これ程近い場所に二つの大きな図書館が必要なのかという問いを持つのは当 然であろう。しかも、両館は、県域あるいは市域内の図書館を支援する役割を 持ちつつ、直接サービスにも力を入れており、資料収集に関しては、非常に近 い内容の選定方針を持っている。
おそらく、購入図書の収集の面では、当館にとって特筆すべき独自性は見出 せないであろうとの予想はあったが、具体的にどのような違いがあるのかを調 査したことがなかった。そこで、2008 年度の購入図書に絞って調べてみた。
調査の結果が、資料収集において横浜市中央図書館と連携、協力できるとこ ろを見い出す一助になれば、と考えた。
2.3.2 調査の方法
調査の方法としては、 県立図書館の2008 年度の購入図書をMicrosoft Access で抽出し、1点ずつ横浜市立図書館の OPAC で有無を確認した。
横浜市中央図書館だけの所蔵に絞らず地域館も含めた検索とした。横浜市で
は、地域館が図書を除籍しようとする際、横浜市内の蔵書の最後の1冊であっ
た場合は横浜市中央図書館に送って保存するというシステムとなっており、現 在は地域館のみ所蔵のタイトルであっても、いずれは中央図書館で所蔵するこ とになるからである。
逆に、横浜市立図書館が購入し、当館が所蔵していない図書については調査 していない。当館の『収集要綱』
47)には「調査研究に資するもの」 「一般成人 層のニーズを常に把握し、その生涯学習に必要な資料」を収集するとあり、横 浜市立図書館が多数収集している絵本、児童書、ヤングアダルト向け図書、小 説、エッセイ、観光用ガイドブック、趣味の本、How to もの、文庫本などは収 集の対象としていないので、そのような調査をすることは必要がないと考えた。
2008 年度を選んだのは、第1に、光交付金の影響を排除できるからである。
2番目の理由は、繰り返し版が更新されるような図書について、2008 年度の版 を購入していなくても、その後に新しい版を購入している場合は横浜市立図書 館の収集範囲とみなして排除することが適切であり、その種の図書の 2008 年 度以後の購入状況を調査することにより、排除の要不要を判断できるからであ る。また、2008 年度は当館の設立から 55 年目に当たる。
2008 年度からは4年以上が経過しているため、その間に「亡失」 「回収不能」
等の理由で除籍された図書があることは、留意する必要がある。
2.3.3 調査結果
当館の 2008 年度の購入図書は事業統計
48)によれば 6,961 冊であるが、
Microsoft Access により抽出した数は6,968 冊であった。 誤差がわずかであり、
結果に大きく影響することはないと判断して 6,968 冊を調査した。結果は表2 の通りであった。
表2 横浜市が所蔵していない図書の冊数
A 横浜市で所蔵のないタイトル 739 冊 B 横浜市で旧版のみ所蔵、その後更新していないタイトル 63 冊 C 横浜市で元版あるいは新しい版を所蔵しているタイトル 125 冊 合 計 927 冊 法関係の図書が多数あり、また、0門に「ソフトウェア取引の会計・税務Q&
A」といったビジネス関係図書が含まれている。このように、このコーナーの 設置は、その後の収集全体に大きく影響していると言える。
2.3 購入図書から見た横浜市中央図書館との差異 2.3.1 調査の動機と目的
当館の資料収集については、事あるごとに、横浜市中央図書館との違いを外 部から問われてきた。これは、当館設立時から負っている宿命のようである。
1952 年の当館建設の基本計画に、すでに「県立図書館の機能として、横浜市立 図書館との併立をさけるため、・・・」との一文が盛り込まれている
46)。その約 60 年後の 2012 年度から進められている県立施設の見直しの際にも、県立図書 館と横浜市中央図書館との住み分けが問われた。
歩いて 10 分程度しか離れていない場所で、県立図書館と、政令指定都市横 浜全 18 館の中央館である横浜市中央図書館とが運営している状況を見れば、
これ程近い場所に二つの大きな図書館が必要なのかという問いを持つのは当 然であろう。しかも、両館は、県域あるいは市域内の図書館を支援する役割を 持ちつつ、直接サービスにも力を入れており、資料収集に関しては、非常に近 い内容の選定方針を持っている。
おそらく、購入図書の収集の面では、当館にとって特筆すべき独自性は見出 せないであろうとの予想はあったが、具体的にどのような違いがあるのかを調 査したことがなかった。そこで、2008 年度の購入図書に絞って調べてみた。
調査の結果が、資料収集において横浜市中央図書館と連携、協力できるとこ ろを見い出す一助になれば、と考えた。
2.3.2 調査の方法
調査の方法としては、 県立図書館の2008 年度の購入図書をMicrosoft Access で抽出し、1点ずつ横浜市立図書館の OPAC で有無を確認した。
横浜市中央図書館だけの所蔵に絞らず地域館も含めた検索とした。横浜市で
は、地域館が図書を除籍しようとする際、横浜市内の蔵書の最後の1冊であっ
経済(ビジネス),
135 法律, 62 社会問題, 55 教育, 42 その他, 84
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
当館が重点的に収集している社 会科学、歴史、文学、芸術といった 分野の図書が多くなっているのは、
当然の結果と言える。意外なのは、
川崎図書館の収集範囲であり、当館 ではわずかしか収集していない4 門(自然科学)5門(工学・技術)
の分野で、合わせて 32 冊が見られ ることである。具体的なタイトルを 見てみると、4門では 21 冊中 14 冊 が健康、医学関係、5門では 11 冊 中7冊が環境関係で、そのうち6冊 は経済と絡めたテーマの図書であった。
とび抜けて多い3門社会科学 378 冊では、そのうちの 135 冊が「ビジネス情 報コーナー」の図書で、コーナー以外でも 20 冊、ビジネス関係図書を含んで いる。6門では、37 冊のうち約半数の 18 冊が「ビジネス情報コーナー」の図 書である。また、3門のうち「法律情報コーナー」の図書は 62 冊、コーナー 以外でも 23 冊が法律関係図書である。その他は、NDC(36)社会問題が 55 冊、
NDC(37)教育が 42 冊であった。(図 13)
図 13 3門社会科学の内訳(冊)
3門以外の分野では多い順に、NDC(21)日本史 78 冊、神奈川資料 60 冊、NDC
(91)日本文学 46 冊、NDC(28)伝記 15 冊、NDC(18)仏教 15 冊、NDC(78)スポ−
ツ・体育 15 冊などであった。
総記, 7.2% 哲学,
5.4% 歴史, 12.9%
社会科 学, 29.7%
自然科 学, 4.5% 技術,
5.2% 産業,
6.2% 芸術,
8.3% 言語,
2.0% 文学, 18.4% 神奈川資
料, 21.6%
その他, 7.6%
図 12 2008 年度蔵書の分野別構成比
17 41
103 378
21 11
37 64
8
59 60
3 0
50 100 150 200 250 300 350 400
総記 哲学 歴史 社会科学 自然科学 技術 産業 芸術 言語 文学 神奈川資料 その他
(冊)
総記,
2.1% 哲学,
5.1%
歴史, 12.8%
社会科 学, 47.1%
自然科 学, 2.6%
技術, 1.4%
産業, 4.6%
芸術, 8.0%
言語, 1.0%
文学, 7.4%
神奈川資 料, 7.5%
その他, 0.4%
総記, 3.9% 哲学,
7.0%
歴史, 13.0%
社会科 学, 36.0%
自然科 学, 3.0%
技術, 2.2%
産業, 5.4%
芸術, 8.7%
言語, 2.0%
文学, 14.1%
神奈川資 料, 4.3%
その他, 0.4%
このうち、AおよびBを横浜市で収集していないタイトルと見做して、計 802 冊について分析する。この 802 冊は、2008 年度購入図書の約 11.5%である。9 割近いタイトルは、横浜市でも所蔵しているという結果であった。
では、横浜市が所蔵していない 802 冊に、何らかの特徴があるであろうか。
図 10 で分野別の冊数を、図 11-aで分野構成比を見てみる。分野別構成比は、
2008 年度の購入図書(図 11-b)および 2008 年度の全蔵書(図 12)と比較する。
図 10 横浜市が所蔵していない図書の分野別冊数(2008 年度購入図書)
図 11-a 横浜市が所蔵していない図書 図 11-b 購入図書全体 図 11 2008 年度購入図書の分野別構成比
経済(ビジネス),
135 法律, 62 社会問題, 55 教育, 42 その他, 84
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
当館が重点的に収集している社 会科学、歴史、文学、芸術といった 分野の図書が多くなっているのは、
当然の結果と言える。意外なのは、
川崎図書館の収集範囲であり、当館 ではわずかしか収集していない4 門(自然科学)5門(工学・技術)
の分野で、合わせて 32 冊が見られ ることである。具体的なタイトルを 見てみると、4門では 21 冊中 14 冊 が健康、医学関係、5門では 11 冊 中7冊が環境関係で、そのうち6冊 は経済と絡めたテーマの図書であった。
とび抜けて多い3門社会科学 378 冊では、そのうちの 135 冊が「ビジネス情 報コーナー」の図書で、コーナー以外でも 20 冊、ビジネス関係図書を含んで いる。6門では、37 冊のうち約半数の 18 冊が「ビジネス情報コーナー」の図 書である。また、3門のうち「法律情報コーナー」の図書は 62 冊、コーナー 以外でも 23 冊が法律関係図書である。その他は、NDC(36)社会問題が 55 冊、
NDC(37)教育が 42 冊であった。(図 13)
図 13 3門社会科学の内訳(冊)
3門以外の分野では多い順に、NDC(21)日本史 78 冊、神奈川資料 60 冊、NDC
(91)日本文学 46 冊、NDC(28)伝記 15 冊、NDC(18)仏教 15 冊、NDC(78)スポ−
ツ・体育 15 冊などであった。
総記, 7.2% 哲学,
5.4% 歴史, 12.9%
社会科 学, 29.7%
自然科 学, 4.5%
技術, 5.2%
産業, 6.2%
芸術, 8.3%
言語, 2.0%
文学, 18.4%
神奈川資 料, 21.6%
その他, 7.6%
図 12 2008 年度蔵書の分野別構成比
17 41
103 378
21 11
37 64
8
59 60
3 0
50 100 150 200 250 300 350 400
総記 哲学 歴史 社会科学 自然科学 技術 産業 芸術 言語 文学 神奈川資料 その他
(冊)
総記,
2.1% 哲学,
5.1%
歴史, 12.8%
社会科 学, 47.1%
自然科 学, 2.6%
技術, 1.4%
産業, 4.6%
芸術, 8.0%
言語, 1.0%
文学, 7.4%
神奈川資 料, 7.5%
その他, 0.4%
総記, 3.9% 哲学,
7.0%
歴史, 13.0%
社会科 学, 36.0%
自然科 学, 3.0%
技術, 2.2%
産業, 5.4%
芸術, 8.7%
言語, 2.0%
文学, 14.1%
神奈川資 料, 4.3%
その他, 0.4%
このうち、AおよびBを横浜市で収集していないタイトルと見做して、計 802 冊について分析する。この 802 冊は、2008 年度購入図書の約 11.5%である。9 割近いタイトルは、横浜市でも所蔵しているという結果であった。
では、横浜市が所蔵していない 802 冊に、何らかの特徴があるであろうか。
図 10 で分野別の冊数を、図 11-aで分野構成比を見てみる。分野別構成比は、
2008 年度の購入図書(図 11-b)および 2008 年度の全蔵書(図 12)と比較する。
図 10 横浜市が所蔵していない図書の分野別冊数(2008 年度購入図書)
図 11-a 横浜市が所蔵していない図書 図 11-b 購入図書全体 図 11 2008 年度購入図書の分野別構成比