第 9 章 各枠の終了時刻までに診察可能である初診患者の人数を設定するモデル 98
9.6 初診患者の診察待ち時間の分布関数と密度関数の導出
×
∫ t+(l−1)T (l−1)T
xk−1−seα1µ1xf∑∑l−1 l1 =1
N l1
k=1 S1,k+∑j
k=1S2,k
(x)dx +
∫ t+(l−1)T (l−1)T
xk−1−seα1µ1xf∑∑l−1 l1 =1N l1
k=1 S1,k+∑nl−1 k=1 S2,k
(x)dx
× {1−
n∑l−1
j=0
e−
∑l−1
l1 =1λl21T(∑l−1
l1=1λl21T)j j! }dx
= (α1µ1)α1
∑l−1
l1 =1Nl1
e−
∑l−1
l1 =1λl21T
(α1
∑l−1
l1=1Nl1−1)!
× (t+ (l−1)T)α1
∑l−1
l1 =1Nl1+k−1−s
−((l−1)T)α1
∑l−1
l1 =1Nl1+k−1−s
α1
∑l−1
l1=1Nl1+k−1−s +
n∑l−1
j=1
e−
∑l−1
l1 =1λl21T(∑l−1
l1=1λl21T)j j!
×
∫ t+(l−1)T (l−1)T
xk−1−seα1µ1xf∑∑l−1 l1 =1
N l1
k=1 S1,k+∑j
k=1S2,k
(x)dx +
∫ t+(l−1)T (l−1)T
xk−1−seα1µ1xf∑∑l−1 l1 =1N l1
k=1 S1,k+∑nl−1 k=1 S2,k
(x)dx
× {1−
n∑l−1
j=0
e−
∑l−1
l1 =1λl21T(∑l−1
l1=1λl21T)j
j! }dx (9.5.10)
S1l の密度関数を導出する. S1l の密度関数は fSl
1(t) =
N∑l−1 j=1
jα1
∑
k=1
(α1µ1)(α1µ1t)k−1e−α1µ1t Nl(k−1)!
−
N∑l−1 j=1
jα1
∑
k=2
(α1µ1)(α1µ1t)k−2e−α1µ1t
Nl(k−2)! (0≤t <∞) (9.5.11)
+
∑∞ i=nl+4+1
[F∑∑l+5
l1 =1 N l1
k=1 S1,k+∑i
k=1S2,k
(t+t2)
×{∑l−1
l1=1λl21T +λl2(t2−(l−1)T)}i
i! e−{
∑l−1
l1 =1λl21T+λl2(t2−(l−1)T)}] (9.6.1) となる. ここで
F
max{∑∑ll1 =1 N l1
k=1 S1,k+∑i
k=1S2,k−t2, 0}(t)
= {
P(∑∑ll1 =1Nl1
k=1 S1,k+∑i
k=1S2,k ≤t+t2) (t≥0)
0 (t <0) (9.6.2)
F∑∑l′
l1 =1 N l1
k=1 S1,k+∑i
k=1S2,k
(t+t2)
= (α2µ2)α2i(α1µ1)α1
∑l′
l1 =1Nl1
(α1
∑l′
l1=1Nl1−1)!(α2i−1)!
×
α1
∑l′
l1 =1Nl1−1
∑
p=0
( α1
∑l′
l1=1Nl1−1 p
)
×(−1)α1∑l′l1 =1Nl1−1−p{γ(α2µ2(t+t2), α1
∑l′
l1=1Nl1+α2i−1) (α1µ1−α2µ2)(α2µ2)α1
∑l′
l1 =1Nl1+α2i−1
+
α1
∑l′
l1 =1Nl1+α2i−2−p
∑
s=1
(−1)s
×(α
1∑l′
l1 =1Nl1+α2i−2−pPw) γ(α2µ2(t+t2), α1
∑l′
l1=1Nl1+α2i−1−s) (α2µ2)α1
∑l′
l1 =1Nl1+α2i−1−s
(α1µ1−α2µ2)1+s + γ(α1µ1(t+t2), p+ 1)
(α1µ1)p+1(α1µ1−α2µ2)α1
∑l′
l1 =1Nl1+α2i−p−1
×(−1)α1
∑l′
l1 =1Nl1+α2i−p−1
(α1 l′
∑
l1=1
Nl1+α2i−p−2)!} (9.6.3) である. またW T2lの密度関数は次式となる.
fW Tl
2(t) =
nl
∑
i=0
[f
max{∑∑ll1 =1 N l1
k=1 S1,k+∑i
k=1S2,k−t2, 0}(t)
×{∑l−1
l1=1λl21T +λl2(t2−(l−1)T)}i
i! e−{
∑l−1
l1 =1λl21T+λl2(t2−(l−1)T)}] +
∑l+4 l′=l+1
n∑l′+1
i=nl′+1
[f∑∑l′
l1 =1 N l1
k=1 S1,k+∑i
k=1S2,k
(t+t2)
×{∑l−1
l1=1λl21T +λl2(t2−(l−1)T)}i
i! e−{
∑l−1
l1 =1λl21T+λl2(t2−(l−1)T)}] +
∑∞ i=nl+4+1
[f∑∑l+5
l1 =1N l1
k=1 S1,k+∑i
k=1S2,k
(t+t2)
×{∑l−1
l1=1λl21T +λl2(t2−(l−1)T)}i
i! e−{
∑l−1
l1 =1λl21T+λl2(t2−(l−1)T)}] (9.6.4) ここで
f
max{∑∑ll1 =1 N l1
k=1 S1,k+∑i
k=1S2,k−t2,0}(t)
=δ(t)F∑∑l
l1 =1 N l1
k=1 S1,k+∑i
k=1S2,k
(t+t2) +H0(t)f∑∑l
l1 =1 N l1
k=1 S1,k+∑i
k=1S2,k
(t+t2) (9.6.5) ここで
H0(t) = {
1t >0
0t≤0 (9.6.6)
であり,単位ステップ関数と呼ばれる.
f∑∑l′
l1 =1 N l1
k=1 S1,k+∑i
k=1S2,k
(t) = (α1µ1)α1
∑l′ l1 =1Nl1
(α2µ2)α2i (α1
∑l′
l1=1Nl1−1)!(α2i−1)!
×
α1∑l
l1 =1Nl1−1
∑
s=0
( α1
∑l
l1=1Nl1−1 s
)
(−1)s{tα1
∑l′
l1 =1Nl1+α2i−2
e−α2µ2t α1µ1−α2µ2
+
s+α∑2i−1 w=1
(s+α2i−1Pw)(−1)wtα1
∑l′
l1 =1Nl1+α2i−2−w
e−α2µ2t (α1µ1−α2µ2)1+w
−tα1
∑l′
l1 =1Nl1−1−s
e−α1µ1t(−1)s+α2i(s+α2i−1)!
(α1µ1−α2µ2)s+α2i } (9.6.7)
である.
第 10 章
実データを用いたモデル ( 各枠の終了時
刻までに診察可能な初診患者の人数を設 定 ) の検証
本章では,第10章で作成した診察待ち時間モデルの検証を行う. 初めに10.1節において,各枠の終了 時刻までに来院した初診患者の人数の上限値を設定するモデルを実際の病院の各診療科のパラメータを 用いてシミュレーションを行い,診察の空き時間を考えないシミュレーションにより算出された各患者 の平均診察待ち時間, 診察待ち時間の標準偏差値とヒストグラムとモデルにより算出された平均診察待 ち時間,診察待ち時間の標準偏差値と密度関数を比較し,モデルの検証をする. 次に10.2節において,診 察の空き時間を考えるシミュレーションにより算出された各患者の平均診察待ち時間とモデルにより算 出された平均診察待ち時間の比較を行い, 近似による精度を調べる. また, 10.3節において,実際の病院 の平均診察待ち時間とモデルにより算出された平均診察待ち時間と診察待ち時間の分散値,を用いて比 較をし,検証を行う.
10.1 診察待ち時間モデルのシミュレーションによる検証
予約患者の待ち時間と初診患者の待ち時間の期待値を計算する際に∑∑ll1 =1Nl
k=1 S1k+∑i
k=1S2kの密 度関数の積分と分布関数に関連した関数を計算するが, これらを計算する際に数値誤差が起こる. その ため,数値積分を行う. f∑∑l
l1 =1N l
k=1 S1k+∑i
k=1S2k
(t)をf∑∑l
l1 =1N l
k=1 S1k
(t)とf∑i
k=1S2k(t)を畳み込み積分 することにより
f∑∑l
l1 =1N l
k=1 S1k+∑i
k=1S2k
(t)
= (α1µ1)α1
∑l l1 =1Nl1
(α2µ2)α2ie−(α2µ2t)tα1
∑l
l1 =1Nl1+α2i−1
(α1
∑l
l1=1Nl1−1)!(α2i−1)!
×
∫ 1 0
uα1
∑l
l1 =1Nl1−1
(1−u)α2i−1e(α2µ2−α1µ1)tudu (10.1.1)
となるため, (10.1.1)式を数値積分し,∑∑ll1 =1Nl
k=1 S1k+∑i
k=1S2kの密度関数の積分と分布関数を計算 した.
シミュレーションにおける諸設定とパラメータの設定, 比較方法
初診患者の到着時間間隔と各患者の診察時間の長さは乱数を生成させ, 与える. 実際の病院における 各医師(医師a,医師b,医師e, 医師f)の診療科のパラメータを用いる. 予約患者のシミュレーションは 1000回行い,初診患者のシミュレーションは3000回行う. 各患者の平均診察待ち時間と診察待ち時間 の標準偏差値を算出する.
予約患者の平均診察待ち時間は各枠に来院する予約患者の診察待ち時間の平均値を計算し, さらに 1000回分の平均値を計算する. また初診患者の平均診察待ち時間は各枠で初めに来院した患者の診察待 ち時間を取り出し, 3000回分の平均値を取る. モデルにおける初診患者の診察待ち時間の計算は初診患 者が枠の開始時刻(l−1)T に来院すると仮定した時の診察待ち時間を計算する. 図10.9, 図10.2に平 均診察待ち時間の比較の結果を載せ,図10.3, 図10.4に診察待ち時間の標準偏差値の比較の結果を載せ る. また,図10.5と図10.6, 図10.7と図10.8にシミュレーションにより算出された診察待ち時間の相 対度数分布とモデルにおける診察待ち時間の密度関数の比較を載せる. ここで初診患者の診察待ち時間 の密度関数を計算する際に,無限級数はi= 12で打ち切り計算している.
10.1.1 結果の考察
平均診察待ち時間の比較
モデルにより算出された予約患者の平均診察待ち時間とシミュレーションにより算出された予約患者 の平均診察待ち時間は, ある程度同じ値を算出している. 但し後ろの枠ほどシミュレーションとモデル における診察待ち時間の誤差が大きくなっている. またモデルにより算出された初診患者の平均診察待 ち時間と,シミュレーションにより算出された初診患者の平均診察待ち時間はシミュレーションにより 算出された診察待ち時間がより大きめに算出されており, モデルにより算出された初診患者の診察待ち 時間の平均値はシミュレーションにより算出された診察待ち時間より小さめに算出される傾向がある. 診察待ち時間の標準偏差値の比較
モデルにより算出された各患者の診察待ち時間の標準偏差値はシミュレーションにより算出されたも のと比較すると,ある程度同じ値を算出している.
相対度数分布と診察待ち時間の密度関数の比較
シミュレーションにより算出された診察待ち時間の相対度数分布とモデルにより算出された診察待ち 時間の密度関数は類似した形となっている. 但し,後ろの枠ほど,その誤差は大きくなる.