図14は揚力による円柱の運動を表している. 縦軸は時間で0から35ま でを表している. 左のグラフから無回転, 回転数= 0.1, 回転数= 0.2, 回
転数= 0.3を表している. 円柱の位置は1を有次元量に戻すと 1cm であ
る. グラフの色は図13での円柱を動かすタイミングのポイントの色に対 応している. 円柱の位置= 0 付近にある4本のグラフが無回転, 右にい き回転数= 0.1, 回転数= 0.2, 回転数= 0.3を表している. 円柱の質量は 100とした. この数字に特に意味はなくそこそこ円柱が動くであろうと予 想した数値である. 有次元に直すと約99.7gである. 速く回転する円柱の 運動は, 円柱を動かし始めるタイミングにあまり依存しない. しかし無回 転や遅い回転の場合, 円柱を動かし始めるタイミングによって円柱の運動 は大きく異なることがある. また回転数= 0.1では10秒に対して約2cm 運動しているためそこそこ運動していることが分かる.
図 15: 円柱の運動(無回転)
図15は図14の無回転だけを抜き出してスケールを縮めたものである.
このように無回転は円柱を動かすタイミングによって円柱の運動は大き く異なる. また無回転の場合は揺れながら移動しているのが分かる. 水色 のポイントと橙色のポイントの初期流速の結果はほぼ対称に円柱は運動 している. 一方, 茶色と黒色はほぼ直線に揺れながら移動している.
図16は無回転での固定円柱と可動円柱を比較したものである. 赤色の グラフは固定円柱, 水色は可動円柱を表している. なお固定円柱は周期的 になった時である. 縦軸は時間, 横軸は揚力を表している. 2つのグラフ を見ると, ほぼ周期も振幅も変化がないことが分かる.
図17は回転数= 0.3での固定円柱と可動円柱を比較したものである. ピ
ンク色のグラフは固定円柱, 水色は可動円柱を表している. なお固定円柱 は周期的になった時である. 縦軸は時間, 横軸は揚力を表している. 2つ のグラフを見ると移動直後は無回転と同様,周期も振幅もさほど変わらな い. しかし時間経過につれ可動円柱のほうが周期が長く,振幅が小さくな る. このように無回転円柱と速く回転する円柱では固定円柱と可動円柱 を比べた結果は異なった.
図18は長時間計算した際の揚力をグラフにしたものである. 実時間で
図 16: 揚力の比較(無回転)
図 17: 揚力の比較(高速な回転の場合)
0
50
100
150
200
250
300
-0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6
図 18: 長時間計算した揚力
いうと約85秒である. 揚力の振動は長時間計算してもほぼ周期的に振動 しているのが分かる. また円柱の中心を固定した際の結果と同様,揚力の 平均はわずかに負になっている. これは誤差の影響と考えている.
図19は長時間計算した際の円柱の運動をグラフにしたものである. 実時 間でいうと約400秒である. 初めは正の方向に運動している. これは円柱 を動かすタイミングを水色のポイントでの初期分布にしているからであ る. しかし時間経過につれ負の方向に運動している. これは揚力の平均が 負にあるためである. またグラフでは分かりにくいが振動しながら運動 している. この結果から長時間計算してもそこそこな結果が得られるこ とが分かった. 人工境界の側壁部では新しい頂点や中点が現在の有限要素 メッシュを飛び出した場合には,移動前の頂点や中点における値をそのま ま使うこととした. この方法はあまり小細工はしていない. しかし長時間 計算できるという結果が得られた.
図20は長時間計算した際の円柱の速度をグラフにしたものである. 実 時間でいうと約400秒である. 初めは円柱の運動と同様,正の位置で振動 しているが,時間経過につれ負の位置で振動し始める. ある程度たつと終 端速度にたどり着く.
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
-4 -3.5 -3 -2.5 -2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5
図 19: 長時間計算した円柱の運動
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
-0.01 -0.008 -0.006 -0.004 -0.002 0 0.002 0.004 0.006 0.008
図 20: 長時間計算した円柱の速度
0
20
40
60
80
100
-40 -35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 5
図 21: 円柱の運動(回転数 = 1.0まで計算)
図21は回転数 = 1.0まで計算した円柱の運動である. 左のグラフから
無回転, 回転数 = 0.2, 回転数 = 0.4, 回転数 = 0.6, 回転数= 0.8, 回転数
= 1.0となっている. このように円柱の回転数を多くするにつれ連続的に
大きく曲がっている. しかし固定した際と同様,回転数 = 1.0などは流入 速度に比べ非常に回転速度が速いため信頼性はない.
図22は回転数= 1.0まで計算した揚力である. 左のグラフから無回転,
回転数= 0.2,回転数= 0.4,回転数 = 0.6,回転数 = 0.8,回転数 = 1.0と なっている. このように円柱の回転数を多くするにつれ揚力の平均は連続 的に大きくなっている. 遅い回転では振動するが, 速い回転では振動はし
ない. 回転数= 0.6は不規則な振動になっている. これは長時間計算して
も周期的になることはなかった. この結果については回転数が速すぎてこ のような現象が起きたのか分からない.
図23は回転数 = 1.0まで計算した円柱の速度である. 左のグラフから
無回転, 回転数 = 0.2, 回転数 = 0.4, 回転数 = 0.6, 回転数= 0.8, 回転数
= 1.0となっている. このように円柱の回転数を多くするにつれ連続的に
大きくなっている. 遅い回転では振動するが,速い回転では振動はしない.
回転数 = 0.6は揚力が不規則な振動なので円柱の速度も不規則になって
0
20
40
60
80
100
-4 -3
-2 -1
0 1
図 22: 揚力(回転数= 1.0まで計算)
0
20
40
60
80
100
-0.4 -0.35 -0.3 -0.25 -0.2 -0.15 -0.1 -0.05 0 0.05
図 23: 円柱の速度(回転数 = 1.0まで計算)
いる. どの回転数も終端速度になっているのが分かる.
9 質量のパラメータを変えた揚力による円柱の運 動の数値計算
これまではm = 100と固定して計算をしてきた. 本章では円柱の質量 を軽くすると円柱はどのような運動をするか検証した.
0
5
10
15
20
-0.05 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3
図 24: 質量の異なる無回転での円柱の運動の比較
図24は質量の異なる無回転での円柱の運動の比較を表している. 赤色は m= 100実際の重さでは99.7g,黄緑色はm= 50実際の重さでは49.85g, 青色はm = 10実際の重さでは9.97g, ピンク色はm = 1実際の重さでは 0.997gである. m = 100,m = 50を比べるとm = 50の方が軽い分大きく 運動し振動も同じくらいである. m = 10ではm= 100に比べると大きく 運動しているが振動も大きくなっている. m= 10ではさらに大きく運動 しているが振動も大きくなっている. この計算は正しい計算であるとは言 い難い. 原因は分からないが質量が軽すぎて計算に影響がでているのだ と考えている.
図25は質量の異なる回転数 = 0.1 での円柱の運動の比較を表している.
0
20
40
60
80
100
-14 -12 -10 -8 -6 -4 -2 0
図 25: 質量の異なる回転数 = 0.1 での円柱の運動の比較
赤色はm = 100, 黄緑色はm= 50, 青色はm = 10, ピンク色はm = 1で ある. m = 1を除けば円柱を軽くするにつれ連続的に大きく運動してい る. m= 1はt= 100の時点でほぼm= 100と同じ位置にいる. この結果 は揚力の平均が他に比べると高いことが原因だと考えており,揚力の奇妙 な振動は直接影響はしていない.
図26は質量の異なる回転数= 0.3での円柱の運動の比較を表している.
赤色はm = 100, 黄緑色はm= 50, 青色はm = 10, ピンク色はm = 1で ある. 円柱を軽くするにつれ連続的に大きく運動している. 遅い回転数に 比べると最もらしい結果だがm = 1はm = 10のグラフとさほど変わら ないため正しい計算とは言い難い.
図27は質量の異なる無回転での揚力の比較を表している. 赤色はm= 100, 黄緑色はm= 50, 青色はm = 10, ピンク色はm= 1である. m= 1 を除けば, 円柱の質量を軽くするにつれ揚力の振幅は大きくなっており, また周期も短くなっている. m= 1は周期的な軌道ではあるが, 奇妙な振 動である. この振動が本当に正しい計算で無回転ボールの予測不可能な 動きを示唆する結果と捉えるか,または正しい計算ではないのかは分から
0
20
40
60
80
100
-25 -20 -15 -10 -5 0
図 26: 質量の異なる回転数 = 0.3 での円柱の運動の比較
0
5
10
15
20
-0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8
図 27: 質量の異なる無回転での揚力の比較
ない.
0
5
10
15
20
25
30
35
40
-1.2 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4
図 28: 質量の異なる回転数 = 0.1での揚力の比較
図28は質量の異なる回転数= 0.1での円柱の運動の比較を表している.
赤色はm = 100, 黄緑色はm= 50, 青色はm = 10, ピンク色はm = 1で ある. m= 1を除けばほぼ同じ軌道である. m = 1は無回転の場合と比べ ても周期的ではあるがまた違う軌道が現れた. また揚力の平均も質量の 重い円柱に比べると高くなっている.
図29は質量の異なる回転数 = 0.3 での円柱の運動の比較を表している.
赤色はm = 100, 黄緑色はm = 50, 青色はm = 10, ピンク色はm = 1
である. 無回転, 回転数 = 0.1と比べるとm = 1は奇妙な振動はせず,
m= 100と同じような軌道である. 振幅はm = 10が最も大きい. また長
時間計算しても同様な結果が得られた.
図30は質量の異なる無回転での円柱の速度の比較を表している. 赤色 はm= 100,黄緑色はm= 50, 青色はm = 10,ピンク色はm= 1である.
振動は円柱の質量を軽くするにつれ大きくなっており,周期は短くなって いる.
図31は質量の異なる回転数= 0.1での円柱の速度の比較を表している.
0
20
40
60
80
100
-2 -1.8 -1.6 -1.4 -1.2 -1 -0.8 -0.6
図 29: 質量の異なる回転数 = 0.3での揚力の比較
0
5
10
15
20
-0.15 -0.1 -0.05 0
0.05 0.1 0.15
図 30: 質量の異なる無回転での円柱の速度の比較