤に限りなく近いときの直線の曲率が0とならない. 例題7.3. 一般の直線γ(t)を
γ(t) = (t, at+b)
とし,a, bはa2−b2+ 1>0を満たすとする.このとき,直線は単位円盤と2点で交わる.この直線γ(t)に対 して,
˙
γ(t) = (1, a), ¨γ(t) = (0,0)