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制度創設の背景等

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 「社会保障制度改革国民会議報告書」(平成25年 8 月 6 日)における「これまでの『年齢別』から

『負担能力別』に負担の在り方を切り替え、社会 保障・税番号制度も活用し、資産を含め負担能力

に応じて負担する仕組みとしていくべきである」

との指摘、及び「税制調査会マイナンバー・税務 執行ディスカッショングループ論点整理」(平成 26年 4 月)における社会保障と税の適正な執行の 観点からの「国民の多くが保有する預金が把握の 対象から漏れている状態は改めるべきであり、預

金口座へのマイナンバー付番について早急に検討 すべきである」との指摘があり、また、「IT総合 戦略本部新戦略推進専門調査会マイナンバー等分 科会中間とりまとめ」(平成26年 5 月20日)にお いては、「公共性が高く、国・地方・民間・情報 連携等により更なるメリットが期待される事務と して、具体的には、(中略)預金保険法や犯罪収 益移転防止法等に基づく金融機関による顧客の名 寄せ、本人確認及び口座名義人の特定・現況確認 に係る事務(中略)について、マイナンバーの利 用範囲に追加すること(中略)につき、(中略)

積極的かつ具体的に検討を進め」ることとされた ことを踏まえ、預金口座への個人番号(マイナン バー)の活用について、内閣官房を中心として、

「行政手続における特定の個人を識別するための 番号の利用等に関する法律」(平成25年法律第27 号。以下「番号法」といいます。)その他の関係 法令による対応につき検討が行われました。

 その結果として、番号法その他関係法律の改正 により、新たに預金保険事務においてマイナンバ ーを利用できるようにするとともに、その関係法 律として国民年金法、国税通則法等を改正し、金 融機関等に対する社会保障制度の資力調査や国 税・地方税の税務調査においてマイナンバーが付 された預貯金情報を効率的に利用できるよう所要 の措置を講ずることとされました。具体的には、

①預金保険事務については、マイナンバーの利用 対象事務に追加(番号法の改正)、②社会保障給 付に係る資力調査事務については、金融機関等に 対する照会事項にマイナンバーを追加(国民年金 法等の社会保障給付関係法の改正)、③税務調査 事務については、金融機関等に対してマイナンバ ーとともに預貯金情報を管理する義務を課すこと

(国税通則法及び地方税法の改正)とされていま す。

 これらの改正事項が盛り込まれた「個人情報の 保護に関する法律及び行政手続における特定の個 人を識別するための番号の利用等に関する法律の 一部を改正する法律」(平成27年法律第65号。以 下「番号改正法」といいます。)は、去る平成27 年 8 月28日に参議院本会議において可決・成立し、

同年 9 月 9 日に公布されています。

 以下では、国税通則法の改正(金融機関におけ る預貯金情報の管理制度の創設)の内容について 説明することとします。

(注 1 ) 現行制度においても、税務当局は質問検査 権(通法74の 2 ①一ハ等)の行使により、金 融機関等に対しマイナンバーを用いた預貯金 情報の照会は可能ですが、金融機関等にあっ てはマイナンバーを用いた預貯金情報の照会 に備えて特段の用意をしなければならないと いうことまでは求められていません。そのため、

金融機関等からの迅速・的確な回答を確保し、

税務調査における預貯金調査の効率性を高め る観点から、金融機関等に対して、マイナン バーに紐付けて預貯金口座に関する情報を管 理する義務を課することとされたものです。

(注 2 ) 上記の改正を踏まえ、預貯金者は金融機関 等から保有する預貯金口座についてマイナン バーの告知を求められることが考えられます が、預貯金者における金融機関等に対するマ イナンバーの告知は、義務ではなく、あくま で任意であり、金融機関における対応につい ては、今後、事務ガイドラインが策定される 予定とされています。なお、預貯金口座への マイナンバーの付番が進まないことも考え得 るところですが、今般の番号改正法の附則に おいて、本制度施行から 3 年後の見直し規定 が設けられており、その時点で付番の状況等 を踏まえ、更なる付番の促進に向けた施策の 検討を行うこととされています(番号改正法 附則12④)。

(参考 1 ) 社会保障制度改革国民会議報告書(平 成25年 8 月 6 日社会保障制度改革国民会 議)(抄)

第 1 部 社会保障制度改革の全体像 3  社会保障制度改革の方向性

⑵ すべての世代を対象とし、すべて の世代が相互に支え合う仕組み   上 述 の よ う に、「21世 紀 型(2025 年)日本モデル」の社会保障では、

主として高齢者世代を給付の対象と

する社会保障から、切れ目なく全世 代を対象とする社会保障への転換を 目指すべきである。

 その際、全世代型の社会保障への 転換は、世代間の財源の取り合いを するのではなく、それぞれ必要な財 源を確保することによって達成を図 っていく必要がある。

 また、世代間の公平だけではなく、

世代内の公平も重要であり、特に他 の年代と比較して格差の大きい高齢 者については、一律横並びに対応す るのではなく、負担能力に応じて社 会保障財源に貢献してもらうことが 必要である。

  このような観点から、これまでの

「年齢別」から「負担能力別」に負担 の在り方を切り替え、社会保障・税 番号制度も活用し、資産を含め負担 能力に応じて負担する仕組みとして いくべきである。

(参考 2 ) 論点整理(平成26年 4 月税制調査会マ イナンバー・税務執行ディスカッション グループ)(抄)

Ⅱ.具体的検討事項

⑵ 社会保障や税の給付と負担の公平化

③ マイナンバーを活用した環境整備

(金融資産・所得)

○ 現行、証券会社等が顧客に支払っ た配当等の情報(配当調書)、株式等 の譲渡に関する情報(株式等譲渡調 書)、生命保険会社が顧客に支払った 一時金の情報(生命保険一時金支払 調書)といった法定調書を税務署に 提出しており、これら法定調書にマ イナンバーが付されることになる。

 他方、銀行等が個人の顧客に支払 う利子の課税については、源泉分離 課税で終了することから、利子調書 の提出が免除されており、銀行等の 預金口座に関しマイナンバーは付さ

れないこととなっている。

○ 社会保障について所得・資産要件 を適正に執行する観点や、適正・公 平な税務執行の観点からは、国民の 多くが保有する預金が把握の対象か ら漏れている状態は改めるべきであ り、預金口座へのマイナンバーの付 番について早急に検討すべきである。

○ その際、預金口座へのマイナンバ ー付番は、マネーロンダリング対策や、

預金保険などでの名寄せ、災害時の 迅速な対応といった場面でも、その 効果が期待できるとともに、将来的 に民間利用が可能となった場合には、

金融機関の顧客管理等にも利用でき るものとなることも踏まえた検討が 必要である。

(参考 3 ) 中間とりまとめ(2014年 5 月20日IT総 合戦略本部新戦略推進専門調査会マイナ ンバー等分科会)(抄)

Ⅲ.各論

4 .マイナンバー

 マイナンバーについては、個人情報保 護への配慮等から、現行法上、その利用 範囲が、法律又は条例に定められた社会 保障、税又は防災・災害対策の行政事務 等に必要な限度に限られ、その他の目的 では利用できないこととされている。

 現行のマイナンバーの利用範囲を前提 として、実現可能な取組について推進を 図ることは当然であるが、これらに近接し、

公共性が高く、マイナンバーを利用した 情報連携等により更なるメリットが期待 される取組については、利用範囲の拡大 を要するものであっても、実現に向けて、

具体的な検討を進めるべきである。

② マイナンバーの利用範囲の拡大  マイナンバー制度を利用した取組に 近接し、公共性が高く、国・地方・民 間の情報連携等により更なるメリット が期待される事務として、具体的には、

・結婚・死亡等のライフイベントに係 る手続き、パスポートの発行や、代 理権の確認等に関連する、戸籍等に 係る事務

・在外邦人によるマイナンバー関連サ ービス利用や、有事の際の国内情報 の活用等に関連する、旅券や邦人保 護等に係る事務

・預金保険法や犯罪収益移転防止法等 に基づく、金融機関による顧客の名 寄せ、本人確認及び口座名義人の特 定・現況確認に係る事務

・医療・介護・健康等に係る事務の効 率化や全国的なサービス連携等に関 連する医療・介護・健康情報の管理 及び医療情報の蓄積・分析等に係る 事務

・自動車の登録に係る事務等

について、マイナンバーの利用範囲に 追加することや制度基盤を活用するこ とにつき、制度の趣旨や個人情報の保 護等に配慮しつつ、関係者の理解と協 力の下、内閣官房と関係府省が協力して、

地方公共団体や民間事業者等からの意 見も踏まえつつ、想定される利用の在 り方や期待される効果や制度・運用面 の課題等、積極的かつ具体的に検討を 進め、秋頃を目途に、検討状況を政府 CIOに報告する。

(参考 4 ) 「日本再興戦略」改訂2014-未来への挑 戦-(平成26年 6 月24日閣議決定)(抄)

第二  3 つのアクションプラン 4 .世界最高水準のIT社会の実現

⑶ 新たに講ずべき具体的施策

③ マイナンバー制度の積極的活用等  2016年 1 月に予定されているマイ ナンバー制度の利用開始や、2017年 1 月を目途とされている情報提供等 記録開示システム(いわゆる「マイ・

ポータル」)の整備に向けた取組を加 速する。

 マイナンバー制度に合わせて導入 される個人番号カードについて、公 的サービスや資格証明に係るカード との一体化など、国民への普及に向 けた取組について検討を進め、個人 番号カードの交付が開始される2016 年 1 月までに方向性を明らかにする。

 また、金融、医療・介護・健康、

戸籍、旅券、自動車登録などの公共 性の高い分野を中心に、個人情報の 保護に配慮しつつ、マイナンバー利 用の在り方やメリット・課題等につ いて検討を進め、今年度中にマイナ ンバーの利用範囲拡大の方向性を明 らかにする。

 さらに、2016年から利用が開始さ れる法人番号について、行政機関等 での利用を進めるとともに、行政機 関等が保有する自らの法人情報の検 索・参照や各種電子手続を可能とす る「法人ポータル」の運用を2017年

1 月から開始する。

 政府情報システム改革については、

政府CIOのリーダーシップの下、レ ガシーシステム改革をはじめとした 徹底した運用コストの削減や利用者 視 点 を 踏 ま え たBPR(Business ProcessRe-engineering)の推進、ク ラウドの積極的な活用、オンライン 手続の利便性向上に向けた改善等の 取組を強力に推進する。自治体情報 システムのクラウド化を加速させ、

2017年度までにクラウド導入市区町 村の倍増(約1,000団体)を目指す。

また、今年度中に庁舎外から庁内 LANにアクセスできるリモートアク セス機能等を政府共通プラットフォ ーム等の基盤上で一元的に整備し全 府省向けに提供すること等により、

政府職員のワークスタイル変革を促 進する。

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