5-1 オリンピック開催前(2018年)ネットワーク
オリンピック開催前ネットワークにて回遊可能時間を算出した.
以下にパターン別回遊可能時間空間分布を記載する.
図 5-1 パターン1 回遊可能時間空間頻度分布(2018)
30
図 5-2パターン2 回遊可能時間空間頻度分布(2018)
図 5-3パターン3 回遊可能時間空間頻度分布(2018)
31
図 5-5 東京ドーム 回遊可能時間空間頻度分布(2018) 図 5-4新国立競技場 回遊可能時間空間頻度分布(2018)
32
図 5-7 回遊可能時間 人口分布(2018) 0
500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500
人口 [ 千人 ]
回遊可能時間 (h)
オリンピック開催前 (2018 年 ) 人口分布
パターン1 パターン2 パターン3 新国立競技場 東京ドーム 上野
図 5-6 上野公園 回遊可能時間空間分布(2018)
33
パターン1における回遊可能時間空間分布では,臨海副都心を除くと,山手線の内側な らびにその外周付近において回遊可能時間が22800秒を上回っている.これは,パターン 1の流入・流出駅がどちらもゆりかもめ沿線であることに加え,ゆりかもめの始発駅であ る新橋駅が数多くの路線に接続していることが原因だと考えられる.
パターン1とは対象的に流入・流出駅がりんかい線沿線であるパターン2では,山手線 の内側すべてにおいて回遊可能時間が22800秒を上回ることはなく,りんかい線と直通運 転をおこなっている埼京線沿線において,山手線沿線よりも回遊可能時間が高い特徴が見ら れた.また,パターン1と比較すると,りんかい線の始発駅である新木場駅を通る京葉線 沿線においても回遊可能時間の向上がみられた.
パターン3では,パターン1同様に,流入・流出駅がゆりかもめ沿線に設定されてい る.そのため,回遊可能時間の分布にパターン1と傾向が似ている.しかしながら,パタ ーン1に比べ,流入・流出駅がどちらも臨海副都心西部に位置しているため,パターン1 よりもりんかい線沿線にて回遊可能時間の向上がみられた.
以上のことから,回遊可能時間が高い地域の空間分布は流入・流出駅の沿線が接続する 駅に深く関係していることが判明した.よって,広範囲における回遊可能時間を向上させ るためには,沿線に接続路線数の多い駅を通過する路線の利便性を向上させることで,よ り広域に回遊可能時間を向上させることができると考えられる.
次に,比較対象地域の回遊可能時間空間分布の分析を行う.
オリンピックの開会式が開催される新国立競技場では中央総武線沿線において,回遊可
能時間が26400秒を上回っている.また新宿から近いため,新宿から衛星都市へと伸びる
私鉄沿線においても回遊可能時間の高い地域が数多く発生している.
東京ドームの回遊可能時間空間分布は新国立競技場に比べ,回遊可能時間22800秒を上 回る地域が東側にも広がっている.これは,単純に回遊エリアが東へ移動したことに加 え,回遊エリアの接続路線数に影響していると考えられる.
上野公園の回遊可能時間分布は他の比較対象地域に比べ,回遊可能時間が26400秒を上 回る地域が北東へと移動している.これは,上野駅が首都圏北部へとつながる路線のター ミナル駅であることが原因だと考えられる.
臨海副都心地域と比較対象地域を比較により,回遊可能時間の高いメッシュ数は臨海副 都心地域よりも比較対象地域が高いことが判明した.
図 5-7にて回遊可能時間別人口分布図を作成した.人口分布からわかるように,比較対 象地域である都心にある施設と臨海副都心地域では回遊可能時間のピークに1時間ほど差 があることが見られた.
34
各,パターン別にアクセシビリティの算出を行った.表 5-1に結果を示す 表 5-1 オリンピック開催前(2018)アクセシビリティ
回遊可能時間空間分布での比較と同様に,臨海副都心地域は比較対象地域と比べあらゆ る指標においてアクセシビリティが劣っていることが判明した.
一般化最小コスト[円] 回遊可能時間[秒] 旅行時間[秒]
パターン1 287.5 53175.8 9818.7 17466.4 11333.6
パターン2 288.1 53510.2 9646.4 17584.0 11216.0
パターン3 289.5 53601.4 9811.2 17472.3 11327.7
新国立競技場 326.1 65607.2 9134.9 18248.3 10551.7
東京ドーム 331.5 66950.0 9196.6 18235.4 10564.6
上野 335.6 67822.2 9165.8 18259.3 10540.7
4時間以上回遊可能地域平均
他地域
2018 回遊可能人口4時間以上 [十万人]
延べ回遊可能時間 [千万人・秒]
臨海副都心 地域
35
5-2 オリンピック開催後(2020年)ネットワーク
オリンピック開催後ネットワークにて回遊可能時間を算出した.
以下にパターン別回遊可能時間空間分布を記載する.
図 5-8 パターン1 回遊可能時間空間分布(2020)
36
図 5-10 パターン3 回遊可能時間空間分布(2020) 図 5-9パターン2 回遊可能時間空間分布(2020)
37
図 5-12 東京ドーム 回遊可能時間分布(2020) 図 5-11新国立競技場 回遊可能時間分布(2020)
38 0
500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500
人口 [ 千人 ]
回遊可能時間 (h)
オリンピック終了後 (2020 年 ) 人口分布
パターン1 パターン2 パターン3 新国立競技場 東京ドーム 上野
図 5-14回遊可能時間 人口分布(2020) 図 5-13上野公園 回遊可能時間空間分布(2020)
39
表 5-2 オリンピック終了後(2020)アクセシビリティ
2020年のネットワークにおいて,パターンごとの特性は2018年ネットワークの特性と 比べ鉄道ネットワークによる変化が見られなかった.
しかしながら,ネットワークが変化したことにより,一部の地域において回遊可能時間の 変化をみることができた.2018年と2020年の比較を5章4節にて行う.
一般化最小コスト[円] 回遊可能時間[秒] 旅行時間[秒]
パターン1 287.5 53179.0 53179.3 9817.4 17468.1 11331.9
パターン2 288.0 53503.4 53509.5 9645.2 17585.0 11215.0
パターン3 289.5 53603.8 53604.1 9810.1 17473.8 11326.2
新国立競技場 326.1 65599.2 65605.1 9133.8 18248.9 10551.1
東京ドーム 331.5 66947.2 66947.2 9196.6 18235.3 10564.7
上野 335.6 67817.2 67817.2 9165.7 18258.9 10541.1
2020
臨海副都心 地域 他地域
4時間以上 回遊可能人口
[十万人]
延べ回遊可能時間 [千万人・秒]
延べ回遊可能時間 (2018) [千万人・秒]
4時間以上回遊可能地域平均
40
5-3 選手村開発後(2025年)ネットワーク
選手村再開発後ネットワークにて回遊可能時間を算出した.
以下にパターン別回遊可能時間空間分布を記載する.
図 5-15パターン1 回遊可能時間空間分布(2025)
41
図 5-17 パターン3 回遊可能時間空間分布(2025) 図 5-16パターン2 回遊可能時間空間分布(2025)
42
図 5-19東京ドーム 回遊可能時間分布(2025) 図 5-18新国立競技場 回遊可能時間分布(2025)
43
図 5-21回遊可能時間 人口分布(2025) 0
500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500
人口 [ 千人 ]
回遊可能時間 (h)
オリンピック終了後 (2025 年 ) 人口分布
パターン1 パターン2 パターン3 新国立競技場 東京ドーム 上野
図 5-20上野公園 回遊可能時間空間分布(2025)
44
表 5-3 選手村再開発後(2025)アクセシビリティ
2025年のネットワークにおいて,パターンごとの特性は2018年ネットワーク,2020年 ネットワークの特性と比べ鉄道ネットワークによる変化が見られなかった.
しかしながら,ネットワークが変化したことにより,一部の地域において回遊可能時間の 変化をみることができた.2020年と2025年の比較を5章5節,2018年と2025年の比 較を5章6節にて行う.
一般化最小コスト[円] 回遊可能時間[秒] 旅行時間[秒]
パターン1 287.8 53270.7 53221.3 9813.8 17473.1 11326.9
パターン2 288.0 53504.2 53510.2 9645.1 17585.1 11214.9
パターン3 289.5 53604.5 53604.5 9810.2 17473.8 11326.2
新国立競技場 326.1 65599.9 65605.7 9133.6 18249.3 10550.7
東京ドーム 331.5 66947.4 66947.4 9196.6 18235.3 10564.7
上野 335.6 67817.9 67817.9 9165.6 18259.1 10540.9
2025 延べ回遊可能時間(2018)
[千万人・秒]
4時間以上回遊可能地域平均
臨海副都心 地域
他地域
4時間以上 回遊可能人口
[十万人]
延べ回遊可能時間 [千万人・秒]
45 5-4 オリンピック開催前後整備効果
オリンピック開催前とオリンピック後の鉄道ネットワーク変化による回遊可能時間の変 化に着目した.メッシュごとの差分を以下に示す.
図 5-22 パターン1 回遊可能時間差分空間分布(2018-2020)
46
図 5-24パターン3 回遊可能時間差分空間分布(2018-2020) 図 5-23パターン2 回遊可能時間差分空間分布(2018-2020)
47
図 5-26東京ドーム 回遊可能時間差分空間分布(2018-2020) 図 5-25新国立競技場 回遊可能時間差分空間分布(2018-2020)
48
多くのパターンにおいて新路線,新駅の開業地域ならびに日比谷線沿線の回遊可能時間 が向上した.これは,BRTが日比谷線の新駅である虎ノ門ヒルズへと接続したためだと考 えられる.一方で,新路線ができたことにより,回遊可能時間が減少する現象が見られ た.これは,一般化コストによって最短経路探索を行ったために発生した現象である.一 般化コストによる最短経路探索では,旅行時間ではなく,一般化された時間,乗換抵抗,
運賃を用い利用されるルートを決定する.故に,旅行時間による最短経路探索と同じルー トが利用されるとは限らない.そのため,回遊可能時間が減少した地域は,新路線ができ たことにより,今までとは異なるルートを利用するようになった結果,旅行時間が増え,
回遊可能時間が減少したと考えられる.また,新駅の設置により新駅周辺メッシュの回遊 可能時間は増加するが,新駅を通過する出発地からは,停車時間が増加するため,旅行時 間が増大し,回遊可能時間が減少する.表 5-4にパターンごとの差分を示す.
図 5-27 上野公園 回遊可能時間差分空間分布(2018-2020)
49
表 5-4 オリンピック開催前後 アクセシビリティ差分
オリンピック終了後のネットワークでは,パターン1,3のみの延べ回遊可能時間が上昇 している.一方で,4時間以上回遊可能な地域の回遊可能時間平均では,約1.5秒の増加 のみにとどまっている.また,他の地域では延べ回遊可能時間が減少しており,新規路線 の開通のみではアクセシビリティの向上には効果が少ないと判明した.
一般化最小コスト[円] 回遊可能時間[秒] 旅行時間[秒]
パターン1 -226.4 3160.3 3485.4 -1.239 1.670 -1.670
パターン2 -4177.1 -6795.1 -785.8 -1.115 1.064 -1.064
パターン3 -226.4 2398.6 2724.3 -1.145 1.592 -1.592
新国立競技場 -4081.9 -7956.5 -2081.4 -1.078 0.625 -0.625
東京ドーム 0.0 -2842.0 -2842.0 0.001 -0.076 0.076
上野 0.0 -5021.6 -5021.6 -0.052 -0.389 0.389
臨海副都心 地域 他地域
整備効果(2018-2020) 回遊可能人口4時間以上 [十万人]
延べ回遊可能時間 [万人・秒]
延べ回遊可能時間 (2018)
[万人・秒]
4時間以上回遊可能地域平均
50 5-5 選手村開発前後整備効果
オリンピック後と選手村再開発後の鉄道ネットワーク変化による回遊可能時間の変化に 着目した.メッシュごとの差分を以下に示す.
図 5-28パターン1 回遊可能時間差分空間分布(2020-2025)