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数値例題による逆解析手法の検討

(1)数値例題の内容

Neighbourhoodアルゴリズムにより,表面波分散曲線とH/Vスペクトルに対して同時に逆 解析を行う可能性を検討するために,数値シミュレーション結果の逆解析を行った.設定 した水平成層モデルの表面波分散曲線とH/Vスペクトルに対して,個々に逆解析を行なうケ ースと,両者を同時に逆解析するケースの比較により,同アルゴリズムの安定性と精度を 確認する.

表4.2.1に示す地盤モデルの1~8層のS波速度計8個を探索対象パラメータとし,探索範囲 を正解の0.8~1.2倍とした.各ケースの初期モデルは同一であり、NAのパラメータをns=10,

nr =5とし,繰り返し回数を50回と設定した.

(2)分散曲線およびH/Vスペクトルの比較

表面波分散曲線のみをターゲットとしたときの分散曲線およびH/Vスペクトルの比較を 図4.2.1に示す.ターゲットとした表面波分散曲線とよく一致しており,逆解析が適切に 行われたことを示すとともに、ターゲットとしていないH/Vスペクトルにも同様によく適合 している.同図中に,分散曲線およびH/Vスペクトルに関する繰り返し回数とミスフィット との関係を示す.ターゲットとしている分散曲線のミスフィットは繰り返しとともに減尐 している様子が見られるが,H/Vスペクトルについては増減を繰り返している.

表4.2.1 地盤モデルと探索パラメータ範囲

No. H ρ Vs Vp Vs

(m) (t/m3) (m/s) (m/s) (m/s)

1 3.5 1.4 120 398 96-144

2 1 1.5 80 570 64-96

3 3 1.8 80 570 64-96

4 3.7 1.6 130 928 104-156

5 5.4 1.5 150 755 120-180

6 5.7 1.9 260 1326 208-312

7 3 1.6 270 992 216-324

8 inf. 1.9 400 2040 320-480

H/Vスペクトルのみをターゲットとしたケースを図4.2.2に示す.ターゲットとしたH/V スペクトルは概ね一致しているが,表面波分散曲線は低周波数領域において一致度が減じ られる.同図より分散曲線をターゲットとしたときと同様に,ターゲットとしたH/Vスペク トルのミスフィットの減尐は見られるが,分散曲線に関しては減尐が見られない.

分散曲線とH/Vスペクトルの同時逆解析結果を図4.2.3に示す.同図に示す分散曲線,H/V スペクトルともにターゲットとよく一致しており,逆解析に複数ターゲットを用いる有効 性を示している.また、両者をターゲットとすることにより,いずれのミスフィットもお おむね繰り返し回数とともに減尐していく様子がわかる.

(3)逆解析によるS波速度構造

逆解析により得られたS波速度構造を図4.2.4に示す.図中点線がシミュレーションで用い た地盤モデル,2点鎖線が探索範囲,実線が逆解析結果である.いずれのケースもおおよそ 正解の近傍に収束しているが,深さ25m程度の第7層において低速度層を推定するところが 共通の特徴である.単一ターゲットのケースの比較をすると,分散曲線ターゲットのほう が全般的によい対応を示すが,深さ20m程度の層においてはH/Vスペクトルをターゲットと した結果が正解値に近い.両者をターゲットとしたケースは,情報量が増えたことにより 分散曲線ターゲットの結果がさらに改善されており,その傾向は深さ4mから11mの2つの 層で著しいが,最表層は分散曲線ターゲットよりも正解から離れ,深さ20mの層ではH/V スペクトルターゲットよりも一致度が低い.

(4)まとめ

分散曲線あるいはH/Vスペクトルを単独のターゲットとしたケースに比べて,それらを 同時に逆解析したケースのほうが全般的に正解に近い結果を与えた.また,同時逆解析に おいて,いずれの量に関するミスフィット値も繰り返し回数にしたがって調和的に減尐す る様子が見られ,両者をともに満足させようとする一様な収束が確認された.

いずれの逆解析結果の S 波速度もおおむね正解の近傍にあり,大域最適化が実現されて いるが,ここでの地盤構造については最深層直上の層の S 波速度が低めに推定されるとい う共通の特徴が認められた.また,最表層での分散曲線ターゲット,ならびに深さ20m程 度での H/V スペクトルターゲットがそれぞれ最良の結果を与えたのに対し,同時逆解析結 果はそこでターゲットとしていない量に引きずられるためか,多尐精度の落ちる結果とな った.これらの結果より,分散曲線とH/VスペクトルにNAを適用した同時逆解析により,

単独に逆解析に比べて一般に高精度の表層地盤モデルの推定が深い層まで可能であると考 えられる.

0.1 1 10 0

100 200 300 400

Taret m odel Inverted m odel

Frequency(Hz)

Velocity(m/s)

0.1 1 10

1.0E-2 1.0E-1 1.0E+0 1.0E+1 1.0E+2

Taret m odel Inverted m odel

Frequency(Hz)

H/V spectrum

0 10 20 30 40 50

1.0E-2 1.0E-1 1.0E+0 1.0E+1 1.0E+2 1.0E+3 1.0E+4 1.0E+5 1.0E+6

Dispersion curve H/V spec-trum

Num ber of iterations

Misfit

(a)表面波分散曲線 (b)H/Vスペクトル (c)ミスフィットの推移

図4.2.1 分散曲線ターゲット時の合致度とミスフィットの推移

0.1 1 10

1 101 201 301

Taret m odel Inverted m odel

Frequency(Hz)

Velocity(Hz)

0.1 1 10

1.0E-2 1.0E-1 1.0E+0 1.0E+1 1.0E+2

Taret m odel Inverted m odel

Frequency(Hz)

H/V spectrum

0 10 20 30 40 50

1.0E-2 1.0E-1 1.0E+0 1.0E+1 1.0E+2 1.0E+3 1.0E+4 1.0E+5 1.0E+6

Dispersion curve H/V spec-trum

Num ber of iterations

Misfit

(a)表面波分散曲線 (b)H/Vスペクトル (c)ミスフィットの推移 図4.2.2 H/Vスペクトルターゲット時の合致度とミスフィットの推移

0.1 1 10

0 100 200 300 400

Taret m odel Inverted m odel

Frequency(Hz)

Velocity(m/s)

0.1 1 10

1.00E-02 1.00E-01 1.00E+00 1.00E+01 1.00E+02

Taret m odel Inverted m odel

Frequency(Hz)

H/V spectrum

0 10 20 30 40 50

1.0E-2 1.0E-1 1.0E+0 1.0E+1 1.0E+2 1.0E+3 1.0E+4 1.0E+5 1.0E+6

Dispersion curve H/V spec-trum

Num ber of iterations

Misfit

(a)表面波分散曲線 (b)H/Vスペクトル (c)ミスフィットの推移 図4.2.3 同時ターゲット時の合致度とミスフィットの推移

(a)表面波分散曲線をターゲット (b)H/Vスペクトルをターゲット (c)同時ターゲット

図4.2.4 逆解析で得られたS波速度構造の比較

4.3 測定データによる逆解析手法の検討

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