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冷温負荷による健常者と強皮症患者の診断

Fig7-1(b) 測定プロトコル

<測定プロトコル>

① 指、装置カバーを外し、アクチュエータの電源を切った状態で測定装置のバイアス分 を測定

② 比較的長い(10sec)強加圧により生体組織のみの光吸収量を推定する。

③ 座位安静状態で血液流出-再還流測定を繰り返し行う(Control実験)。

④ 氷水に手を手首まで付けて1分間の冷温負荷を行う。

⑤ 冷温負荷解除後、短時間加圧シーケンスによる血液流出-再還流測定を繰り返し行う。

この際測定は10分~30分間皮膚温度が安定するまで行う。

<加圧シーケンス>

① 3.9sec の休憩を行い、その間に左手に装着したセンサによる脈拍測定を行い、心拍

同期を行うためのデータを取得する。

② 拍動 2 拍分の時間の強加圧を行う。この際、強加圧は脈拍測定においてヘモグロビ ン相当量がボトムの値を取る時刻から開始する。

③ 1回のシーケンス全体が10secとなるように弱加圧を行う。

Fig7-1(c) 冷温負荷

今回の被験者については、本人の了解を得て、群馬大学医学部との共同研究のもと実験 に協力頂いた強皮症患者5名の各1データ、健常者4名の各3データ計17データを用いて 評価を行う。

Fig7-1(d) 被験者データ

5-2.パラメータ推定

上記プロトコルで得られるヘモグロビン相当量及び酸素飽和度相当量波形の例を示す。

Fig5-2 測定Hb相当量波形及び酸素飽和度相当量波形

評価には、以下の3パラメータを用いる。

Qt0.05:強加圧開始0.05秒後のヘモグロビン相当量

末梢血管系の貯留血液量

ΔQp3:弱加圧開始後3心拍目の平均血液量から弱加圧開始時の血液量を引いた ヘモグロビン相当量

印加圧を弱めた際の血液再潅流量 ΔQp_ave:逆加圧開始2拍目以降の拍動振幅の平均値

上流側からの血液流入量

また、現在強皮症の診断材料の一つである皮膚温度を同時に測定した。

皮膚温度の測定部位は、加圧光センサの測定に用いる人差し指では測定できないため、

中指の第一関節付近とした。

5-3.冷温負荷実験結果

血液再還流測定による冷温負荷測定において 3 パラメータ及び皮膚温度がどのように 変化していくか、確認を行った。

5-3-1.皮膚温度

同時測定を行った皮膚温度の結果について示す。

Fig5-3-1(a) 皮膚温度結果波形

強皮症の初期段階での症状であるレイノー現象に関係する皮膚温度の回復時間を評価す るため、以下のようにパラメータを定義する。

Fig5-3-1(b) 皮膚温度評価パラメータTT

TT:冷温負荷直後の皮膚温度を0%、定常値を100%とし、50%の値を取るまでの時間 冷温負荷後の皮膚温度回復時間を示す。

このTTについて各被験者のデータをまとめたものを示す。

Fig5-3-1(c) TTの有意差評価

強皮症患者のTTの平均値は384.47[sec]、健常者のTTの平均値は198.27[sec]であり全体 としての傾向は見られるが、有意差は無いため皮膚温度の回復時間からは、健常者と強皮 症患者を区別できない。

5-3-2.Qt0.05(強加圧開始時のヘモグロビン相当量)

末梢血管の貯留血液量Qtの結果について示す。

Fig5-3-2(a) Qt0.05結果波形

control 測定の段階で強皮症患者と健常者の間の差異だけでなく、健常者間のヘモグロビ

ン相当量に差異が見られる。これは血管の大きさ等の個人差が表れていると考えられるた め、control測定時の値で正規化を行う。

control測定の値で正規化を行った結果を示す。

Fig5-3-2(b) control測定時の値で規格化したQt0.05結果波形

健常者の負荷解放後の応答は概ね全て 7 分程度の時間をかけて充血が解消され安静状態 に戻っていく応答であることがわかる。

この初期応答について、強皮症患者と健常者では一見して応答速度に差異が確認できる。

この応答速度を評価するため以下のようにパラメータを定義する。

Fig5-3-2(c) 貯留血液量評価パラメータτ0.05

τ0.05:冷温負荷直後のQt0.05を100%、最低値を0%とし、50%の値を取るまでの時間 冷温負荷後の末梢血管系の充血解消時間を示す。

このτ0.05について各被験者のデータをまとめたものを示す。

Fig5-3-2(d) τ0.05の有意差評価

上図において、健常2-②のデータについては算出が難しいため除外した。

強皮症患者群と健常者群において有意差検定を行ったところ、これらの間に有意差が 認められる。また、症状の度合いに応じて低い値を取る傾向が推察される。

このパラメータは末梢血管系の充血の解消時間を示すため、強皮症患者は末梢血管系の

5-3-3.ΔQp3(弱加圧3拍目の血液再潅流量)

印加圧を弱めた際の血液再潅流量ΔQp3の結果について示す。

Fig5-3-3(a) ΔQp3結果波形

強皮症患者と健常者ではcontrol測定時、負荷解放後共に全体的な量の差異が確認できる。

この差異を評価するために以下のようにパラメータを定義する。

Fig5-3-3(b) 貯留血液量評価パラメータΔQp3,c

ΔQp3,c:ΔQp3のcontrol測定の値

安静時における、拍動により送られてきた血液による貯留の戻りを示す。

このΔQp3,cについて各被験者のデータをまとめたものを示す。

Fig5-3-3(c) ΔQp3,cの有意差評価

強皮症患者群と健常者群において有意差検定を行ったところ、これらの間に有意差が 認められる。また、重度及び中度強皮症患者については弱加圧時にも血液が流出している。

軽度強皮症患者は極小の正の値、健常者は軽度強皮症患者に比べ非常に大きな値を取り、

5-3-4.ΔQp_ave(弱加圧時の拍動振幅平均値)

上流側からの血液流入量ΔQp_aveの結果について示す。

Fig5-3-4(a) ΔQp_ave結果波形

重度強皮症患者の2名については弱加圧での拍動振幅が測定精度以下の値であったため 0と推定した。

ΔQp_aveもΔQp3と同様にontrol測定時、負荷解放後共に全体的な量の差異が確認で きる。この差異を評価するために以下のようにパラメータを定義する。

Fig5-3-3(b) 貯留血液量評価パラメータΔQp,c

ΔQp,c:ΔQp_aveのcontrol測定の値

安静時における、末梢血管系への血液流入を示す。

このΔQp,cについて各被験者のデータをまとめたものを示す。

Fig5-3-3(c) ΔQp,cの有意差評価

強皮症患者群と健常者群において有意差検定を行ったところ、これらの間に有意差が 認められる。また、症状の度合いに応じて低い値を取る傾向が推察される。

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