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全球オゾン(南緯 60 度~北緯 60 度)

ドキュメント内 オゾン層等の監視結果に関する年次報告書 (ページ 42-45)

2. 科学的根拠の補足と関連情報

2.3 全球オゾン(南緯 60 度~北緯 60 度)

(オゾン全量)

・ 2002~2005年の全球平均オゾン全量は、1964~1980年平均より3.5%少なかった。

2002~2005年の値は1998~2001年の値に似ている。このふるまいは、すべての利用

可能な全球データセットの年平均値間で最大1%の違いはあるものの、明らかである。

・ 両半球で、中緯度におけるオゾン全量の変化の様子に次のような違いが認められる。

- 2002~2005年平均の北半球と南半球の中緯度(35度~60度)のオゾン全量は、

1964~1980年平均よりそれぞれ3%及び5.5%少なく、1998~2001年の値に似て いる。北半球では1993年頃に最小となり、その後増加している。南半球では、1990 年代後半まで減少し続け、最近は横ばいである。

- 中緯度のオゾン変化には、北半球と南半球の間で季節による違いがある。北半球 中緯度(北緯35度~北緯60度)の1980年以前からの変化は春季に大きいが、南 半球中緯度(南緯35度~南緯60度)のそれは一年を通じてほとんど同じである。

・ 熱帯域(南緯25度~北緯25度)のオゾン全量は基本的に変化していない。このこと は、今までのアセスメントの内容と一致している。

(鉛直オゾン分布)

・ 上部成層圏オゾンは1979年から1995年にかけて減少したが、過去10年間は比較的 一定となっている。成層圏エーロゾル及びガス実験衛星(SAGE I+II)及び太陽後方 散乱紫外線分光計(SBUV(/2))衛星からの観測によると、北緯60度~南緯60度、高

度35km~50kmの平均で1995年まで大きな減少を示している。中緯度の正味のオゾ

ン減少量は、熱帯域での小さいが有意な変化を伴いつつ、最大10~15%であった。利 用可能な独立した反転、ライダー及びマイクロ波オゾン観測がこれらの結論を裏付け ている。

・ 下部成層圏オゾンは1979年から1995年にかけて減少したが、過去10年間は大きな 変動を伴いつつも比較的一定となっている。南北両半球の中緯度では、SAGE I+II 及びSBUV(/2)衛星からの観測によると、高度20~25kmで1995年までに最大10%

の減少を示している。これらの減少は最近10年間はみられなかった。

・ 北半球の成層圏最下層の高度12~15kmでは、1979年から1995年にかけてオゾンの 大きな減少が観測され、その後1996年から2004年にかけて全体的に増加し、この高 度での正味の長期減少傾向が見えなくなった。成層圏最下層のこれらの変化はオゾン 全量に大きく影響している。南半球中緯度のデータには、これらの高度で1995年以降 の同様な増加は認められない。

(全球オゾンの過去の変化の理解)

・ 極域以外のオゾンの観測された長期変化とハロゲン増加の効果を取り入れたモデルシ ミュレーションは概ね良い一致を示している。モデルは、高度、緯度及び季節の関数 として、観測されたオゾンの変化を概ね再現しており、ハロゲンの変化が全球オゾン の変化の主要因であるという我々の理解を立証している。この関係は、全球平均のオ ゾン観測値と等価実効成層圏塩素(EESC;この節の最初のページの脚注を参照)と の統計的な適合性により裏付けられている。しかし、モデル計算による変化と観測さ れる変化との間には相違がみられる。特に、北半球に比べて、南半球での変化のシミ ュレーションが劣る傾向がある。

・ 経験的及びモデル研究から、対流圏及び成層圏の力学場の変化が、観測された北半球 中緯度の1979年から1990年代半ばまでのオゾンの減少とその後の増加に一部寄与し ていることが示される。これが力学場の変動性によるものか成層圏循環の長期変化傾 向の結果によるかはまだはっきりしない。長期変化におけるこれらの力学的効果の見 積もりは冬季については約20~50%の範囲である。

・ 極短寿命物質(VSLS)起源の追加的な無機臭素をモデルに取り込むと、長寿命の臭素 系ソースガス類のみを取り込んだ研究に比べて、中緯度と極域でより大きなオゾン破 壊がシミュレートされる。両方の地域で、この臭素と人為起源の塩素との相互作用を 通じて、下部成層圏でオゾン損失が強化される。中緯度のオゾン損失はエーロゾルの 高濃度期間に最も強化される。臭素と水素酸化物(HOx)の関係する化学反応を通じ たオゾン損失もすべての条件下で中緯度で強化される。VSLS Bryが一定と仮定すると、

中緯度オゾンの長期変化傾向(1980~2004年)への影響は、この期間の初めと終わり でエーロゾル濃度が低いため、小さく計算される。

・ いくつかの独立したモデル研究により、オゾンが減少した極域の空気の希釈は、中緯 度、特に極域のオゾン損失がはるかに大きい南半球の中緯度のオゾン減少に大きく寄 与していることが確認されている。長期年平均モデルをベースとした見積もりによる と、(大きな年々変動はあるが)北半球のオゾン減少の約3分の1、南半球の約2分の 1 が極域の損失によるものと示唆される。このことは、南極域春季のオゾン減少は南 半球夏季の中緯度オゾン減少と強いつながりがあるという観測結果によって裏付けら れる。

・ 過去15年以上、大規模な火山噴火がなかったために、観測されたオゾンの中の太陽周

ン全量における太陽周期変動は低緯度から中緯度にかけて2~3%(最小から最大)の 平均振幅を持っていると推測される。

ドキュメント内 オゾン層等の監視結果に関する年次報告書 (ページ 42-45)

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