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第四章  考察

第二節  単一気泡の考察

本実験ではオリフィス径

2.0mm

用いて、空気流量を一定にして以下の 28 点を記録した。 

このうち各オリフィスにおいて特徴的な変動を示した流量を抜き出して解析し、観察データと 見比べて考察する。

2.0mm

番号 流量(cc/min) 番号 流量(cc/min)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

500 440 420 400 380 360 340 320 300 280 260 240 220 200

15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

180

160

140

120

100

80

75

70

65

60

55

50

45

30

リターンマップと周期の波形から・・

三章の二節より、空気流量による気泡の生成周期に比例関係以外の共通性、規則性があること が分かっている。そして、さらに空気流量の違いに対する周期性の違いを見るため、リターンマ ップと周期の波形を用いて、空気流量をパラメータとし、同じような振る舞いをするもの同士を まとめ、表にして領域ごとに区分することができる。

観察から・・

気泡が生成され離脱した後、複数の気泡が相互に引っ張り合ったり、斥け合ったりと影響して いる様子を観察した。また、空気流量の高いところでは気泡の合体も見られ、それが周期的に起 こっているのを確認した。その周期は空気流量によって変化し、例えば、

500cc

では気泡が離脱し た後、2個の気泡が合体したり、4個の気泡が合体したりするような挙動を見せた。

440cc〜400cc

の間は安定して、4個の気泡の合体が起きていた。

380cc

で、はじめて3個の合体が見られた。

360cc

〜320cc で4個の合体は見られなくなった。

300cc〜200cc

の広い範囲の中では、主に2個の気泡が 合体していた。その中から、特に美しい合体画像を選んで次項に示す。

また、上のことをまとめた観察データとリターンマップのそれぞれの方針による領域の区分を 見比べる。

領域の区分

(

流量

500cc/min〜200cc/min)

リターンマップ等から 観察結果から

500cc 2

周期

500cc

2個と4個の合体気泡

400cc 2

周期が崩れた形

440cc〜

400cc

4個の合体気泡

380cc 380cc

4個と3個の合体気泡

360cc 320cc

360cc〜

320cc

3個と2個の合体気泡

300cc 200cc

ランダム

300cc〜

200cc

2個の合体気泡

気泡の合体の様子

500cc/min 400cc/min 380cc/min

2 4

4

4 3

360cc/min 320cc/min 300cc/min

2 2 2

2

3 3

F i g . 4- 2 - 1 気泡の合体の様子(1)

F i g . 4- 2 - 2 気泡の合体の様子(2)

空気流量の低いところ

前節でも述べたように、オリフィスレイノルズ数 Reo

100

付近のところ、つまり本実験条件で は空気流量が低いところに対応しているところは、気泡に働く力のうち、表面張力と浮力が釣り 合っているところと、慣性力と表面張力が釣り合っているところがちょうど交わっているところ である。そのため、Fig. 3-3-2, Fig. 3-3-3のように、非常に面白い形をしたデータを得ることがで きた。

そこで、また同様にリターンマップと観察結果の両方から詳しくこの領域を比較、考察したい と思う。

領域の区分(流量

160cc/min〜30cc/min)

リターンマップ等から 観察結果から

160cc 3

周期※

160cc

単周期

140cc 120cc 100cc

規則性のある形

80cc

70cc 3

周期

60cc

50cc 3

周期が崩れた形

140cc〜

50cc

N+1

個目に変な泡が発 生する。(N+1周期)

30cc 3

周期

30cc

単周期

※30ccのときよりも離脱周期の差が少ない

気泡の離脱の様子

160cc/min 140cc/min〜50cc/min

Fig. 4-2-3 単周期 Fig. 4-2-4 N+1個目の気泡

まとめ

リターンマップについては、空気流量の高いところと、空気流量の低いところの二つに分けて みたが、前者についてはデータ数が不十分だった為、380cc〜200cc の広い範囲でランダムという 結果になってしまった。データ数をさらに増やせば何か観察データと重なり合った結果が出るか もしれない。しかし、空気流量を

500cc

まで上げていったときに、ランダムだったグラフが明瞭 に2周期に戻ったということは、離脱後の気泡が安定して4個の気泡が合体する領域よりも、2 個と4個の2種類の合体が起こる領域の方が安定していることを指している。

つまり、観察データをもとにきれいな形で気泡が発生しているからといって、安易にそこが安 定領域だと決め付けるのは危険である。

また、空気流量の低いところでは、観察データで表れた現象がリターンマップにも表れている。

特に空気流量が

100cc, 120cc, 140cc

の三点に関しては、非常に面白い形をしている。ここは、Fig.

4-1-1

から、オリフィスレイノルズ数 Reo

100

に極めて近い点に対応している。

なお、N+1個目における

N

は、空気流量によって以下のように変化する。

空気流量(cc/min)

N

140 3,4,7

120 3,4,7,8

100 4

80 5

70 6

60 6,12

50 7,14

N+1

周期に共通点、規則性を見出すことはできなかったが、N については面白い関係を見つけ ることができた。上の表より、例えば、空気流量が

140cc

の場合の

N

はすべて

3, 4

の組み合わせ で作ることができる。同様に空気流量が

120cc

の場合の

N

もすべて

3, 4

の組み合わせで作れる。

また、空気流量が

60cc, 70cc

のときの

N

も、二つの数値に倍数関係がある。

以上のことをまとめると、Reo

100

付近に対応する空気流量のところで、予想通り面白い気泡 の挙動を観察することができ、なお且つ、周期に対応する

N

に関しては、準周期的な振る舞いを するのが確認できた。

しかし、やはりデータ数が不十分な為、Nに周期性があると言い切ることはできない。

これから、さらに観察データを増やしていけば必ずこの空気流量における周期の関係は明らか になるだろう。

第三節 干渉による影響の考察

まず、干渉の実験は単一気泡の実験と全く同じ条件で行っている。オリフィスは同一の、内径

2.0mm

のステンレスパイプを用いて、空気流量を一定にして流量が

500cc/min

〜200cc/min の間は

100cc/min

刻み、200cc/min〜80cc/min の間は前節を踏まえて、20cc/min 刻み、さらに

80cc/min〜

50cc/min

の間は細かくとって、10cc/minごとに記録した。 

次に、第一章の第三節でも述べたが、実際の沸騰現象において、隣り合う気泡同士の体積に殆ど差が ない為、本実験では二つのオリフィスから流れ出る空気量を同じものとする。また、オリフィス間の間隔は 気泡径の2倍前後の

5mm, 10mm, 15mm

の三つをとり、それぞれの場合についてお互いどう影響を及ぼ すかを考察する。

リターンマップから・・

前節と同様に、空気流量の違いに対する周期性の違いを見るため、リターンマップと周期の波 形を用いて、空気流量をパラメータとし、同じような振る舞いをするもの同士をまとめ、表にし て領域ごとに区分し、オリフィス間隔が

5mm, 10mm

のときの影響を受けたものと比べる。

領域の区分

(500cc/min〜200cc/min)

単 一 気 泡

10mm

で の 影 響

5mm

で の 影 響

500cc 2

周期

2

周期

400cc 2

周期が崩れた形

380cc 360cc 320cc 300cc 200cc

ランダム ランダム ランダム

領域の区分

(160cc/min

〜50cc/min)

単 一 気 泡

10mm

で の 影 響

5mm

で の 影 響

160cc 3

周期※

140cc 120cc

3

周期が崩れた形

100cc

規則性のある形 規則性のある形

80cc

4周期

70cc 3

周期

4

周期

4

周期が崩れた形

60cc 50cc

3

周期を少し含む 単周期

3

周期を少し含む 単周期

3

周期を少し含む 単周期が崩れた形

※30ccのときよりも離脱周期の差が少ない

まとめ

前節と同様に、リターンマップについては、空気流量の高いところと、空気流量の低いところ の二つに分けてみた。オリフィス間隔

10mm

では、空気流量を

500cc

まで上げていったときに、

ランダムだった周期が2周期に戻ったが、距離を近づけた

5mm

のところでは、空気流量を上げて もランダムのままだった。

また、空気流量の低いところについても、

10mm

のリターンマップと単一気泡のそれとはかなり 似通ったものであった。一方、10mmより近い

5mm

は干渉の影響を受け、すべての空気流量に対 して、ランダム、もしくは崩れた形という結果となった。

以上から、本実験条件において、干渉の影響限界領域は

10mm

付近にあるというのが分かった。

なお、

15mm

の実験に関しては、偶然単周期になったと解釈している。なぜなら、上の実験結果 から、もう一つの

15mm

離れている気泡の原因で、水槽の中の対流が整流され単周期が出るよう になったとは考えにくいからだ。ならば、その気泡自身に要因があるに違いないと思われる。

そこで、実験装置について、二つほど要因の一つとして挙げられるものがある。一つは送気管 がビニールチューブで作られていることである。この中で空気が振動して、気泡の生成、離脱、

離脱後の挙動に影響を与える可能性がある。二つ目は、気泡の出口系の形状である。気泡の生成、

離脱は出口系の形状わずかな違いに左右されるところが多いからだ。

しかし、本研究では、気泡の出口系の形状による影響を考えない為に、すべて中心のオリフィ スから発生する気泡の情報をとっている。したがって、今回のような単周期が急に表れたのは送 気管の中での、空気の振動によるところが一番多いと思う。

以上の理由で、前項の表に載せることを止めた。

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