5-1 プロジェクトの基本方針
本プロジェクトは泥炭地における火災予防能力の向上を目指して、その主たる役割を担 う地域住民、MPAおよびMAの能力向上を図る。また同時に、これら主たるプレーヤーの 能力向上を支えるべく、火災関連の行政機関連携強化や林業省の組織体制・計画整備も合 わせて実施する。つまり、「個々のプレーヤーの能力強化」と「組織連携・組織体制の強化」
の2つの成果グループの切り口から、本プロジェクトの目標達成を図る構成とする。
以上の観点から、本プロジェクトは中央の活動と地方の活動双方が必要となるため、カ ウンターパートには林業省とともに県政府を配置する。そのうえで、点火源である村落で の効果的な火災予防方法を見定め、対象州での普及を図ることも中長期的に目指すものと する。
5-2 プロジェクトの基本的考え方 5-2-1 プロジェクトの概要
本プロジェクトは目標の達成に向けて、5つの成果および付随するそれぞれの活動項目に よって構成される。下図は本プロジェクトの構成を成果別に概念図として表したものであ る(活動は主たる活動項目のみ記載)。
図5-1 プロジェクトのフレームワーク概念図
泥炭地における火災予防能力の向 上
住民の火災予防能力の向上
【新規村落】
村落火災予防計画 の策定および実施
~村落条例の策定 /遵守
~村落内土地利用 計画の策定
MPAの火災予防能力の向上
村落活動における村 落内コーディネータ・
ファシリテータとして の活動⇒能力強化 へ
MAの火災予防に向けたファシリ テーション能力の向上
ファシリテータ研修カ リキュラムの見直し + 研修実施
MA内トレーナー育成
村落活動における ファシリテータとして の実務経験⇒能力 強化へ
中央・地方 火災対策機関の連携強化
【中央】
ワーキンググループ の設置
【県】
~ワーキンググルー プの設置/強化
~予算措置の促進
~セミナー・キャン ペーンの実施
MA/DAOPSの組織開発計画策 定
組織開発計画
~人材育成計画
~MA認証制度
~機材整備計画 等
MA/DAOPS/MPAの 表彰、広報活動 等
DAOPS管理者研修 の実施 プロジェクト目標
成果1 成果2
【継続村落】
ダユン村、リアウ州
~活動レビュー、継 続計画の策定、実 施、評価
村落火災予防対策 ハンドブック・ガイドラ イン作成
MPAファシリテータ 研修
ファシリテータ・ツー ルの整備
成果3 成果4 成果5
地域住民・MPA対象 MA対象 中央・県政府対象 林業省対象
組織の強化~体制・連携機能 各プレーヤーの能力強化
42 5-2-2 各成果にかかる活動
成果 1は「地域住民の火災予防能力向上」を目指して、主に 3 つの活動の柱―①新規村 落での村落火災予防計画策定・実施、②リアウ州シアック県ダユン村での村落火災予防計 画の継続、③村落火災予防計画にかかるハンドブックの作成―から構成される。
①の新規村落での活動はMAおよびMPAがファシリテータの役割を果たしながら、ひと つの村落に対して約 1 年半程度の期間を目処に実施する。また、プロジェクト期間中にお いては、MA内のひとつのチームが1村落を担当し、毎年新たな村落を開拓してゆくことを 想定する(例:西カリマンタン州ラサウDAOPSのMAは全5チームあるため、1年目に5 村落での実施を想定できる)。これら村落火災計画策定・実施の過程を通して、対象村落の 住民は火災予防能力を向上させることが期待できる。
また②のダユン村での活動は、「森林地帯周辺住民イニシアティブによる森林火災予防計 画プロジェクト」からの継続実施である。同村落では既に計画策定が終了している為、本 プロジェクトは計画の本格実施およびモニタリング・評価を行ない、その結果を③のハン ドブックに反映させる。なお、ハンドブックは 2 年目に完成させ、その後プロジェクト終 了時期までに改訂版を作成する。
MPAにかかる能力向上は、成果1での村落火災予防活動を実際にファシリテートするこ とで培う、いわゆる OJT 訓練を基本とする。また合わせて、初級レベルのファシリテータ 研修やファシリテーションツールの整備を行なうことで、能力強化を側面支援する。
成果2:MPAの火災対策能力が向上する
2-1. (MPAが)成果1に関する村落の活動において、計画策定・実施をファシリテートする
2-2. MPA/住民組織を対象としたファシリテータ研修:初級編を実施する(MA/DAOPSが講師)
2-3. sms等を通じた初期消火に係る火災通報体制(MPA→郡・県・MPA/DAOPS)を構築する
2-4. ファシリテーションのための資材、ツールを整備する 成果1:地域住民の火災予防能力が向上する
【村落】
1-1. プロジェクト対象新規村落への活動(X村落)
1-1-1 プロジェクト対象村落を選定する
1-1-2 プロジェクト対象村落について、指標の観点を含めた社会経済ベースライン調査を実施
する
1-1-3 火災予防の取り組みについて、プロジェクト対象村落と意見交換を行なう
1-1-4 村落における火災予防計画を策定する
1-1-5 村落火災予防計画を実施する
1-1-6 村落火災予防計画の実施状況について、住民およびプロジェクト関係者による評価を行
なう
1-2. 継続村落への活動(リアウ州シアック県ダユン村)
1-2-1 ダユン村での活動をレビューする
1-2-2 ダユン村での活動計画を策定する
1-2-3 活動計画を担当MAと実施する
1-2-4 計画の実施状況、効果についてモニタリング、評価を行なう
1-3. 新規村落への普及拡大
1-3-1 これまでの1-1および1-2の活動結果、評価結果から、村落火災予防にかかるハンドブッ
クを作成する
43
MA のファシリテーション能力向上に向けて―①対 MA 研修カリキュラムおよび指導内 容の策定、②MAのレベル・ニーズに応じた各種研修―を実施する。また同時に、研修機能 の自立発展性を視野に入れた、③トレーナーズ・トレーニングも行なう。
なお、このように研修実施および体制の整備を行ないながら、成果 1および 2での対象 村落で主たるファシリテーションの役割を担い、研修内容を実地で活用する活動のデザイ ンとしている(なお、村落活動でのファシリテーションはMAが主、MPAが副の役割分担 を想定する)。
成果 4 にかかる活動は中央政府レベルと県レベルの活動に分かれる。中央政府レベルで は林業省が主体となり、火災対策関連機関によるワーキンググループの設立、コーディネ ートを目指す。これまで「イ」国では煙害対策や気候変動対策等々、その折々での課題に 対して関係機関によるグループは設けられてきたが、いずれも短期的なものであったため、
本プロジェクトでは継続性の高いグループの設立を目指す6。
また県レベルでも同様に関係ステークホルダーによるワーキンググループの設立を目指 すが、県においてはグループの設立にとどまらず、コーディネーションファンドなど予算 措置の実現や、村落の活動成果を普及できる体制の整備までを視野に入れる。その関連に
6 現在、インドネシア新政府による「100 日プログラム」が策定中であるが、同プログラム内に火災関連ス テークホルダーによるグループ結成が計画される可能性が高い。仮にグループが設定された際には、本プ ロジェクトはこのフレームをそのまま利用することが考えられる。
成果4:火災予防にかかる行政組織間の連携活動が強化される
(中央レベル)
4-1. 中央レベルにおいて火災対策にかかる役割分担及び協調を促進するためのワーキンググ
ループを設置する
4-2. 中央レベルにおいて関係機関(農業省、内務省)との火災対策(ゼロバーニング、村落振
興プログラム等)に係る連携体制を強化する
(州、県レベル)
4-3. 州知事令に基づく県レベルを中心とした火災対策ワーキンググループを設置/強化する
4-4. 県レベルでの火災対策活動にかかる連携活動(Socialization Program等)やPKPBM(内務省村
落振興プログラム)等による予算措置を促進する
4-5. 火災対策ワーキンググループ設置の有効性についてモニタリング・評価・検証し、県政府
への政策提言を行なう
4-6. 成果1、2の活動を通じたセミナー、火災予防キャンペーン活動を教育機関、マスコミ等
と連携して実施する
成果3:MAの火災予防に向けたファシリテーション能力が向上する
3-1. 現行ファシリテータ研修についてカリキュラムや内容のレビューを行い、その有効性を検 証する
3-2. ファシリテータ研修が網羅すべき内容について再検証し、求められるレベルに応じて各種 カリキュラムを策定する(初中上級など)
3-3. 対象MAに対してファシリテータ研修を実施する
3-4. 選抜されたMAに対してトレーナーズ・トレーニングを行なう(林業省職員等が講師)
3-5. プロジェクト対象村落で、MA が MPA とともに計画策定・実施をファシリテートする(成
果1および成果2における村落での活動)