A. 準備〜方程式への代入
たとえば,円C: (x−2)2+(y−b)2=5が(3, 2)を通るならば,(x−2)2+(y−b)2 =5に(x, y)=(3, 2) を代入した等式は成り立つ,つまり
(3−2)2+(2−b)2=5 ⇔1+4−4b+b2=5
⇔b2−4b=0 ⇔ b(b−4)=0
【例題47】円C : (x−a)2+(y−3)2=13が(5, 5)を通るとき,aの値を答えよ.
【解答】 (x−a)2+(y−3)2=13に(x, y)=(5, 5)を代入して (5−a)2+(5−3)2=13 ⇔25−10a+a2+4=13
⇔a2−10a+16=0 ⇔ (a−2)(a−8)=0 これを解いてa =2, 8である.
B. 与えられた3点を通る円の方程式
どんな三角形も,外接円はただ1つに定まった.これは,(同一直線上にない)3点 を通る円周がただ1つに定まることを意味する.
【暗 記 48:円の方程式〜その2〜】
3点A(3, 0),B(0,−2),C(−2, 1)を通る円Kの方程式について, に適する式・数値を入れよ.
1. Kの方程式をx2+y2+lx+my+n=0とおく.ここで以下が成立する.
Aを通るから方程式 ア ,Bを通るから方程式 イ ,Cを通るから方程式 ウ 3式を連立して(l, m, n)=(
エ , オ , カ )
と解けて,Kの方程式 キ を得る.
2. Kの中心をO(p, q)とする.ここで
OA=OBからp, qの方程式 ク が,OA=OCからp, qの方程式 ケ が成り立つ.
2つの式を連立して解けば(p, q)=(
コ , サ )
である.
つまり,OA2= シ であるのでKの方程式は ス と分かる.
【解答】
1. A(3, 0)を代入し32+0+3l+0+n=0 ⇔3l+n=−9(ア)
B(0,−2)を代入し0+(−2)2+0−2m+n=0 ⇔−2m+n=−4(イ)
C(−2,−1)を代入し(−2)2+12−2l+m+n=0⇔−2l+m+n=−5(ウ)
◀
3l +n=−9· · · ·⃝1
−2m+n=−4· · · ·⃝2
−2l+ m+n=−5· · · ·⃝3
⃝2 +2×⃝3 より
−2m + n = − 4 +) −4l +2m +2n = −10
−4l +3n = −14· · ·⃝2′ 3×⃝1 −⃝2′ より13l =−13と なってl=−1.⃝,2 ⃝から1 m,n を求めればよい
エ:−1,オ:−1,カ:−6,キ:x2+y2−x−y−6=0 2. ク: OA=OB⇔ √
(p−3)2+q2 = √
p2+(q+2)2
(⇔ (p−3)2+q2 = p2+(q+2)2 ⇔ 5 =6p+4q) ケ: OA=OC⇔ √
(p−3)2+q2 = √
(p+2)2+(q−1)2
(⇔ (p−3)2+q2 =(p+2)2+(q−1)2 ⇔ 2=5p−q) ◀両辺2乗してp2,q2を消去し,
両辺整頓した ク,ケを整理して,連立方程式
6p+4q=5
5p−q=2 を得る.これを解い て
(コ)
1 2,
(サ)
1 2
を得る.よって,O (1
2, 1 2 )
,A(3, 0)であるから,
OA2 = ( (1
2 −3 )2
+ (1
2 −0 )2
=
(シ)
13
2 であるので,K の方程式は ◀『2点間の距離』(p.84)
(ス)
( x− 1
2 )2
+ (
y− 1 2
)2
= 13
2 となる.
111
【練習49:円の方程式〜その2〜】
A(3,1),B(4,−4),C(−1,−5)とする.△ABCの外接円の中心と半径を求めよ.
【解答】 △ABCの外接円は3点A,B,Cを通る円に一致する.その方程 式をx2+y2+lx+my+n=0とおく.
Aを通ることから 32+12+l·3+m·1+n=0 Bを通ることから 42+(−4)2+l·4+m·(−4)+n=0 Cを通ることから (−1)2+(−5)2+l·(−1)+m·(−5)+n=0
である.これらを整頓して,連立方程式を得る. ◀⃝1 −⃝,2 ⃝2 −⃝3 から得られた 2式を連立して(l,m)=(−2,4).
⃝から1 n=−8
3l+ m+n=−10 · · · ·⃝1 4l−4m+n=−32 · · · ·⃝2
−l−5m+n=−26 · · · ·⃝3
これを解いて(l, m, n)=(−2, 4,−8).よって,△ABCの外接円の方程式は x2+y2−2x+4y−8=0
⇔ (x−1)2+(y+2)2=13 ◀中心と半径を求めるため平方完成 型に変形
となり,△ABCの外接円の中心は(1,−2),半径は √
13である.
【(2)の別解(略解)】 ◀(1)も同じようにして解くことが 外接円の中心をO(x, y)とすると,OA=OB=OCであるので できる
√
(x−3)2+(y−1)2=
√
(x−4)2+(y+4)2
√
(x−3)2+(y−1)2=
√
(x+1)2+(y+5)2 これを解いて,中心は(x, y)=(1,−2),
外接円の半径はOA= √
(3−1)2+{1−(−2)}2= √ 13.
C. 円を図形的に考える
円が通る3点が与えられた場合も,図を描けば簡単に分かる場合がある.
【練習50:図形的に考える〜その1〜】
3点A(2, 2),B(−4, 2),C(−4, 4)を通る円Kについて考えてみよう.
右に3点を図示すれば,Kの中心RはABの垂直二等分線上にある
x y
O からRの ア 座標は イ ,Kの中心RはBCの垂直二等分線上に
あるからRの ウ 座標は エ と分かる.
よって,Rの座標は オ であり,Kの半径はRA= カ なので,K の方程式は キ と求められる.
【解答】 ア:x,イ:−1,ウ:y,エ:3,オ:(−1, 3) カ: √
10,キ:(x+1)2+(y−3)2 =10 ◀Kの半径はRBやRCで求めて
もよい.
D. 中心や半径の条件が与えられた円の方程式
中心や半径の条件が与えられた場合は,平方完成形(x−a)2+(y−b)2=r2を用いて考えよう.
【例題51】以下の に i. (2, b),ii. (a, 2),iii. (a, b),iv. (a, a) のうち最も適するものを答え,
それぞれの問いに答えなさい.
1. 中心が直線x=2上にある円C1の中心は ア とおくことができる.さらに,C1がA(3, 2),B(0,3) を通るとき,円C1の方程式を求めよ.
2. 中心が直線y = x上にある円 C2 の中心は イ とおくことができる.さらに,C2 がP(1, 3), Q(−2, 1)を通るとき,円C2の方程式を求めよ.
3. y座標が正の側でx軸に接し,円の半径が2であるC3の中心は,ウ とおくことができる.さら に,C3がT(2, 1)を通るとき,円C3の方程式を求めよ.
【解答】
1. C1の中心のx座標は2になるからi.(ア)である.これによって,
求める円の方程式は(x−2)2+(y−b)2=r2とおくことができる.
Aを通ることから (3−2)2+(2−b)2=r2 Bを通ることから (0−2)2+(3−b)2=r2
⇐⇒
{ b2−4b+5=r2 · · · ·⃝1 b2−6b+13=r2 · · · ·⃝2
⃝1 −⃝2 から2b−8 = 0なのでb = 4 である.これを⃝2に代入して
◀整頓して,連立した
⃝の1 r2に⃝を代入すると考えて2
もよい
r2=5となるので,求める円の方程式は(x−2)2+(y−4)2 =5. 2. C2の中心は,x座標とy座標が等しいからiv.(イ)
求める円の方程式は(x−a)2+(y−a)2=r2とおくことができる. ◀中心は直線y=x上にあるので,
中心のx座標をaとおくと,y座 標もaになる
Aを通ることから (1−a)2+(3−a)2=r2 Bを通ることから (−2−a)2+(1−a)2=r2
⇐⇒
{ 2a2−8a+10=r2 · · · ·⃝3 2a2+2a+5=r2 · · · ·⃝4
⃝3 −⃝4 から−10a+5=0なのでa= 1
2.これを⃝4に代入してr2= 13 2 となるので,求める円の方程式は(
x− 1 2
)2
+ (
y− 1 2
)2
= 13
2 .C3の 中心は右欄外のようになり,中心のy座標は2と定まるからii.(ウ),求 ◀ 2
C3
x y
O める円の方程式は(x−a)2+(y−2)2=22とおくことができる.
Tを通ることから (2−a)2+(1−2)2 =22である.
これを整理して解けば,a2−4a+1=0 ⇔ a=2±√
3なので,求め る円の方程式は,{
x−(2± √ 3)}2
+(y−2)2 =4. ◀{x−(2+√ 3)}2
+(y−2)2=4 {x−(2−√
3)}2
+(y−2)2=4
113
【練習52:円の方程式〜その1〜】
(1) 中心が直線y=2上にあり,(3, 5), (2,−2)を通る円の方程式を求めよ.
(2) 中心が直線y=−x上にあり,(4,−1), (−3, 0)を通る円の方程式を求めよ.
(3) (−3, 5)を通り,x座標が負の側でy軸に接する半径が2の円の方程式を求めよ.
【解答】
(1) 求める円の方程式は(x−a)2+(y−2)2=r2とおくことができる.
Aを通ることから (3−a)2+(5−2)2=r2 Bを通ることから (2−a)2+(−2−2)2=r2
⇐⇒
{ a2−6a+18=r2 · · · ·⃝1 a2−4a+20=r2 · · · ·⃝2
⃝1 −⃝2 から−2a−2=0なのでa=−1である.これを⃝2に代入すれ ばr2 =25なので,求める円の方程式は(x+1)2+(y−2)2 =25.
(2) 求める円の方程式は(x−a)2+(y+a)2=r2とおくことができる. ◀中心は直線y=−x上にあるので,
中心のx座標をaとおくと,y座 標は−aになる
Aを通ることから (4−a)2+(−1+a)2=r2 Bを通ることから (−3−a)2+(0+a)2=r2
⇐⇒
{ 2a2−10a+17=r2 · · · ·⃝3 2a2+6a+9=r2 · · · ·⃝4
⃝4 −⃝3 から16a−8=0なのでa= 1
2 これを⃝3に代入すればr2= 25 2 であるので,求める円の方程式は(
x− 1 2
)2 +
( y+ 1
2 )2
= 25 2 .
(3) 右欄外の図から,中心のx座標が−2とわかるので,求める方程式を ◀
−2 x y
O
(x+2)2+(y−b)2=22とおくことができる.これが(−3, 5)を通るので (−3+2)2+(5−b)2=22⇔ 1+25−10b+b2=4
⇔ b2−10b+22=0 ∴ r=5±√ 3 なので,求める円の方程式は(x+2)2+{
y−(5± √ 3)}2
=4
【発 展 53:円の方程式〜その2〜】
1 中心が直線y=−2x+1上にあり,(4, 2), (−6,−2)を通る円の方程式を求めよ.
2 中心が直線3x−y−4=0上にあり,x軸,y軸の両方に接する円の方程式を求めよ.
【練習54:円を図形的に考える〜その2〜】
「円C: (x−a)2+(y−3)2=13がA(5,5)を通る」場合について考えてみよう.
A
5
5 A
3
(I)中心は破線上のどこかにある x y
O
⇒
P
5
5 A
3
(II)Aを通る円はこのどちらか x y
O
⇒
P H
5
5 A
3
(III)三平方の定理を用いて
x y
O
まず,円Cの中心は(a, 3)なので,図(I)の破線上のどこかにCの中心はある.
Aのy座標が5なのでAH= ア であり,Cの半径を考えてAP= イ なので,(III)の直角三角形 APHを考えて,PH= ウ と分かる.
ここから,Cの中心の座標は エ ,オ のいずれかと分かる.
【解答】 ア:2,イ: √
13,ウ: PH= √
AP2−AH2=3,
エ,オ:(2, 3), (8, 3) ◀【確認47】の結果と一致している