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公務災害として取り扱われる通勤途上の災害

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地方公務員災害補償法第2条第2項において、通勤とは、「職員が、勤務のため、住居と勤務場所との間 を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、公務の性質を有するものを除くものとする。」と規 定されているが、ここで「公務の性質を有するものを除くものとする」趣旨は、「公務の性質を有するもの」、

すなわち任命権者の支配管理下にあると認められる通勤については、通勤災害保護制度の創設前においても、

公務災害の対象として取り扱われていたためである。

すなわち、「通勤」自体に公務遂行性が認められる場合における通勤途上の災害については、公務遂行性 に着目して、公務災害の対象として位置付けているためである。

この「公務の性質を有する通勤」を分類すると、次のとおりである。

1 出張に係る通勤

出張期間中は、服務上、正規の勤務時間を勤務したものとみなすこととされていることから、原則とし て、任命権者の包括的な支配拘束性が及ぶものとされているので、その全期間を通じて公務遂行性が認め られている。

したがって、例えば、出張用務の関係で自宅から直接用務地へ、あるいは用務地から直接自宅へ向かう 途上での災害(合理的な経路及び方法による場合に限る。)は、通勤災害としてではなく公務災害として 取り扱われることとなる。

しかし、長期間の出張研修(概ね1月以上)を命ぜられ、出張先の宿泊施設と研修会場との間を往復す る場合は、その宿泊施設は、一般に、「住居」としての性格を持つこととなるので、その往復については、

これを「通勤」と評価し、その往復途上の災害は、通勤災害として取り扱うこととされている。

2 任命権者の支配拘束下にある通勤

通勤途上については、一般に、任命権者の支配拘束性が認められないが、次の場合には、人事管理上の 必要性、業務の緊急性、異常な時間帯での出退勤等任命権者の支配拘束性が強く及んでいると認められる ので、通勤災害ではなく公務災害の対象として取り扱われる。

① 公務運営上の必要により特定の交通機関によって出勤又は退勤することを強制されている場合の出勤 又は退勤の途上

② 突発事故その他これに類する緊急用務のため、直ちに又はあらかじめ出勤することを命ぜられた場合 の出勤又は退勤の途上

③ 所属部局が専用の交通機関を職員の出勤又は退勤の用に供している場合における当該出勤又は退勤の 途上

なお、上記①及び②の場合において、合理的な経路若しくは方法によらない場合又は遅刻若しくは早退 の状態にあるときの災害は、任命権者の支配拘束性を逸脱したものと認められるので、公務災害としてで はなく、通勤災害として取り扱われることとなる。

3 特別な状況下における通勤

次の場合には、上記2と同様の理由により、任命権者の支配拘束性が強く及んでいると認められるので、

公務災害の対象として取り扱われる。

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① 午後10時から翌日の午前7時30分までの間に開始する勤務につくことを命ぜられた場合の出勤の 途上

② 午後10時から翌日の午前5時までの間に勤務が終了した場合の退勤の途上

③ 宿日直勤務を命ぜられ、直接当該勤務につくため出勤し、又は当該勤務を終了して退勤する場合の出 勤又は退勤の途上

④ 引き続いて24時間以上(休憩・休息時間、仮眠時間等を含む。)となった勤務が終了した場合の退 勤の途上

⑤ 地方公務員法第24条第6項の規定に基づく条例に規定する勤務を要しない日及びこれに相当する日

(以下「勤務を要しない日」という。)に特に勤務することを命ぜられた場合の出勤又は退勤の途上

⑥ 国民の祝日に関する法律に規定する休日及び年末年始の休日に特に勤務することを命ぜられた場合

(交替制勤務者等でその日に当然に勤務することとなっている場合を除く。)の出勤又は退勤の途上 ⑦ 勤務を要しない日とされていた日に勤務時間の割り振りが変更されたことにより勤務することとなっ

た場合(交替制勤務者等にあってはその日前1週間以内に変更された場合に限る。)の出勤又は退勤の 途上

⑧ 上記①~⑦に掲げる場合の出動又は退勤に準ずると認められる出勤又は退勤等特別の事情の下にある 場合の出勤又は退勤の途上

なお、いずれについても、合理的な経路若しくは方法によらない場合又は遅刻若しくは早退の状態にあ る場合には、任命権者の支配拘束性を逸脱したものと認められるので、公務災害としてではなく、通勤災 害として該当するか否かを判断することとなる。

第5章 特殊な勤務体制の職員の取扱い

地方公務員の勤務体制は職種によって種々であるので、特殊な勤務体制の職員の通勤災害については、そ の勤務体制を考慮した取扱いが必要となってくる。

1 船員の場合

船員は、長期航海等により、勤務体制そのものが一般の職員とは異なるため、その勤務体制等に即した 取扱いが必要になってくる。

① 船員が船内勤務をする場合

船員が船内勤務をする場合は、船内に居住区があるが、船内は勤務場所でもあるため、任命権者(船 長)が何時でも職務命令を発することができる状況下にある。

したがって、居住区を含む船内全域における行動については、一般に、公務遂行性があるとみること ができるため、居住区と勤務場所との間の往復は、通勤としては取り扱われない。

② 船員が下船又は乗船する場合

船員が航海後、休暇その他を利用して下船し、家族の住む自宅に帰り、再び次の乗船地に向かう場合 は、いずれも「通勤」と認められることとなる。なお、この場合の勤務場所と通勤との境界は岸壁と船 舶を結ぶタラップ又は渡り板ということになる。すなわち、タラップ又は渡り板を昇り始めた時点で通 勤が終わり、タラップ又は渡り板を降りた時点で通勤が始まることとなる。

84 -2 教員の場合

教員の勤務態様は、一般の職員に比べて、若干異なった面をもっている。そのため、教職調整額の支給 等給与上においても特別な措置が講じられている。

教員が学校行事としてのクラブ活動を指導すること又は家庭訪問をすること等は本来の教育活動であり、

職務そのものとみて差し支えない。クラブ活動については、勤務終了後の指導はもとより、日曜日等の対 外試合等のため、これを監督するために登校する場合等も、その往復は、原則として、「勤務のため」の ものと考えて差し支えない。

また、勤務時間外に家庭訪問をする場合は、原則として、最後の訪問先までが勤務に該当し、最後の訪 問先から自宅までが「通勤」に該当することとなる。

3 勤務公署の施設内又は敷地内に宿舎が設けられている職員

保養所や寮の管理人、ダムの監視人等のように、勤務公署の施設内又は敷地内に宿舎が設けられている 職員については、勤務公署と宿舎との間の往復は、施設内又は敷地内に任命権者の支配拘束性が及んでい ると認められるので、原則として、「通勤」としては取り扱われない。

4 二以上の勤務公署(部署)に併任されている場合

二以上の勤務公署(部署)に併任されている職員が、勤務公署と勤務公署の間を公務の必要により移動 する場合は、原則として、公務遂行中の行為とみるものであり、「通勤」には該当しないこととなる。

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-第3編 再 発

職員が、公務又は通勤により負傷し、又は疾病にかかり、公務上の災害又は通勤による災害と認定された 者が、必要な療養を受けた後に、症状が消失した場合、あるいは症状は残存しているが、それ以上、良くも 悪くもならない(医療効果が期待できない)状態になったときには、症状が固定したものとして、地方公務 員災害補償法上は「治ゆ」として取り扱うこととされている。

しかし、軽微な切創等の場合は格別、手術を伴うような大きな負傷や特定の疾病の場合は、一旦治ゆした 後においても、再び症状が出現したり、固定していた症状が悪化したりする場合がある。このように、再び 症状が出現し、又は増悪した傷病が、当初の傷病(初発傷病)と相当因果関係をもって生じた傷病であると 医学的に認められた場合には、初発傷病の再発として取り扱うこととなっている。

なお、再発とは、一旦症状が消失し、又は安定状態になった後においても、特に顕著な外的原因がないま ま、自然経過のなかで再び症状が出現したり、増悪したりする場合、あるいは初発傷病についてもはや医療 効果が期待できないため治ゆと認定されるが、その後の医学の進歩等により医療効果が期待されるようにな った場合等をいうものであり、初発傷病の治ゆ後、再び別の災害を受けた場合、私的要因により傷病が増悪 した場合等は、再発には含まれない。

再発の傷病名は、初発傷病名と同一である必要はなく、初発傷病と相当因果関係をもって生じた傷病であ ることが医学的に認められれば、再発傷病として取り扱うこととなる。また、初発傷病の原因となった事故 と相当因果関係をもって発症した傷病についても、再発として取り扱うこととなる。

再発の具体的な例としては、脊髄損傷患者における尿路感染症等がこれに当たる。また、必ずしも初発傷 病が再び出現し、又は増悪した状態ではないが、便宜上、再発として取り扱う例として、骨折に対し、髄内 釘による骨接合術を施し、治ゆ後にその装着金属を抜去する場合がある。

再発の認定請求は、当該認定請求書に診断書及び次に掲げる資料等を添付して行うものとする。

① 初発傷病発生の日時、場所及びその状況並びにその傷病名、傷病の部位及びその程度に関する資料

② 初発傷病の治ゆ年月日及び治ゆ時の状況に関する資料

③ 再発傷病発生の日時及び場所、その傷病名、傷病の部位及びその程度に関する資料

④ 初発傷病の治ゆから再発傷病の発生までの間の経過及び再発時の状況に関する資料

⑤ 担当医師等の所見、定期健康診断の記録等

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