図 10-14
11.2. 区 分求 積法によ る定 数y= 1 の積分
1 1.2.1.直感的な積分の理解法
上の直感的な積分の仕方では,y=xの微分は傾 きから計算して1なので,その傾き 1 を上の図に描
いていって積分するというものであった.この方法と区分求積法による小さな面積に分割してそれを足し合 わせて積分する方法を比較してみてみよう.
!"#$
% & '
( ) * - + . (,
, (
% )
&
/"0$
1!213
"#20$
, (
% & '
( ) * - + . (,
4(
%
/"0$
56 76
図 11− 2
267
左図は,微分した下の波形を Δ=1ずつ分割して,それらを足し合わせていくと上のy=xの積分波形に 近いものが得られることを示している.x=1 と 2 の間は微分波形の 2 つの正方形が積み上がって積分波形 になり,x=4と 5 の間は 5 つの正方形が積み上がって積分波形になっている.その右図は分割数を 2 倍に して Δ=1/2 とした場合である.微分波形での面積が半分になったので,積み上げる正方形の 高さも 半分になる.下の長方形をそのまま積み上 げるわ けではなく,面積を高さに変えて積み上げる .(Δ= 1の時だけそのまま積み上げる).x=1 と 1.5 の間は微分波形の 3 つの正方形が積み上がって積分波形にな っている.さらにΔ=1/4 としたときを一番右に示す.このように分割数を増やすと一つあたりの面積が減 少するので,積み上げていく時の高さが低くなり,積分波形に近づいていくことがわかる.
微分 積分 微分 積分
微分 積分
図 11-3
1 1.2.2.級数の極限としての積分
y=1 を a からbまで積分するということは,下図に示すように a から b までを n 個に分割して,
!
!
"
#
#$%$!$
&
!
' (
図 11-4
その刻み幅を
268
! = b " a
n
とし,それを足し合わせて面積を求めることである.高さが1で刻み幅がΔのn個の長方形の集まりなので,
S
n[ a ! b ] = 1 ! " + 1! " + 1 ! " + !!! + 1! "
" $$$$ $ #
n$$$$$ % = n" = n b # a
n = (b # a)
結局,面積は(b-a)になる.このように積分する範囲を分割してそれを足し合わせる計算法を区分求積法と 呼ぶ.即ち,y=1を積分するということは,等分割したn個の小さな長方形の数列,
y = ( ) 1! " , 1 ( ) ! " , 1 ( ) ! " , 1 ( ) ! " , 1 ( ) ! " , 1! " ( ) , 1! " ( ) , !!!
を足し合わせる(級数 Snを求める)ことである.
S
n= ( ) 1! " + ( ) 1! " + ( ) 1! " + !!!+ ( ) 1! " = n ( ) 1 ! "
結局,積分とは,分割数nを無限に増やして,刻み幅を無限に小さくしたときに得られる面積の総和であ る.刻み数nを無限に増やすとΔは限りなく小さくなる.これを dx とおいて,積分は足し算で総和(級数)
であるからこれを積分記号
!
で表す.この積分記号を用いると,y=1 の a からbまでの積分は
1! dx
a
"
b= dx
a
"
b= lim
n#$&
n1! % = lim
n#$n ! ( )* b ' n a + ,- = b ' a
このとき分割数nは割り算されて表には出てこない.
数列と級数は被積分関数と積分に対応することを第6章ですでに述べた.それを詳しく見てみよう.簡単 な例として0から 20 までを区分求積法で積分すると
1! dx
0
20
" # %
i=1201! $ = ( 1 + 1 + 1 + !!! + 1 ) $ = 20$
となる.これは刻み幅をΔ=1 としたとき,図 11− 4 のように表される.左図はy=1のグラフを等分割した ものであり,右図はそれに対応する級数を正確に描いたものである.左図で n=1 から n=20 まで積分すると いうことは,右図の x 軸上の n=20 の位置で,左図の n=1 から n=20 番目までの”タイル”の高さを y 軸方向 に足しあわせるということである.従って,右図の n=20 番目の一番上のタイルの高さは被積分関数の高さ である.このようにこの図から微分と積分の関係を理解することができる.なお,刻みを無限に小さくする とy=xのグラフと等しくなることがわかる.(注:左図と右図の小さな正方形の”タイル”の面積が等し
一般に,関数 f(x) の下の x=a から x=b までの面積を積分することを定積分と呼び
S
ab= lim
n!"
f (x
ii=1
#
n)$x = f (x) dx
a%
bで表す.刻み幅を無限に小さくした場合の面積の総和の極限を
lim
n!"
i=1
#
n$
a%
bで表す.この積分記号(インテグラル)は Summention(和)の頭文字 S を縦に引き延ばした形になって いる.そのとき,刻み幅
!x
をdx
に置き換える.269 いのは刻み幅をΔ=1 としたときのみである.)
20番目:微分値 f '(x)=1
10番目 10番目
1番目
1番目
積分値 y= f (x)= x
20番目:
微分値 f '(x)=1
ここに積み上げる
図 11-5
y=1 の関数を dxで積分すると,分割部の面積を足し合わせて
y = " 1! dx = " dx = x + C
(11− 1)即ち,
y = x + C
となる.1 は普通書かないが重要な意味を持つのでここではわざわざ書いている.xが増 大するにつれて下の面積は単調に増加する.また,直感的な積分のところで述べたように,図 11-6 の右図 に示すように積分した曲線は無数に存在するので,積分定数 C で代表し,これを不定積分という.! "!
#
!
$
$%&%#%
'
#
図 11-6
積分したものを微分すると元の関数にもどるが,定数 C を微分すると傾きは0となる.
! dx = x + 1
! dx = x + 999
もまた積分の答えである.積分定数 C は別の条件が与えられて初めて決まる.
同様に,積分する関数記号が異なっても
! dy = ! 1" dy = y + C
,! ds = ! 1" ds = s + C
,! dt = ! 1 " dt = t + C
,! d = + C
が成り立つ.
[例題1]次の不定積分を求めよ.
数列被積分関数 級数積分
270
(1)
" d!
, (2)! adz
, (3)' d ! "# dy dx $ %&
, (4)' d ! "# d dx
2y
2$ %&
[解答](1)
" d! = " 1# d! = ! + C
, (2)! adz = a ! 1 " dz = az + C
,(3)
d dy dx
! "# $
%&
' = dy dx + C
, (4)d d
2y dx
2!
"#
$
%&
' = d dx
2y
2+ C
[ 問題 1 1—1]次の不定積分を求めよ.
(1)
! k dx
(2)! df (x)
微分係数
dy / dx = 1
の積分:これを簡単に行うには,
(1)
dy = 1! dx
と書き直して,両辺を積分してy = ! dy = ! 1" dx = x + C
(2)
dy / dx = 1
を x で積分して
dy dx dx
! = ! 1" dx = x + C
左辺は,かけ算ができて
dy dx dx
! = ! dy = y
y = x + C
ここが記号法の非常に重要な点である.
さらに重要な例は
d
2y dx
2! dx = ! dx d " #$ dx dy % &' dx = ! dx d " #$ dx dy % &' dx = ! d " #$ dy dx % &' = dy dx + C
で,dx は記号としてかけ算,割り算ができる.
定積分:y=1 を a からbまで積分するというような,積分する範囲が具体的に決まっている積分であり,次 のように書く.
積分計算の基礎:これが大事!! 四角の 中は何 でも同じであれば成り立つ.
! d " = " + C
微分と積分の関係
271
dx
a
!
b= [ ] x
ab= b " a
a-b 間の面積なので 1x(a-b)となる.これはまた,0からbまでの積分から,0から a までの積分を差し引い たものと同じであるから,
dx
a
!
b= dx
0
!
b" dx
0
!
a= [ ] x
b0" [ ] x
0a= b " a
[例題2]次の定積分を求めよ.
(1)
kdx
a
!
b (2)d !
c"
d (3)d !
0
"
x (4)d !
0
"
z[解答] (1)
k dx
a
!
b= k x [ ]
ab= k b ( " a )
(2)d !
c
"
d= [ ] !
cd= d # c
(3)d !
0
"
x= [ ] !
0x= x
(4)d !
0
"
z= [ ] !
0z= z
11.3.1次関数y=xの積 分
区分求積法によって,関数 y=x の0からbまでの定積分を求める.
!
!
" "#$#!#
%
! 2! 3!4!
&
図 11-7
x軸方向の0からbまでを n 個に分けて,刻み幅をΔ=b/n とすると,y=xの関数より,矩形の面積は以下 のようになる. 9 .5. 1 で行った級数の計算結果を用いて,
S
n= ( 0 + ! + 2! + 3! + 4 ! + 5 ! + """ + n! ) ! = ( 0 + 1 + 2 + 3 + 4 + 5 + """ + n ) !
2!!!= k
k=0
#
n$
%&
'
() !
2= n n ( + 1 )
2 !
2ここで,n->∞とし,刻みを無限小にすると,
xdx
0
!
b=
n"#lim S
n= lim
n"#
n n ( + 1 )
2 b n
$ %& ' ()
2
= b
22 lim
n"#
1 + 1 n
$ %& '
() = b
22
結局,
xdx
0
!
b= 1 2 b
2となる.これは以下の様にかける.
272
xdx
0
!
b= 1 2 "# $% x
2 b0= 1 2 b
2& 1 2 0
2= 1 2 b
2
y=x を0から 10 までを区分求積法で積分すると
x dx
0
10
! "
k$
10=0( ) k# # = ( 0 + 1 + 2 + 3 + 4 + 5 + %%% + 10 ) #
2= 55#
2となる.y=x の被積分関数の刻み幅
! = 1
の点に対応する数列を左に,右にその数列の和(級数=積分値)を 図 11− 8 に示す.即ち,前に説明したようにy=x を0から10まで積分することとは,左図の 1 番目から 10 番目までの 10 個の長方形を,右図のx=10 番目の位置において順番に下から 10 個積み重ねていったと きの高さを求めることである.また,積分の最後の項(右図の 10 番目の高さ f’(x))が変化分で,それが 左 図の被積分関数(f’(x))に等しいことも分かる.10番目:
微分値 f '(x)=x
5番目 5番目
1番目
1番目
積分値 y= f (x)= x2/2
10番目:
微分値 f '(x)=x
図 11-8
不定積分
図 11-7 において,bx とおくとy=xの直線の下の,0からxまでの面積は下の三角形で与えられるの で,
x dx
0
!
x= 1 2 x
2+ C
(11− 2)これは三角形の面積を計算するときに出てくる 1/2 である.
微分と積分の関係
273 [例題3]
! d !
a
"
b を求めよ.[解答]
!d!
a
"
b= # $ % ! 2
2& ' (
a b
= b
22 ) a
22
[ 問題 1 1 − 2]次を積分せよ.
(1)
ydy
a
!
b (2)tdt
0!
5
11.4.2次関数y=x
2の積分
前と同様に等分割区分求積法によって,0からbまでの定積分を求める.刻みをΔ=b/n とすると,y=x
2の関数より,矩形の面積は以下のようになる. 9.5.2 で得た計算結果を用いて,
S
n= ( 0 + !
2+ ( ) 2!
2+ ( ) 3!
2+ ( ) 4!
2+ ( ) 5!
2+ """ + ( ) n!
2) !
!!!= ( 0 + 1
2+ 2
2+ 3
2+ 4
2+ 5
2+ """ + n
2) !
3= k
2k=1
#
n$
%&
'
() !
3!= n n ( + 1 ) ( 2n + 1 )
6 !
3ここで,n->∞とし刻みを無限小にすると,
xdx =
0
!
blim
n"#S
ni=1
$
n= lim
n"#n n ( + 1 ) 6 ( 2n + 1 ) % &' b n ( )*
3= b 6
3n"#lim % &' 1 + 1 n ( )* % &' 2 + 1 n ( )* = b 3
3結局,
x
2dx
0
!
b= b 3
3この1/3は角錐や円錐の体積を求めるときに現れる係数と同じである.
被積分関数と積分の関係を,刻み幅をΔ=0.5 の場合の数列と級数で表すと下図(図 11-9)のようになる.
分割数が 2倍に なり幅 が半分に なった ので, 右図 の長方形 の高さ は半分 になり, 積分曲 線によ り近 づいていくことがわかる.
y=x2
y=x3/3
図 11-9
不定積分:図 11-9においての 0~xで積分すると
274
x
2dx
0
!
x= 1 3 x
3+ C
(1 1 − 3 )
x 方向に積分すると x3の 1/3 になる.結局,x,y,z方向の3方向に0からxまで積分すると,
x
2dx
0
!
x+ y
2dy
0!
x+ z
2dz
0!
x= x
3となり全体積 x3になる.即ち,係数が1/3となる理由は,自 由度が3である体積を求めるために一方向にのみ積分する
(自由度 1)結果,自由度3で割らなければいけないというこ とである.このように体積の1/3は x2の積分に現れる1/
3と同じであることがわかる.
注:図 11-10 に示す 3 つの三角錐からなる三角柱の場合,
その体積は三角柱の体積の1/3になることがよくわかる.
図に示すように,”底面1と高さ1”と”底面2と高さ2”の 三角錐は同じ体積である.残りの体積は全体の1/3であり,
それは今度は”底面3と高さ3”からなる三角錐であり,こ れで全三角柱を埋め尽くすことになる.
[例題 4 ]次を積分せよ.
y
2dy =
a
!
by
2dy =
a
!
b" # $ y 3
3% & '
a b= b
33 ( a
33
[問題 11—3]次の定積分をせよ.
(1)
x
2dx
!a
"
a (2 )z
2dz
a
!
a (3 )t
2dt
0!
5
11.5.3次関数の積分
x
3dx
0
!
x= 1 4 x + C
(11-4)面積は x4の4次元の座標の自由度4で割った値になる.
ここで今までに得た情報を整理してみよう.
!"#
$%&
$%'
$%#
!"'
!"&
図 11-10
微分と積分の関係
275
(1)
y = x
(2)y = x
2 (3)y = x
3 の場合のx=0~1までの積分値(灰色の部分)を下図(図 11-11)に示す.
図 11-11
これらの関数は,y軸を水平軸,x軸を垂直軸として眺めると,
(1)
x = y
(2)x = y
1/2 (3)x = y
1/3である.白色の残りの部分がy=0~1までの積分値である.
(2)の白色部分の面積は
y
1/2dy =
0
!
11 1
2 + 1
= 2
3
(3)の白色部分の面積は
y
1/ 3dy =
0
!
11 1
3 + 1
= 3
4
となることより,
x
mdx
0
!
1= m 1 + 1
となることが推測できる.