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出力電流制御適用時の DM 電磁障害発生様態

ドキュメント内 修 士 学 位 論 文 (ページ 35-40)

本章ではこれまでに,降圧チョッパ回路とCAN通信がそれぞれ独立して動作 するテストベンチにおいて時間領域解析を行った。しかし,実際のシステムにで は電力変換回路と通信ネットワークが連携して動作することが一般的であり,

電磁障害が発生した際には連携システム全体に問題が発生すると想定される。

図3. 15 出力電流制御を適用したDM電磁障害解析用テストベンチ

A/D

A/D D/A

Vin Cin D

Rload

L iout

S Magnetic coupling

RX62T

DACS-8200

Carrier

Photocoupler

CAN TX CAN RX PC

+17 V

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そこで本節では,これまでに開発した DM 電磁障害解析用テストベンチを,降 圧チョッパ回路の出力電流指令値をCAN通信で伝送するシステムに拡張し,検 証実験を行うことで実際に発生する問題を観測し考察を行う。これまでに示し た DM 電磁障害解析用テストベンチの降圧チョッパ回路は,一定のスイッチン グ周波数およびスイッチングデューティ比で駆動していた。本検証では,出力電 流制御を適用するために降圧チョッパ回路の構成を変更する。図3. 15に出力電 流制御を適用した DM 電磁障害解析用テストベンチの構成図を示す。出力電流 制御は電力変換回路の制御向け組み込みマイコン(RX62T,ルネサスエレクトロ ニクス株式会社)を用いて行い,出力電流の指令値はCAN送信ノードから送信 する。CAN送信ノードから受信ノードに伝送された出力電流指令値が,PCおよ びDAコンバータを介してアナログ値としてRX62Tに入力される仕組みである。

そのため,CAN通信に電磁障害が発生した場合,降圧チョッパ回路の出力電流 指令値が伝送されなくなり,出力電流に何らかの異常が発生すると想定される。

本研究で降圧チョッパ回路に適用する出力電流制御手法について,タイミン グチャートを図3. 16に示す。パルス幅変調の搬送波は三角波とし,周期毎に参 照値を更新することで所望の出力電流を得る。なお,参照値の更新には前スイッ チング周期で得た各パラメータを用いるシングルバッファ構成とする。また,PC およびDAコンバータを介して入力される出力電流指令値(AD1)および降圧チ ョッパ回路の出力電流値(AD2)は搬送波の山谷頂点で読み取りを行い,それに

基づいてRX62T内で比例ゲイン制御を行う。さらに,比例ゲイン制御で得た参

照値を用いてパルス幅変調することで次周期におけるパルス幅を決定する(図3.

17)。

以上に示した出力電流制御を降圧チョッパ回路に適用し動作の検証を行う。

検証条件は,出力電流制御における比例ゲインKを0.1および1.0に設定し,出 力電流指令値をステップ状に 0.8 A 増加させた場合の出力電流における過渡応 答を観測する。なお,比例ゲイン K の設計は主回路や制御器のパラメータから 行うことが可能であるが,本研究では簡素化を図るために実動作波形に基づい て設計を行う。

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図3. 18 (a)—(d)に出力電流における過渡応答波形の測定結果を示す。比例ゲイ

K が 0.1 の場合,指令値がステップ状に変化してから徐々に出力電流が変化 していることを確認できる。これは比例ゲインの大きさが比較的小さく,応答速 度が低速であるためである。一方で比例ゲインKが1.0の場合,指令値の変化に 対して高速に出力電流が変化しているが,その後減衰振動が発生しているため 不安定動作である。以上の検証結果から,以降の測定においては出力電流制御の 比例ゲインKを0.1に設定する。

図3. 16 出力電流制御のタイミングチャート

図3. 17 出力電流制御のフローチャート

Control level Carrier

Output signal AD1 AD2 Calculation

Single buffer

Initialization

AD start

Calculation

Apply PWM level Carrier top/bottom

PWM loop

yes

Reference value Carrier waveform

Gate signal AD1 trigger AD2 trigger Calculation trigger

- 31 - (a)

(b)

(c)

(d)

図3. 18 出力電流における過渡応答波形

(a) 指令値波形(K = 0.1) (b) K = 0.1の出力電流iout

(c) 指令値波形(K = 0.1) (d) K = 1.0の出力電流iout

6

0

Command value [V] -6

100 μs

2

Output current i [A]out 0

100 μs

3

Output current i [A]out 0

100 μs 6

0

Command value [V] -6

100 μs

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以上に示した出力電流制御を用いて,CAN通信に電磁障害が発生した際にど のような問題が発生するかを観測するために,三角波状の出力電流指令値を CAN通信により伝送し検証を行う。検証は,RX62Tに入力される出力電流指令

図3. 19 CAN通信に電磁障害が発生しない場合の出力電流

図3. 20 CAN通信に電磁障害が発生する場合の出力電流

5.0 s

Output current iout [A] 4.0 0.0 0.0 4.0

Order voltage IRef [V]Output current iout [A] 4.0

0.0 0.0 4.0

Order voltage IRef [V]

5.0 s

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値波形と降圧チョッパ回路の出力電流を測定することで行う。なお,三角波状の 出力電流指令値は三角波周期を約 10 秒,指令値レベルを 1000 段階とする。ま た,降圧チョッパ回路の動作条件は入力電圧100 Vである。図3. 19にCAN通 信に電磁障害が発生しない条件で出力電流を三角波状に制御した検証実験の結 果を示す。測定結果より,指令値と同様の継続的な三角波状の出力電流が得られ ている。なお,出力電流においてリプル振幅が変化するのは,出力電流に応じて スイッチングデューティ比が変化することに起因する。一方でCAN通信に電磁 障害が発生する場合,図3. 20に示すように出力電流指令値が断続的に変化して いることを確認できる。これはCAN通信に電磁障害が発生し,一部のデータフ レームが正常に指令値を伝送することができないためである。またそれに伴い,

降圧チョッパ回路の出力電流についても断続的に変化している。

以上の結果から,電力変換回路を制御する通信機器に電磁障害が発生した場 合,電力変換回路の出力電流・電圧において所望の値を得ることが不能になる可 能性が示された。このような問題が発生した場合,電力変換回路の用途によって は負荷の故障や誤動作を招く恐れがあり,電磁障害の対策が必要不可欠である。

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