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α係数が低い場合の対応

281 独立サンプルの検定

2. α係数が低い場合の対応

本来,すべての測定項目が「テストが測ろうとしている抽象的現象」を均等に表していればアルファ係 数は高くなる.しかしある特定の測定項目が,他の測定項目と同様の働きを示していなければ全体のアル ファ係数は低くなる.SPSS で「項目を除外したときの尺度」の結果を見て,「項目が削除された場合の Cronbach のアルファ」が全体でのアルファ係数よりひどく高くなれば,この項目が全体のアルファを低 くしている原因だと考えられるのでこれをテストから削除することが推奨される.なお,α係数は尺度を 構成する測定項目数が小さいほど低くなることも考慮に入れるべきである。

研究者が理論的に意味のある項目を集めたつもりであるにも関わらず,α係数が十分高い値を示さない こともある。この場合はどう考えればよいのか。α係数がテストの信頼度を示すと考える前提(古典的テ スト理論)が満たされた時にα係数の値を認めることができるが,この前提に反する場合,α係数は低く なる16。その前提は,

15 Streiner, D. L. (2003). Starting at the beginning: An introduction to coefficient alpha and internal consistency. Journal of Personality Assessment, 80, 9-103.

16豊田秀樹 (2003). 共分散構造分析[疑問編], 朝倉書店, pp. 79-83.

(1) 尺度全体が1因子構造を持っている

(2) 観察変数の誤差間に相関がない

(3) 測定が τ 等値である

尺度が1因子構造であることを確認するには探索的因子分析を行い,それに基づいて確認的因子分析に より1因子構造モデルが他のモデルに勝ることを確認できる。例えば 9 つの項目でひとつの潜在的概念

(例えば抑うつ状態)を測定しているとしよう。図のように,すべての項目がその概念に高い因子負荷量 を持っているのであれば,α係数は内的整合性を正しく表していると考えられる。

しかし,9 項目が実は 2 つの因子(潜在的概念)から成り立っているなら,ひとつひとつの概念を作っ ている項目どうしのα係数は高いが,9 項目全体のα係数は低めに出てしまう。こうした事柄は探索的因 子分析と確認的因子分析で検討できる。

観察変数の誤差間に相関がないことを確認するには確認的因子分析において誤差間にパス(共分散・相 関)を引かないモデルがそれらにパスを引いたモデルより劣らないことをみればよい。図のように独自因 子(誤差変数)の間に共分散を設定し(図ではすべてを表わしてはいない),この適合度を検討する。

測定がτ等値であるというのは,因子からの全観察変数へのパス係数が状況を意味している。図では潜 在的概念からすべての項目へのパス係数がほぼ一定の値を示している。これがτ等値である。こうであれ ばα係数は正しく内的整合性を示す。

一方,次のようなパス係数を示す場合,パス係数がばらついている。この場合,α係数は不当に低く出 てしまう。

確認的因子分析でパス係数がすべて等値であるという制約を置いたモデルが,制約を置かないモデルに 劣らないことを確認すればよい。

複数項目から構成された測定方法が,1因子であり,誤差変量間に相関を設定しないモデルが設定した モデルに劣るものでなく,かつパス係数がすべて等値というモデルが等値制約のないモデルに劣らないに もかかわらず,そのα係数が非常に低いということはほとんどないであろう。

こうした理論的背景を考慮して、次にα係数が低い場合の対応を考えてみよう。

(1)項目数が 5 以下で構成される尺度の場合

使用する全項目間の相関行列を求める。他の項目と著しく低い相関を示す項目があればそれを外して再 度α係数を計算する(SPSS のシンタックスを利用)。これで十分に高いαが得られればこの項目を外した 状態を当該尺度として用いる。

あるいは全項目を indicators とした確認的因子分析を実施し,適合度を求める。適合度が低ければ,修 正指標を利用して観察変数の誤差間に共分散(相関)を設定し,その上で確認的因子分析を再度実施する。

これで十分な適合度を得られれば,潜在変数から観察変数へのパス係数が有意であることを確認した上で,

全項目を含めたものを当該尺度として用いる。内定整合性は適合度をもって証明する。

(2)項目数が 6 以上で構成される尺度の場合

観察変数に対して探索的因子分析(因子抽出は最尤法、因子数は scree test で決定、いずれかの斜交回 転)を行う。探索的因子分析の結果,1因子構造であることが明らかになれば、「項目数が 5 以下で構成 される尺度の場合」と同一の手続きで作業を続ける。

探索的因子分析の結果,複数因子構造が確認できたら,それぞれの因子に高い因子負荷量 (> 0.3) を有

する観測変数のみを集めて下位尺度を構成する。複数の因子に高い因子負荷量を示す項目(観察変数)や いずれの因子にも高い因子負荷量を示さない項目(観察変数)についてはその原因(たとえば著しく高い 歪度や尖度)について十分な考察を行い,下位尺度から外すことも考慮する。各下位尺度を構成する項目 ごとに「項目数が 5 以下で構成される尺度の場合」と同一の手続きで作業を続ける。内定整合性は適合度 をもって証明する。

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