応用力学は、現在社会の喫緊の課題である「地球環境問題」と「エネルギー問題」の解決策を提示す ることが可能な研究分野である。この課題解決に対して、国内外の「地球環境問題」と「エネルギー問 題」に関係した研究グループと共同利用・共同研究を推進することにより、当該研究分野の学術的な発 展と社会への還元が可能となる。これらの社会・学界の要請する応用力学に関する研究課題に対して、
力学の学理を応用した共同利用・共同研究により、当該研究領域の学術的な進展と成果を社会に還元す ることにある。特に、応用力学共同研究拠点として世界的に高い水準の研究成果をあげるとともに、現 在人類社会にとって重要な課題となっている「地球環境問題」と「エネルギー問題」に関し、応用力学 を機軸とした世界的に先端的な研究活動を展開し、推進することを目的とする。
応用力学研究所は、1997 年4月に全国共同利用研究所になり、2010 年 4 月から応用力学共同研究拠 点に認められた。それに伴い、応用力学共同研究拠点運営委員会、応用力学共同研究拠点共同利用・共 同研究委員会、同専門部会(新エネルギー力学専門部会、地球環境力学専門部会、核融合力学専門部会 の3部会)が組織され、また、それぞれの会の組織と運営に関して必要な事項を定めた運営委員会規 定、共同利用・共同研究委員会規程、同専門部会要綱(第 6 章 1 節 3 項に記載)が制定された。
中目次
三分野の共同研究関係図 ... 88
-第1項新エネルギー分野... 88
-第2項地球環境力学部門... 89
-第3項核融合力学分野... 89 共同利用・共同研究 ... 91
-第1項当該年度における実施状況 ... 92
共同利用・共同研究課題数の推移 ... 92
研究集会件数推移 ... 92
成果報告業績推移 ... 93 -第2項
共同利用・共同研究課題の概要 ... 94 国際・国内共同研究 ... 98
研究者の海外派遣 ... 99
外国研究機関研究者の招聘 ... 100
滞在者 ... 101
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三分野の共同研究関係図
第1項 新エネルギー分野
新エネルギー力学分野では、本格的な多目的洋上浮体の研究開発を進め、九大、阪大、広島大、大手
造船会社3社、マリンゼネコン、大手設計会社、いくつかの地方都市の産学官連携研究を H25 年度来進
めている。ワーキンググループを通して、将来の洋上風力(太陽光、潮流の同時発電も含む)の浮体お
よび風車コンセプト、設計、候補地選定を進めている。2014 年度から NEDO 支援の潮流発電のプロジェ
クトも加わっている。
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第2項 地球環境力学部門
地球環境力学部門では、東アジア縁辺海における海洋環境に関する国際的な共通理解を形成する目的 で、韓国海洋研究所(KIOST)、国立台湾海洋大学、台湾海洋研究所、中国海洋大学などと、日中韓台の 共同研究体制を構築し、東シナ海とその周辺部の共同観測、国際研究集会の共同開催、お互いの観測計 画の調整とデータのシェアなど、様々な取り組みを行っている。大気環境研究では、学内に先導的学術 研究拠点「大気環境統合センター」を設置して、アジア域のエアロゾル汚染の動態観測とモデル研究 を、中国科学院大気物理研究所とも協力して進めている。
雲とエアロゾルの衛星解析研究では、NASA、JPL、コロラド州立大学、JAXA、気象庁、東京大学、名 古屋大学、東北大学等各研究機関に全球解析データを提供し、雲エアロゾルのモデルの検証と改良を行 っている。また JAXA と ESA の初の雲エアロゾル放射共同衛星ミッションである Earth CARE 計画を、日 米欧国際協力体制で推進している。
第3項 核融合力学分野
核融合力学部門では、理論・シミュレーション・実験研究の有機的な統合のため、乱流プラズマドッ クと数値直線プラズマを構築した。国際 H-mode ワークショップの共催等、国際的情報発信を進めた。
ヨーロッパ物理学会での新進気鋭の若者に伊藤賞授与(2016 年度で 12 回目となる)、等国際交流、学 生トレーニングにも継続して取り組んでいる。フランス CNRS・プロヴァンス大学(現在アクス・マルセ イユ大学)・大阪大学・核融合科学研究所と共同し、日仏国際連携研究所 LIA336 を設置し、共同所長 として運営(共同所長伊藤早苗及び S. Benkadda)し、国際拠点としての成果を上げている。主幹教授セ ンターから発展した学共センター「伊藤極限プラズマ研究連携センター」を九大内に設置し、学内外・
国内外のプラズマ乱流物理学、プラズマ応用科学、実験研究、プラズマ医学や新規物質創成、関連数理 科学研究者とともに連携研究を進めている。この活動は、我が国の関連研究を主導した学術の大型プロ ジェクト「非平衡極限プラズマ全国共同連携ネットワーク研究計画」として高い評価を得、文科省ロー ドマップ 2014 の全国 11 件に選ばれている。更に、UCSD, Max-Planck-Institute for Plasma Physics, University Warwick との大学間協定や学術交流協定を元に、斯界の代表的研究者を招聘して共同研究を 行い成果を上げた。また、中国の研究者とは日中 joint data analysis ワークショップを実施し、共同 データ解析、共同論文執筆作業を行った。これらの活動は、国際的に高い評価を得た論文の実績に繋が った。核融合科学研究所や日本原子力研究機構(独法)との共同研究活動を通して、これまで取り組ん できた乱流解析法を核融合プラズマの閉じ込め装置群へと適用する取り組みを行っている。これまで、
乱流が励起する巨視的揺らぎ構造の発見や高性能プラズマ状態(H モード)に至る中間状態の実態を明
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らかにするなど特筆すべき成果をあげている。応用力学研究所で手法を開発し、全国、全世界の応用・
開発研究に広く供している。
高温プラズマ力学研究センターは応用力学研究所拠点共同研究に加えて核融合分野において”双方向
型共同研究”を展開している。この共同研究活動 は外部委員(12 名)、内部委員(8 名)から構成さ
れ、外部委員がコーディネーターを務める”QUEST 実験推進会議”によって運営されているのが 特徴で
ある。2014 年度も引き続き、核融合関連 6 センターのうち、筑波大学と”センター間連携活動”を展
開、高パワー発振管(筑波大)を用いて QUEST で 66KA の電流駆動に成功する成果を挙げた。一方国際
連携活動としては所内国際連携集会を米国人研究者を座長としてヨーロッパ(英国)中国等からも参加
者を募り、クエストプロジェクトの成果の吟味、今後の課題を明らかにする活動を行っている。また日
米科学技術協力事業、九大とプリンストン大学との間の部局間交流協定、双方向型共同研究、応研国際
化推進研究などの枠組みを活用した国際プロジェクト(名称:QUEST-NSTX-U 日米共同研究「QUEST にお
ける CHI を用いたソレノイドなしのプラズマ電流立ち上げ」 代表者:ワシントン大学 ラマン博士)を
開始した。これには米国エネルギー省も予算措置を行っている。
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共同利用・共同研究
共同利用・共同研究の研究分野として「地球環境」、「核融合力学」、「新エネルギー力学」の三つ を設定し、四つの枠組みとして参加者が主体となって研究提案を行う「一般研究」、あらかじめ研究所 としての研究課題を設定し、その課題に関して参加者を募る「特定研究」、さらに 2011 年度から開始 された外国人研究者を代表者とする共同研究「国際化推進研究」、及び、明確な目的のもとに企画され 準備された「研究集会」を実施する。
各枠組みに対し、研究課題を全国公募により募集し、毎年一度開かれる共同利用・共同研究委員会、
拠点運営委員会による採否ならびに各テーマへの予算配分の決定を経てこれらが実施されている。本節 には、課題件数と参加人数の推移を示す。また、研究課題をいくつか取り上げ、その概略を示す。2014 年度・2015 年度の全研究課題、および、拠点共同利用・共同研究委員会リストは第 6 章 1 節 3 項に記載 する。研究成果の詳細は、本研究所が発行する別誌、共同利用共同研究報告書 18 号・19 号に記載され る。
告示ホームページ
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第1項 当該年度における実施状況
共同利用・共同研究課題数の推移
共同利用・共同研究における 4 つの枠組の件数と、参加した共同研究者数ののべ人数の推移。
研究集会件数推移
共同利用共同研究を通して、応用力学研究所で開催される研究集会における講演数と、参加者数の推 移。
2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度
国際化推進 0 6 9 7 17 16
研究集会 14 15 12 10 9 11
一般研究 72 76 73 68 68 93
特定研究 17 7 36 33 39 32
共同研究者数 532 518 564 594 563 611
460 480 500 520 540 560 580 600 620
0 20 40 60 80 100 120 140 160
共同研究者のべ数
件数
特定研究 一般研究 研究集会 国際化推進 共同研究者数
2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度
研究集会件数 14 15 11 10 9 11
講演数 210 245 157 132 216 137 参加者数 532 619 367 362 405 359
0 100 200 300 400 500 600 700
0 2 4 6 8 10 12 14 16
講演数・参加者数
研究集会件数
研究集会件数 講演数 参加者数
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成果報告業績推移
毎年発行される、共同利用・共同研究成果報告書に記載される、研究課題に関する当該年度内の論文 数と講演数の推移。
2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度
論文数 73 68 38 38 48 50
講演数 188 161 263 214 299 202
0 50 100 150 200 250 300 350
0 10 20 30 40 50 60 70 80
講演数
論文数
論文数 講演数