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便益の算定

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第3章 便益の計測

第7節 便益の算定

土石流対策事業の便益は、事業実施の有無による被害額の差分より求める便益に評価期 間末における施設の残存価値を加算して評価期間における総便益を算定する。

土石流対策事業の便益は、事業を実施しない場合と実施した場合の被害額をもとに、事 業の実施により防止し得る被害額を便益として算定し、評価期間末における土石流対策設 備等の残存価値を加算したものとする。

なお、事業を実施した場合、その事業の実施により、その地域の産業・土地利用・人口 集積等の面で何らかの変化が起きることが予想される。しかしながら、その効果を算定す ることは困難なため、これらの変化について考慮しないものとする。

第1項 年平均被害軽減額

被害軽減額に土石流氾濫の生起確率を乗じた確率規模別年平均被害額を累計し、年平均 被害軽減額を算定する。

確率規模別に求めた被害軽減額に確率規模に応じた土石流の生起確率を乗じて求めた確 率規模別年平均被害額を累計し、年平均被害軽減額を算定する。なお、確率規模別の被害 軽減額は、10年、20年、100年(計画規模)の3ケースについて算定する。このとき、人身 被害は20年超過確率より大きな降雨で発生するものとする。

表3-13 年平均被害軽減期待額算出表 土石流

(降雨量)規模

年平均 生起確率

被害額 区間平均 生起確率

区間平均 被害額

年平均被害額

R10 N10=110 L10

(

=1011020120

)

N N

2

20 10 L

L +

( ) ( )

2

20 10 20

10 N L L

N × +

R20 N20=120 L20

(

120 1100

)

100 20

=

N N

2

100 20 L

L +

( ) ( )

2

100 20 100

20 N L L

N × +

R100 R100=1100 L100

年平均被害軽減額:b=

( ) ( ) ( ) ( )

2 2

100 20 100 20 20 10 20

10 N L L N N L L

N × + + × +

被害額

被害軽減便益 人命保護便益

1/10 1/20 1/100

超過確率

図3-2 土石流対策事業における年便益算出の概念図 被害軽減便益

被害軽減便益のうち人身被害軽減便益

(被害額算定ケースについての補足)

平成4年以降5ヶ年に全国579渓流で発生した土石流時の時間雨量、日雨量、を整理し(図 2-1参照)、全国の確率雨量(表3-14参照)と対比すると、大部分が2年~20年超過確率以 上の降雨によって土石流が発生している。上記を踏まえ、本マニュアル(案)では、土石流 は図3-3および表3-14から10年超過確率以上の降雨によって発生するものと仮定する。

図3-3 土石流発生時の雨量(平成4年~8年)

表3-14 全国の確率雨量

(岩井・石黒、森北出版、1980)

地区 日雨量 150mm/day 時間雨量 30mm/hr

2年 5年 10年 20年 の確率 2年 5年 10年 20年 の確率

九州 120~180 160~200 180~260 220~360 2年 35~50 50~70 60~80 60~90 2年以下 四国 80~250 100~300 120~300 140~360 2,5,10,20年 30~55 40~70 45~95 50~110 2年 中国 80~110 100~150 100~180 120~200 5,10,20年 30~40 40~55 50~60 50~70 2年 近畿 80~300 130~400 180~400 180~500 2,5年 35~65 45~85 45~100 55~120 2年以下 中部 100~130 120~180 120~200 160~260 5年 30~50 40~60 45~65 50~80 2年 関東 80~150 140~220 160~280 180~300 2,5年 30~45 50~60 50~70 65~85 2年 北陸 60~80 80~120 120~160 120~180 10,20年 25~35 40~50 40~55 50~70 2年 東北 70~100 80~140 100~180 120~200 10,20年 25~30 30~40 35~60 40~70 2,5年 北海道 50~80 60~120 80~180 100~180 20年 20~25 25~40 25~50 35~70 5,10年

また、これまでに死者・行方不明者の発生した土石流災害(平成13年~平成21年の9年分)

の24時間雨量の超過確率について整理すると、約6割の死者・行方不明者の発生した土石流 災害の降雨規模は100年超過確率より小さかった(図3-4a参照)。また、死者・行方不明者 の発生した土石流災害の発生頻度注)と24時間雨量の超過確率の関係を整理すると、降雨規 模が20年超過確率を超えると急激に発生頻度が上昇し、降雨規模の増大にともない、発生 頻度が単調に増加する(図3-4b参照)。以上から、死者・行方不明者の発生する土石流災害 は、降雨規模が20年超過確率より小さい場合でも発生する可能性はあるものの(約2割の死 者・行方不明者の発生した土石流災害の降雨規模が20年超過確率以下)、降雨規模が20年超 過確率以下で発生する頻度は低いと考え、人身被害は、20年超過確率以下の降雨では発生 しないと仮定する。そこで、人身被害は、計画規模の土石流を対象に算定し、20年超過確 率を起点に計画規模まで比例して増加するものと仮定する(図3-5参照)。

注)ここでは、発生頻度を表す指標として、ある超過確率より大きい規模降雨で発 生した死者・行方不明者が生じた土石流災害の件数を降雨の超過確率で除して求 めた。

図3-4 (a) 24時間雨量の降雨規模の超過確率と死者・行方不明者の 発生した土石流災害件数の関係

図3-4 (b) 24時間雨量の降雨規模の超過確率と死者・行方不明者の発 生した土石流災害発生頻度の関係

被害額

人命保護便益

1/10 1/20 1/100

超過確率

(土石流被害を算定する際の留意事項)

10年超過確率規模および20年超過確率規模の土石流被害は、土石流氾濫シミュレーシ ョンなどを利用して被害額を算定するか、計画規模降雨時の運搬可能土砂量と各確率規 模の運搬可能土砂量の比から被害額を算出する。なお、運搬可能土砂量は、「砂防基本計 画策定指針(土石流・流木対策編)平成19年3月 国土交通省河川局砂防部」に準拠する。

土石流氾濫シミュレーションを利用する場合は、下記事項に留意する。

・流域特性を反映させた降雨・流出解析を行うこと。

・土石流によって運搬される土砂量は、上記で設定した土石流運搬可能土砂量と移動 可能土砂量の小さい方を採用すること。

・土石流氾濫シミュレーションの代表粒径は、現地調査などによって流域の特性を反 映させること。

また、運搬可能土砂量の比から各確率規模の被害額は、下式により算定する。

(n年確率土石流による被害額)=(計画規模の降雨に対する被害額)×

(n年確率降雨量に対する運搬可能土砂量)/(計画規模に対する運搬可能土砂量)

第2項 整備期間中の便益の算定

砂防設備の整備期間を考慮した評価を行うために、整備期間中における砂防設備の整備 によって便益が発生する場合には、その便益を適切に評価する。

整備期間中に整備する土石流対策設備による便益は、事業投資額に応じて発現するもの として計上する。

図3-5 土石流による人身被害の算出方法

第3項 評価対象期間における総便益

評価対象期間における年便益の総和及び評価対象期間終了時点における残存価値を加算 し、総便益を算定する。

①評価時点価格に現在価値化した年便益の評価対象期間における総和

bt:t年における年便益、 r:社会的割引率、S:整備期間(年)

②評価時点価格に現在価値化した残存価値

評価期間末における砂防設備及び用地の残存価値は、治水経済調査マニュアル(案)を 参考として、下式により算定する。

(砂防設備)

dt:用地費・補償費・間接経費・工事諸費を除く毎年の建設費、r:社会的割引率 注)法定耐用年数による減価償却(定額法)の考え方による。

(用地費( ))

kt:毎年の用地費、r:社会的割引率

49 1

0

50 (1 ) +

+ = +

=

S S

t t

S r

k K

+50

K

S

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