30政治解決関西訴訟最
1. 典型的有機水銀中毒解剖例では末梢神経障害は認められ ていない
*ハンター・ラッセルの症例(有機水銀製造工場労働者のその 後の死亡例)
*ニューメキシコの症例(有機水銀に汚染された豚を食べて中 毒になり死亡した例)
2.サルなど霊長類の動物実験でも末梢神経障害説を確認でき ない
*ショウらの病理学総説
*米国議会報告
3.慢性水俣病剖検例での後根神経障害所見は対照群との比較 検討が不十分
*生前の栄養代謝障害や癌などの影響が考慮されていない
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水俣病痛覚閾値胸骨上 対照群痛覚閾値胸骨上
定量痛覚計針負荷重量(g) 定量痛覚計針負荷重量(g)
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二 点 識 別 覚 閾 値 の 散 布 図 ( 舌 先 )
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
20 30 40 50 60 70 80 90
年齢(歳)
識別閾値(mm)
水俣群 対照群
二点識別覚閾値(ノギス計測)
関西水俣病知覚検診(1997)水俣病群:38人、対照群:68人
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関西訴訟大阪高裁判決要旨 ( 2001 年 4 月)
・ 水俣病の診断;汚染された魚介類を大量に食べ、「舌先や 指先に二点識別覚に異常がある。」「家族に認定患者がい て四肢末端に感覚障害がある。」「求心性視野狭窄がある」
などのどれかに当てはまれば有機水銀中毒症と判断。
原告患者58名中51名をメチル水銀中毒症とし被告に賠 償を命じ、7名は 棄却。
請求総額約19億円に対し、判決では約3億2000万円。
1人当たり請求3300万円に対し、450万円~850万円。
• 工場廃水に関して国・県の責任
• 魚介類の捕獲・販売の禁止に関して国・県の責任
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感覚障害に関する最高裁判断(2004.10.14)
• 最高裁判決は、大阪高裁判断は矛盾はないと判断。
①中枢性複合感覚を探る二点識別法を採用し、居住歴や家族の病歴 など一定条件を満たせば「感覚障害だけの水俣病もある」と認定。
②感覚障害の要因は、原告側主張の「大脳皮質の損傷による中枢説」
を肯定し、「中枢と末梢の両方の損傷による」との国の主張を退け
た。
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裁判における医学・医師が果たしてきた役割
• 大阪地裁(第一審)、その後 の大阪高裁、最高裁での国 側証人・医師の役割:
機械論的な病像を展開=
左右対称、症状が変化する ことはない。
感覚障害は末梢性。運動失 調は小脳性。
神経内科の専門医でなけれ ば判断できない。
病理所見があれば、臨床症 状は必ずある。病理学は絶 対的に有意。
• あたりまえの医学=徹底した 現場主義
*問診・生活・環境・労働の聞 取りの重要性。*診察・所見を ありのまま。
*非汚染地域の住民調査と の比較
*健康の隔たりから「真の病 像」を捉える
• 裁判と医学;医学論争はどこま で必要か
• 裁判における医学の科学性;
「権威」と実地・現場の医療の 対置=医師(科学者)の中立
性とは。 50
第9回水俣病事件研究交流集会 谷洋一氏報告から
水俣病患者さんの苦しみ・損害
・現場主義
これを知るためには、患者さんの生活から問題をとらえていく姿勢と行 動が必要。研究室や机の前での数字・統計では表わせない。
・専門家と言えども、狭い領域での深い知識をもつことと、高い人間性を もつことと同一ではない。患者の生活の中から病気・病態をみていく
・医学の中立性:加害者と患者・被害者のあいだでは、徹底して患者・
被害者によりそうことこそ中立といえる。
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水俣病の公式確認から、60年
遠い解決 関西訴訟元原告51人、司法救済後の認定1割
毎日新聞2016年5月2日 大阪朝刊
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2004年に最高裁で確定した「水俣病関西訴訟」で、水銀中 毒の症状が認められた元原告51人のうち、行政に水俣病と 認定されたのは6人にとどまる。
司法と行政の「二重基準」
その後、水俣病として行政認定を受けたのは51人中6人で うち2人は死後に認定。
残りの40人の多くは再申請を断念した。
少なくとも28人が亡くなっている。
認定基準についての訴訟が続いた
(感覚障害のみの水俣病に関して)
溝口訴訟 ・Fさん訴訟(関西元原告)
最高裁(寺田逸郎裁判長)
2013年4月16日小法廷は「感覚障害だけの水俣病が存在しない科学的な実証 はない」と指摘。その上で「症状の組み合わせがない場合でも、
個別具体的な判断で水俣病と認定できる余地がある」
「77年基準が定める症状の組み合わせが認められない場合で も、経験則に照らして諸般の事情と関係証拠を総合的に検討し て、水俣病と認定する余地を排除するものとはいえない」。
敗訴とした2審・大阪高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻 した。
その後、熊本県は、控訴取り下げし、水俣病行政認定が確定。
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新指針は、感覚障害だけで水俣病かどうかを判断する時は、原因物質である有 機水銀に汚染された魚介類を多食した時期や、食生活の内容、魚介類の入手 方法を確認し、
①有機水銀の体内濃度
②水俣病発生地域での居住歴
③家族歴
④職業歴を検討し、
有機水銀にどの程度汚染されているかを確認するよう求めた。
「できるだけ客観的資料により裏付ける必要がある」とした。同時に、「発症まで の期間はメチル水銀の摂取から通常1カ月前後、長くとも1年程度であると考え られる」ことなどに留意するよう求めた。(91年の中央公害対策審議会答申)
最高裁判決を受けて、環境省、水俣病認定審査基準の新運用
指針を通知
2014年3月7日これまでは有機水銀にどの程度汚染されているかは問題にされてこなかった水 銀の摂取証明のハードルを上げ、基準を厳しくする方向で変わっていく。認定 基準を改定するのではなく、一層の切り捨てにつながる恐れが大きい。
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◆不知火海沿岸の広範な汚染の広がりと被害の実態は未解明。
◆行政の疫学・健康調査がなされていない。
◆慢性・遅発性水俣病の存在。隠された被害者の存在。
◆二度の最高裁判決(司法認定)と行政認定の二重基準の存在。
水俣病の概念がいくつも存在する矛盾。
◆国の責任を曖昧にした「救済」は、被害の隠蔽、補償の切り下げ、
少額の救済である。
◆長期微量汚染と高齢化にともなう、遅発性水俣病の発症により、
隠されてきた被害者が、さらに増加する可能性がある。昭和20年か ら30年代に小児・思春期を過ごした人たちへの影響が顕在化。
今後も存在する多くの課題
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2010
年、国の基準では水 俣病と認定されない被害 者の新たな救済方針を 閣議決定。1人あたり21 0万円の一時金などを支 給する。水俣病の公式確 認から54年となる5月1 日から申請受付。政府に よる水俣病問題の「政治 決着」は1995年に続き 2度目で、申請者は3万 人以上になる?被害の 全体像はわかっておらず、今回ですべての被害者 が救済されるかは、なお 不透明。
救済策は、2009年7月 に成立した水俣病被害 者救済法に基づく一時金 のほか、月額1万2900
~1万7700円の療養手 当や医療費を支給。
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裁判所 原告数 被告 争点・経過
福岡高裁 8名 チッソ、熊本県・国 胎児性・小児期世代・地裁で は3名のみ賠償認定
東京高裁 10名 昭和電工・国・新潟県 未認定患者への補償。地裁 判決行政責任否定
熊本 熊本地裁 1312名 チッソ、熊本県・国 東京 東京地裁 67名 チッソ、熊本県・国 大阪 大阪地裁 122名 チッソ、熊本県・国 新潟 新潟地裁 103名 昭和電工・国
大阪高裁 2名 チッソ
元関西訴訟原告。公健法認 定を勝ち取るが、チッソが補 償協定調印拒否
東京地裁 1名 国・熊本県・チッソ 特措法で一時金みとめられ ず。手帳返上し。補償請求
東京高裁 9名 新潟市 三次訴訟原告で市審査会で
棄却され、義務付け訴訟
熊本地裁 7名 互助会国賠訴訟原告が被告
知事へ義務付け訴訟
●行政訴訟(棄却取り消し、認定の義務付けを求める訴訟)
新潟行政認定訴訟
互助会・第二世代行政認定訴訟 係争中の水俣病訴訟
互助会・第二世代訴訟
ノー モア 第二 次訴 訟
原告は特措法で非該当や地 域・年齢で除外、和解したが 新たに訴訟に持ち込んだ 訴訟名
新潟三次訴訟
地位確認訴訟
特措法一時金請求訴訟
●国家賠償訴訟/民事訴訟(水俣病被害の賠償を求める訴訟)
今なお多数の訴訟が続いている
(季刊水俣支援東京ニュースNo.84
から改変)57
第9回水俣病事件研究交流集会 花田氏報告から