Synthesis of P3
4.2 結果と考察
4.2.3 光学特性
Fig. 4-5にCPDT誘導体の吸収および蛍光スペクトルを示す。
Fig. 4-5. Absorption (a) and fluorescence (b) spectra of CPDT derivatives in CHCl3 at ambient temperature (conc.: 2.0×10-6mol / L, λex: 317 nm).
Table 4-2はCPDT誘導体の光学特性をまとめて示す。CPDT骨格にシリル基を導入
することにより,CPDT 誘導体の吸収スペクトルにおいて,シリル基と芳香環間の
*-*共役により吸収スペクトルの長波長シフトおよびモル吸光係数(ε)の増加が観 測された。[25,26,55–57,59,61]。吸収スペクトルの長波長シフトは,*-*共役による 最低空軌道(LUMO)の安定化により,最高被占軌道(HOMO)と LUMO の間のエ ネルギーギャップが低下することによって誘起されることが知られている。また,モ ル吸光係数の増加はHOMOにおける-共役およびLUMOにおける*-*共役により HOMOおよびLUMOの双極子モーメントの増加により,遷移モーメントが増大し,
モル吸光係数の増加が誘起されたものと考えられる[25,26,55–57,59,61]。
- 49 -
Table 4-2. Optical properties of CPDT derivatives.
Compound λabs / nm (ε / L mol-1 cm-1) λem / nm ΦFa
10 323 (12700) 332 (10500) 373 0.03
12 340 (23700) 351 (19400) 387 0.41
M1 338 (21000) 351 (17900) 385 0.36
P4 340 (22200) 352 (19200) 387 0.39
1b 319 (15000) 329 (11800) 378 0.01
3c 336 (24500) 348 (19200) 382 0.09
M1d 335 (24300) 346 (19200) 381 0.09
P1e 336 (23700) 348 (19200) 381 0.09
a Fluorescence quantum yield (ΦF) was determined by using pyrene (ΦF: 0.19) [61] as a standard in CHCl3.
b 4,4-Dimethylcyclopentadithiophene (as shown in Fig. 3-6) [67].
c 2,6-Bis(dimethylsilyl)-4,4-dimethylcyclopentadithiophene (as shown in Fig. 4-6) [67].
d 2,6-Bis(dimethylhydroxysilyl)-4,4-dimethylcyclopentadithiophene (as shown in Fig. 4-6) [67].
e 4,4-DimethylCPDT based poly(tetramethylsilarylenesiloxane) (as shown in Fig. 4-6) [67].
一方で,吸収スペクトルにおけるジメチルシリル基の導入の効果を確認するため,
密度汎関数法(density functional theory,DFT)を用いて,基底関数にはB3LYP/6-31G(d) を使用したSpartan’08で5およびM4のHOMOおよびLUMOのエネルギー準位の計 算を行った[63]。Table 4-3はHOMOおよびLUMOエネルギー準位ならびにLUMOと HOMOの間のエネルギーギャップをまとめて示す。5(–1.15 eV)とM4(–1.47 eV)
の LUMO のエネルギー準位の違いは,*-*共役による LUMO の安定化がジメチル シリル基の導入によって誘起されたことを示す。したがって,ジメチルシリル基の導 入により,LUMOとHOMOの間のエネルギーギャップが減少し,極大吸収波長の長 波長シフトが誘起されたものと考えられる。
Table 4-3. Results of DFT calculation for CPDT derivatives.
Compound LUMO / eVa HOMO / eVa LUMO−HOMO gap / eV
5 –1.15 –5.25 4.10
M1 –1.47 –5.36 3.89
a Calculated with density-functional theory (DFT) method at the B3LYP/6-31G(d) level.
- 50 -
CPDT誘導体の極大発光波長(λem)と蛍光量子収率(ΦF)をTable 4-2に示す。CPDT 誘導体の蛍光スペクトルにおいて,CPDT 骨格にシリル基を導入することによって,
発光波長の長波長シフトが観測された。
ΦFはCPDT骨格にジメチルシリル基を導入することにより向上した。無置換CPDT
(10)とジメチルシリルCPDT(12, M4, P4)のΦFは,それぞれ0.03, 0.41, 0.36およ
び0.39であり,4,4-ジフェニルCPDT骨格にジメチルシリル基を導入することにより,
大幅にΦFが向上した。一方,9,9-ジフェニルフルオレン骨格を有するポリ(テトラメ チルシルアリーレンシロキサン)(Pa)の ΦFは 0.19 であり,P4 より小さい ΦFを示 すことが報告されている。このことは,CPDT骨格を使用することにより,ポリマー の凝集が抑制されたことを示すものと考えられる。すなわち,主鎖にCPDT骨格を導 入することにより,ポリマー鎖の結晶化傾向が低下することにより,凝集体形成の抑 制および発光強度の向上が観測されたものと考えられる。
一方で,Table 4-2に示すように,4,4-ジフェニルCPDT誘導体(10, 12, M4, P4)の
ΦFは4,4-ジメチルCPDT誘導体(1, 3, M1, P1)のΦFより高いことが明らかとなった
[67]。また,ジメチルシリル基を有する4,4-ジメチルCPDT誘導体のΦFと比較すると ジメチルシリル基を有する4,4-ジフェニルCPDT誘導体は約4倍の値を示した。スピ ロ炭素上の嵩高いジフェニル基により,4,4-ジフェニル CPDT 骨格の相互作用と分子 運動が抑制され,その結果,無輻射遷移が抑制されたことにより,ΦF が改善された ものと考えられる。
Fig. 4-6. Structure of 4,4-dimethylcyclopentadithiophene derivatives. 1, 4,4-dimethylCPDT; 3, 2,6-bis(dimethylsilyl)-4,4-dimethylcyclopentadithiophene; M1, 2,6-bis(dimethylhydroxysilyl)-4,4-dimethylcyclopentadithiophene; P1, 4,4-dimethylCPDT based poly(tetramethylsilarylenesiloxane).
- 51 -