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76. IASB の保険契約プロジェクトに関しては、2016 年 8 月から 10 月にかけて参加者とテ ーマを限定したうえで、外部テストが実施され、それを受けて、2016 年 11 月の IASB 会議では、外部テスト及び文案作成過程で発見した事項を中心に審議が行われた。

IASB における現状及び今後の予定は以下のとおりである。

年 月 内容

2013 年 6 月 改訂公開草案の公表

2016 年 2 月 実質審議終了(発効日を除く。) 8 月~10 月 外部テスト

11 月 IASB ボード会議(外部テスト及び文案作成過程で発見 した論点と発効日)

2017 年第 1 四半期 最終基準(IFRS 第 17 号)公表(予定)

2021 年 1 月 発効(予定)

77. 2016 年 12 月の ASAF 会議では、プロジェクトの現状について、2016 年 11 月開催の IASB ボード会議での暫定決定事項を中心に、以下のような報告があった。

(1) 契約の集約については、「期待収益率の類似性」要件を用いることでグループの数 が膨大になってしまうこと、企業の内部報告の方法と異なることについて懸念が 寄せられた。それに対して、集約の階層を、高い方から、商品ライン、ポートフ ォリオ、グループ、個々の契約とすること、「主要な仮定に対する反応が類似」要 件の判定は、企業の内部報告と整合的に行うこと、「期待収益率の類似性」要件に 代え、「当初において不利な契約」「当初以降において不利となるリスクが重大で はない契約」「それ以外」の最低限 3 つに分割して分類することとともに、同じ年 に発行された契約でないと同じグループにできない(年ごとのコホートとする。) ことが暫定決定された。

(2) 移行措置については、その負荷や複雑さ等について懸念が寄せられ、原則法が適 用できない状況において、修正遡及アプローチと公正価値アプローチを自由に選 択できるよう暫定決定された。

ASBJ からの発言の要旨とこれに対する参加者の主な発言

78. ASBJ からの主な発言の要旨は次のとおりである。

(1) ASBJ の保険契約専門委員会では、2016 年 11 月開催の IASB ボード会議では外部テ

ストで指摘された集約レベルに関する重要な問題点のいくつかが適切に対処され ているとの意見が聞かれた。今後、最終基準化に向けて、外部テスト等を通じた意 見で明確化が要望されている点について、適切に反映することを期待する。特に、

コホートをまたぐ相互扶助の処理が適切に基準書に反映されることを期待する。

参加者のその他の発言

79. 参加者からのその他の主な発言は次のとおりである。

(1) 次の 6 点について依然懸念が残っている。

① 集約レベル:相互扶助の関係にある契約は異なるグループに分割すべきではな い。

② 契約上のサービス・マージン(以下「CSM」という。)償却:カバレッジ単位の考 え方を明確すべきである。

③ 変動手数料アプローチの対象範囲:経済的及び財務的実態、及び推定的債務も考 慮すべきである。

④ IFRS 第 9 号と IFRS 第 17 号の関係:会計上のミスマッチが発生する懸念がある。

⑤ 移行措置:前述の CSM の償却方法によって将来の収益が影響される懸念がある。

⑥ ヘッジ活動:ヘッジの実績調整の処理方法に関して懸念がある。

(2) 不利な契約へのなりやすさという観点で契約を 3 分割することが決定されたが、同 じリスクに属するために一緒に管理されている契約でも、営業上又は規制上の理由 により不利な条件で発行することもある。これらを別のグループとするのは経済実 態に合わない。年毎のコホートを要求すると、グループの数が多くなってしまう。相 互扶助と集約レベルに関する(基準の中での)ガイダンスが必要と考えている。

(3) 外部テストは非常に有意義であった。カナダの 3 大保険会社は、現在の暫定決定事 項を支持している。導入にあたって発生するかもしれない問題をモニターしていく ことが重要である。なお、現在、外部レビュー・ドラフトをレビュー中であるが、結 論の根拠なしで基準書をチェックするのは難しい。結論の根拠も外部レビューに供 するように要望したい。

(4) 集約は、収益性よりリスクに焦点を当てるべきである。CSM については、実績調整の 処理が変更されたが、依然として、何が純損益で認識され、何が CSM で調整されるの か判断に迷う点が残っていることを懸念している。

(5) オーストラリアの保険会社は、現在の集約レベルに関する暫定決定事項に満足して

いる。

(6) メンバーからは、11 月開催の IASB 会議では外部テストで指摘された多くの問題点が 適切に反映されており、評価できるという意見があった。一方、少数のメンバーは、

コホートへの分割を要求するのは原則ベースに反するという意見であった。また、あ るメンバーは、コホートをまたぐ相互扶助の会計処理の明確化を要望した。

(7) ((1)の 6 点の懸念表明に対して)いずれの懸念も外部テスト等を通じて認識した。

これらの懸念に対して、11 月開催の IASB 会議で検討したうえで、現在実施中の外部 レビュー・ドラフトに反映済である。同ドラフトを参照して欲しい。(IASB スタッフ)

(8) ((6)のコホートの指摘に対して)コホートを設けたのは、事務負荷軽減(3 グルー プに分割するだけでよい)と有用な情報提供(CSM 配分の有用な情報を提供する)の バランスをとったためである。(IASB スタッフ)

(9) 相互扶助の効果はキャッシュ・フローに反映すべきである旨を、外部レビュー・ドラ フトに反映済である。(IASB スタッフ)

(10) 結論の根拠は強制力がないので、通常、外部レビュー・ドラフトに含めていない。

(IASB スタッフ)

(11) 相互扶助という用語は、これまで領域によってさまざまな意味で使用されてきてお り、国際的に統一された定義はない。そこで、IASB は、先入観で解釈されるリスク を避けるために、「相互扶助」という用語は意図的に使わないことにした。その代わ り、その意味するところを、リスクシェアという観点からのキャッシュ・フロー測定 の問題(保険契約者間の移転の問題)と整理した。(IASB 理事)

(12) 新規取引で既存の損失を発生させている取引の補填を行うことで、ポートフォリオ を永久に残すことを許すべきではない。(IASB Hoogervorst 議長)

XII. ASAF メンバーによる活動のアップデート

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